藤野古白句 「懐爐灰」より20句
講談社版「子規全集 第十五巻 俳句會稿」より、明治26年2月18日に詠まれた藤野古白の俳句を選出しました。
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日付 明治二十六年二月十八日
表題 紅鐘調
淡雪や高塀の上の星の数
江の梅や夜舟漕去るあとの月
春かせや日くれて冲の真帆片帆
海苔ほすや簾の下の潮雫
青柳の中に囲ふやさし柳
鶯や上見て居れは飛んて行
海見えで浜は草屋の霞哉
わかな摘行逢う度にこほしけり
真顔なる旅人通る二月哉
百千鳥未だ旅人の吉野山
落椿現在掃いた庭にして
二日灸あはの飯さえ煮過ぬ
つはくらや又飛び出る橋の下
雪隠に手を出す枝や梅の花
曙や香の煙りに軒霞む
春雨や山見ゆる程捲くすたれ
老か汲水こほしけり花のかけ
討死の夢みる顔やちる桜
行水や花にせかるゝ夜の音
留守もりに坐頭雇ふて花見哉
底本:「子規全集 第十五巻 俳句會稿」講談社
発行:昭和52年(1977年)7月18日