藤野古白句 「第一會八人」より23句
講談社版「子規全集 第十五巻 俳句會稿」より、明治28年1月6日に詠まれた藤野古白の俳句を選出しました。
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日付 明治二十八年一月六日
表題 第一會八人
第一回運座
茶の花に京の冬寺あれにけり
梅さくや寺から里の近道に
石も氷る河原ころころ雪車を引
年男腰に草履を挟みけり
とし男昔男でなかりけり
第二回運座
長持に鶏鳴きぬ煤拂
土山は雨にもならて冬の月
金屏の霜夜を氷る硯哉
硯売る古女房あり年の暮
牡蠣舟の並て氷る干瀉かな
霜月の川口船を見ぬ日哉
炭かまや吉野の奥の兀山に
手さくりに香爐を擁す夜の雪
奈良坂や雪吹なからの夜の雪
夜の雪やきしりの遅き人力車
易水の酒旗古ひたり水仙花
水仙に濁り言云ふ乙女かな
こぜの児か風呂敷に寝る霜夜哉
きれ凧に寂しくくるゝ廣野哉
行年の帆柱多き入江かな
席帆をふるへば出たる海鼠哉
缺皿や海鼠買ふべき銭五文
うちあげて海鼠の腹の氷りけり
底本:「子規全集 第十五巻 俳句會稿」講談社
発行:昭和52年(1977年)7月18日