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コロナ禍でビジネス形態を変えた海外サービスをデザインの考え方で逆算して解き明かしてみた!

こんにちは!株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」のKaoriです。
今回は、「withコロナ時代に変化する人々の価値観とテクノロジーが果たす役割 」というテーマで2020年9月に実施した社外向けセミナー(※)の中身の一部をご紹介します。

※社外向けセミナーについて
Tangityでは、2019年度から当社の総務部サステナビリティ担当と連携し、デザインを使って社会課題解決に繋がるような活動をしています。その活動の一貫で、中央共同募金会様の赤い羽根福祉基金を通じて助成金を受けているNPO団体様に向けてセミナーを実施しました。(昨年度の活動についてはこちら

ではここから、セミナーでお話しした内容の1つであり、今回のブログのタイトルにもなっているコロナ流行初期にビジネス形態を変えたブラジルのあるサービスについて紹介します。デザインの考え方を使って逆算し、どのような考え方で作られたサービスかを解き明かした内容です。
公知の情報をもとに、私なりの解釈で分析しています。そのため、実際とは異なる点がある可能性がございますのでご了承ください。

コロナ流行初期にビジネス形態を変えたブラジルのサービス「eats for you」

同じeatsでもUber Eatsはご存知の方多いと思います。コロナ流行後、これまで以上にUber Eatsの配達員を街中で見かけるようになりました。
今回ご紹介する「eats for you」は一言で表現するならば”Uber Eatsの自家製料理版”です。

「eats for you」のサービス概要

「eats for you」は下記ようなサービス形態です。(コロナ流行前)

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みなさんも、夕方頃に住宅街を歩いていると、どこからともなく美味しそうな香りが漂ってきて、「食べたいな〜」と思った経験はないでしょうか。eats for youはまさにその小さな夢を実現してくれます。

【カスタマージャーニー】eats for youを使う人の行動を明らかにしてみる

eats for youを利用する人は上記の”Who”に記載している通り大きく2人います。1人目は料理を提供してくれる「料理が好きな主婦」、2人目はその料理を食べる「家庭料理を食べたいビジネスパーソン」。今回は1人目の「料理が好きな主婦」に着目して、カスタマージャーニーを描いてみました。カスタマージャーニーは、eats for youを利用せず普通のパートをする主婦の場合と、eats for youを利用する主婦の2種類描いて比較します。

普通のパートをする主婦のカスタマージャーニー
折れ線は、感情の波を表現しています。真ん中の矢印が「普通」の感情の基準です。
「収入を得る」以外は感情がマイナスになっています。

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eats for youを利用する主婦のカスタマージャーニー
eats for youを利用した場合は、全体的に感情が上がることが想像できます。
eats for youはそもそもサービス内容的に「料理が好きな人」以外は料理人として登録することがほとんどないであろうと考えられます。その理由は以下のとおりです。

・家にそれなりの料理道具が揃っている必要がある
・快適に料理できるキッチンを持っている必要がある
・自身でメニューを考える必要がある
・最終的に食べた人からの評価も受けるサービスである

このため、カスタマージャーニーの最初の「料理を振る舞いたい」の時点から感情がプラスです。

ちなみに「審査される」は、eats for youが料理提供者と購入者の間に入る価値の1つです。ブラジルの食品生産の安全要件に準拠させるための厳しい審査が複数ステップ用意されています。これによりeats for youは安心・安全な食の提供をサポートしているのです。

この「審査される」は、一見感情がマイナスになりそうですが、学生時代の「結果に自信のあるテストが返却されるまでの高揚感」に近い、良い緊張感なのではないかと考えプラスの感情にしています。

最後の「評価される」は例えば普通のレストランの場合「あなたの料理美味しかったわ」と言われる人の多くはパートタイマーではなくシェフのはずです。eats for youには普通のパートでは得られない体験があります。

両者の感情の折れ線を比較すると、全体を通してeats for youで働く主婦の方が、感情がプラスに働けそうです。

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【ペルソナ】eats for youを利用する主婦はどんな人?

ここまでくると、どんな主婦がeats for youを利用するかなんとなく見えてくる気がしませんか?
eats for youは下記のような主婦を自家製料理を作ってくれるターゲットとしているのではないでしょうか。

・日中帯はeats for youに時間をかけられることから、学校に通う年齢の子供がいる
・清潔かつある程度の広さのキッチンを持っている

これらを想定すると、経済的にはミドルクラスの家庭であることが考えられます。

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【ビジネスモデルキャンバス】コロナ前とコロナ流行以降のビジネス全体像の比較

最後は本題である”コロナ禍でビジネス形態を変えた”という部分についてです。eats for youは一体何をどう変えたのでしょうか。
鍵となるのは、「元々はBtoBのサービスをメインとしていた」ということです。

コロナ前のビジネスモデルキャンバス
コロナ前のビジネス全体像は下記のような形だったのではないかと推測できます。

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コロナ流行後のビジネスモデルキャンバス
コロナ後は下記の図のようなビジネス形態に変えたことが推測できます。

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塗り潰した赤い四角部分が変更した部分で、赤枠部分はコロナ以降により必要となった、もしくは価値が高まった部分です。

eats for youは、元々は企業と契約していて、オフィスの下などにコマーシャルポイントと呼ばれるお弁当を渡すトラックを置いていました。しかし、コロナ流行後はブラジルでも日本と同様に多くの会社がテレワークを推奨したため、売り上げが下がったと思われます。実際、ビジネス形態をC向けサービスに切り替えるために配送部分のシステムを改修していることなどを、3月末の時点でeats for youのCEOが報告しています。

また、もう1つ着目したいのは、顧客セグメントとして「社会貢献したい人」が追加されたと考えられる点です。日本人も、コロナ禍で家にいる時間が増えたことで、自分の生活や社会のことを改めて考える時間が増えたと言われています。おそらくブラジルも同様ではないでしょうか。社会貢献したい人がeats for you経由でお弁当を購入し、ホームレスなどの食事を摂ることが困難な人に配達するといった活動に繋がっているようです。そこで、「食を通じた社会貢献活動の場の提供」という価値も加わりました。
また、ブラジルでもレストランなどの閉店が多く発生しており、そこで働いていた料理人たちがeats for youに登録するなど、「職を失った人々への働く場の提供」にも繋がっているようです。

Tangityとしての社会課題解決への今後の取り組み

冒頭にも書いている通り、今回の内容はTangityの社会課題解決に繋がるような取り組みの1つとしてNPO団体様向けに実施したセミナーの一部分です。
コロナ禍によりNPO団体様の活動のニーズが高まっている一方で、寄付金の減少やコロナによる活動の制限で思うような支援活動ができていないと聞いています。
Tangityは今回のセミナーに留まらず、NPO団体様が支援活動をしやすくなるような取り組みを一緒に検討していきます。また、Tangityの強みである「デザイン」とNTTデータの強みである「テクノロジー」の力を合わせて、どのように社会課題を解決するためのサポートができるか、これまで以上に考えていきたいです。

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