How might we?問題への対処法[前編]
みなさん、デザイン思考でイノベーティブなサービスをどんどん作り出していますか?Tangityで研修関連を担当しております大坪五郎と申します。
デザイン思考の研修を数十回担当し、How might we?で立ち止まることが多いことに気がつきました。その根本的な理由は
How might we?ではデザイナーの意志が問われている
から。とっても優秀な人でも「あなたは何がしたいわけ?」と問うと驚くほどまともな答えが帰ってこない。詳細は前回のnoteをご参照ください。本日書きたいのは
「じゃあどうすればいいの?」
について。
架空のケーススタディ
いきなりですが、こんな状況を想定しましょう。
問題設定:子供が小学校4年生で関東地区に住んでいる男性がペルソナ。
「そろそろうちの子供も受験を考えた方がいいんじゃないかしら。ほらXXちゃんのところもYYちゃんのところも塾に通わせるって言ってるし」
と奥さんが言い出す。ああ、中学受験か。そもそもうち私立に通わせるほど収入あったっけ?それは私の稼ぎが悪いせいですか、すいません。でもサッカーも一生懸命やっているし、塾に通わせると盆も正月もなくなるっていうしなあ。そう思ってのらりくらりと誤魔化してきたけど、奥様のプレッシャーは高まるばかり。
「あなた子供のことちゃんと考えてるの!XXちゃんのところは..YYちゃんのところは…もう時間がないのよ!」
注記:これは純粋に架空のシナリオであり、実際の経験ではありません。筆がすらすら進むのは私の想像力が豊かだからです。
ここで、このペルソナのためにHow might we?を考えてください!とお願いするとこんなものが出てきたりします。
どうすれば私たちは
【対象となるユーザー】子供の受験でうんざりしているお父さんが、
【制約】奥様の意思は不動であるという制約を考慮して
【ゴール】受験に対して前向きな姿勢で楽しく取り組めるように
することができるだろうか?
ちゃんとHow might we?のテンプレートに沿っています。しかし私はこのHow might we?には「もう少し考えましょう」と言います。何がまずいのか?どうすればいいのか?
抽象的な解決策の説明
デザイン思考のプロセスの中でHow might we?は重要であるにもかかわらず、「どうやってHow might we?を定義するのか」についての良い説明はなかなか見つかりません。こういう時は他の文脈を探してみましょう。
OODAループというフレームワークがあります。以下引用します。
OODAループについて調べていくと、情勢への適応:Orientというステップが正にHow might we?に該当することに気がつきました。
ここでスタックする人が多いところまでHow might we?と共通しています。ではどうやってOrient=How might we?を決めればよいのか?別の本から引用します。
この本でSchwerpunktの訳語として挙げられている「焦点と方向性」これがHow might we?を考える際に重要な要素です。
研修で提案されるHow might we?は多くの場合範囲が広すぎる。先ほど挙げた仮想のHow might we?では、子供の受験で悩んでいるあらゆるお父さんの悩みが解消されるといいなあ、と言っているだけで対象とする範囲は広くぼんやりしています。
良いHow might we?を定義しようと思えば、焦点を定める、すなわち対処すべき問題の候補をより具体化、列挙し、その中から選択する必要があるのです。その上で選択された問題にどのような方向性で臨むかを決断する。
ところが
グループで考えると「選択」がなかなかできない。あれも必要だよね、これも重要だよね。じゃあみんなの意見をまとめると、、焦点の定まっていないHow might we?の出来上がりです。
なるほど。焦点と方向性か!じゃあより焦点を絞って考えよう。あれ?でも前に挙げたHow might we?って「受験にうんざりしているお父さん」って十分具体的に考えているような気がするけどなあ。というわけで、「焦点と方向性」というキーワードを念頭に置いたとしてもまだ良いHow might we?を定義できるようになるまでには距離がある。何が必要か?
と書いたところで十分長くなってしまったので今回はここまで。次回をお楽しみに。
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