藤野古白句 「明治二十六年発会」より33句

講談社版「子規全集 第十五巻 俳句會稿」より、明治26年1月3日に詠まれた藤野古白の俳句を選出しました。
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日付 明治二十六年一月三日
表題 明治二十六年発会

芹をつむ籠より金の指輪哉
初空やふりさけみたる裏の山
餘寒未た白はすさまし博多帯
鶴の子の乳母に雇はん初鳥
萬さいの海見て来るやすまの里
業平も野辺に来る日や若な摘
元日や未た平家のさかる時
山社松の木の間の松さかり
山伏のわらし新し日の始
二枚目は花も咲けりはつ歴
船頭の初夢山をみて帰る
遣羽子や馬車を止めたるふりの袖
山吹や橋の朽目に雀の巣
冬川に柵かけて椿哉
谷そこや木曽は月見る花曇
楊きひの在所は淋しなしの花
てふ〳〵や何にまきれてたますたれ
さるひきの妻になりけり小傾城
左義長や比丘尼見送る姉弟
高楼や雲に琴ひく冬の月
苫あけた舟にちる也橋の雪
鶯や由良の戸渡る帆立て貝
野鼠のあとにも引子の日哉
蛤やうしほに沈む鶴の糞
傀儡師暮に帰るや羅生門
白魚やのりくひに来る袖か浦
初東風や鶴の屁ほとの松の音
恵方にゃ鐘つきの出る寺の門
白梅や小袖につゝむ花の露
我恋は首もくゝれぬ柳かな
滄浪の渚に清し春の水
かんさしに薄氷くたけ水祝ひ(*1
叔母御前に指輪もらひつ玉の春

*1:古白の作とされているのは推定


底本:「子規全集 第十五巻 俳句會稿」講談社
発行:昭和52年(1977年)7月18日

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