9月展示会ご案内 須藤晋平個展 『遠雷のパラレル』
みなさん、こんにちは。
タネノスでは9月1日〜28日まで、須藤晋平個展『遠雷のパラレル』を開催しております。
超リアルかと思いきや『?』を見つける少し不思議な『パラレル』の世界をお楽しみください。
今回、作品が展示された空間に入った時の素直な感想は…「博物館か科学館か」です。
もちろんアート(今回は油彩が主です)なのですから「ギャラリーか美術館」という単語が適当なのでしょうが、なんかちょっと違う…
自然や動物等、作品のモチーフから受ける部分は多いのでしょうが、でもそれだけじゃないんだよなぁ。うーん。と考える。
そうだ!標本や図鑑を楽しんでいる時と同じ感覚がする、と気がつきました。
標本も図鑑も物体そのものを保存したり、写し取っているのですが、そこには完全なリアルではなく人の意思や手が加わっています。
見る人に見やすい様に、形を整えられたり断面をクローズアップされたりとか。
須藤さんの描く世界も同じ感覚が。
パッと見た瞬間は、モチーフの姿も色もリアルでくっきりハッキリね、と思うのですが、次の瞬間に『?』とモゾモゾとする違和感が滲むのを感じます。
多分それは作家の中だけに存在する、聞こえない音や見えない筈の断面や裏側がリアルと混ざり合ってカンバスの上に存在するからでしょうか。
それは作家からのコメントからも分かります。
『例えば、雷鳴が届かない程遠く、無音で光る稲妻を眺めている時のように 「観測することしか叶わない或いは仮説を立てることしかできない領域との間にある距離」について、その空白を駆け巡る知的好奇心と想像力の可能性を探りながら描きました』
遠くで雷鳴が轟き、空を稲光が切り裂く。
安全な部屋の中から見るソレは、1枚の絵画の様であり物語の1幕の様でもある。
聞こえないはずの音を、見えないはずの色を、わたしたちは頭の中で補完し完成された形とします。
作品を前に、まさしく頭の中でその作業をしている自分がいました。
もしかして、これは作家の狙い通り?かも。
油彩のほかにドローイングの作品の展示もあります。
そして、こちらは全て描いてしまわない『欠け』が目を引きます。
わたしたちは当たり前の様に『正解』を頭の中で想像します。
焚き火の下の地面や馬の欠けている体の部分を。
けれどもはたしてソレが正解なのでしょうか?
空の端っこは本当に同じ空なのでしょうか?
想像もつかないモノが欠けを埋めているのかも。
1つ1つのパラレルの世界に開いた窓から、中を覗き見る。
少し何かを足してみて、自分の中のもう1つの世界を完成させてみる。
既に知っているモノなのか、突拍子もないモノなのか。
そんな感覚をお楽しみ頂ければ嬉しいです。
須藤晋平 個展 『遠雷のパラレル』
2024年9月1日〜9月28日まで
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