ローカルスキルとグローバルスキル
どちらが優れているという話ではないのですが、筆者の会社ではスタッフのグローバルスキル強化に力を入れています。
ここで言うグローバルスキルとは普遍的に、どこに行っても通用する力のことを指しています。
例えばコミュニケーション能力です。どのようなコミュニティ、学校、職場、サークルなど、どこに行っても人が2人以上いればコミュニケーションが発生します。
対してローカルスキルとは、そこでしか通用しないがスペシャルな技術です。
職人さんなどの技術がこれにあたります。
ごく狭い範囲で圧倒的な力を発揮する能力です。
どちらも習得するには長い期間を必要とするのが一般的です。
筆者はいわゆるシステムエンジニア出身で特にネットワークを得意としています。
数百人規模のイントラネットを構築したり、多拠点をVPNで繋いでみたりと。
10数年前はパソコンを器用に使えると言うだけでお金を稼ぐことも簡単でした。
ニーズもそれなりにありフリーランスというスタイルで仕事をしていても同年代サラリーマンよりも稼ぐことができていました。
その「パソコン屋」のような仕事もiPhoneという黒船の到来で家庭から消えていき、今は法人需要が中心になって仕事が減ってしまいました。
また、パソコンが一般化し手元にはスマートフォンがありいつでもインターネットにつながることができる環境が発生して、それに伴い筆者が得意としていた技術もWEBサービスとして便利なものが多数出てきて出番を失いました。
筆者は45歳になるのですが、社会に出た頃はパソコンを使えるというのはある種のローカルスキルでしたが、年々一般化して「文字の読み書きが出来る」に近いレベルのスキルセットとなりました。
今でも高いレベルでパソコンを使うことができれば人並み以上の収入を得ることもできますがインターネットの接続設定ができる、各種アプリケーションをインストールすることができる、プリンタの接続設定ができる。
この程度のスキルでは職業として成立させるのが難しくなっているのが現状です。
こういったことを経験してきたので失われていく知識や技術より失われず、ステージを選ばないスキルを磨いていこうと思い行動するようになりました。
特に筆者は飽きっぽいところがあり、本当の職人さんのように1つの技術を極めるところまでたどり着けない性格も、その考え方に拍車をかけました。
筆者が特に習得するべきと考えているスキルはコミュニケーション能力です。
これを高いレベルで使うことができれば、転職してもスムーズに新しいコミュニティに馴染むことができ、仕事も優しく教えてもらうことができるでしょう。
逆に技術力は高くてもコミュニケーション能力が低いと新しい場所に馴染めずに仕事をするのが辛い状態になるという話も頻繁です。
悲しいことに現代はインスタントな時代になっており、そこそこの物を短いライフサイクルで使う、また30年間の平成不況で財布の紐は固くなり「コスパがいい」物を求めるようになりました。
食べ物でも一流の材料と一流の技術で作られた料理よりも、そこそこの味と価格で雰囲気の良いお店の方が流行っていたりします。
いわゆる一流店にも当然需要はありますが、汎用的なお店と比べて需要が落ちてきています。実際、筆者の地元の一流料亭から相談を受けて、そこそこの材料に一流の技術を使う。最高級から見ると一段落ちた内容のメニューを作ることになり、それが大受けするということがありました。
筆者が経営するiPhone修理店はローカルスキルで収入を得ているのですが、やはり過去の経験から、iPhoneに変わる黒船がやってきたらと思うと恐怖を感じます。
毎年新機種が出て、それを見るたびに胸を撫で下ろすということを続けているわけです。
わかりやすく稼ぐには一つの技術を突き詰める。つまり人にできないことをやるというのが近道かと思いますが、需要がなくなる可能性を考えると怖いですね。
ということでスタッフたちには、うちは修理屋じゃなくサービス業だという指導をしています。常にお客様とコミュニケーションを取り続けて良い関係性を作っていくことを目標としています。
iPhoneの修理店である以上は修理ができて当たり前。丁寧は最低限のスキルとして、お客様にプラス1を与える接客をしなさいと。