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NCT WISH 'Steady' -全ての人を包み込む、優しい贈り物-

NCT WISHの1stミニアルバム「Steady」に収録されたタイトル曲「Steady」があまりにも良曲で、心揺さぶられているのでnoteにしたためます。

彼らの活動を温かく見守るくらいの、ゆるゆるファンの戯言ですがお許しください。

感想メインで、少し考察のようなことも試みました。



3段階の楽しみ方 〜深まる魅力〜


まず、私はこの曲を3段階で楽しませてもらいました。

①音源を聴く
②MVを見る
③和訳を見て歌詞の意味を知る 

段階毎に良い意味で印象がどんどん変わり、
魅力が深まるばかり。

①音源

まず、音源だけを聴いたときは爽やかでポップな印象。
キャッチーなサビ、2番目に入るとラップがあったり、メロディーが1番とは少し変わったり(シオンくんとユウシくんのハモリが刺さり過ぎる)、ラストスパートは転調してジェヒくんのハイトーンボイスで盛り上がっていく…
それにしても、ユニゾンが綺麗すぎないか…? 
異なる素敵な声色を一人一人が持っていて、まるで「選りすぐりの素材を揃えました!!」という感じ。
次から次へと違う音色が聞こえてきて、でも6人の音色がピタッと重なった時の「NCT WISHの声」としての一体感が凄い。
耳だけでもすごく楽しい!!(単純な感想)


②MV


そして当然のようにMVも気になり、視聴。
ガラッと印象が変わりました。

MVもさぞかし明るい雰囲気なのだろうと思ってって見てみたのに…
気づいたら、泣いていました。
MVを見て泣いたのは初めてかもしれないです。

何とも言い表し難い感情。
映画館で2時間の長編映画を見終え、照明がついた時のような…ふわふわとした感情。
そんな感情にふさわしい名前を見つける前に、自然と涙がこぼれてしまった。

儚くて、切ないはずなのに、
それよりも、優しさや温かさが勝る。
誰も取りこぼさない、
大げさだけれども、まるで世界中の全ての人を包みこんでくれる、
"贈り物"のような作品だと思いました。

(MVの具体的な感想や考察は後述)

③歌詞の意味

そして、私は韓国語があまり分からないので、和訳を表示しながらMV視聴。
思わず涙が込み上げてきた歌詞が2箇所ありました。

1つ目

君は美しい
青々とした眼差し
その優しい話し方
このまま変わらないで

君と出会えたことを奇跡だと思い、
君は美しくて、それ以上のことは望まない、
ただ変わらないでいて、と。
今の状況に心から幸せを見出している、
なんかもう平和そのものですよね。

「〜〜したい」や「〜〜してほしい」などの欲望を歌うなんてことはなくて、
「このまま行こう」という意味の歌詞も後に繰り返されるように、僕と君の「今」をそのまま続けていこうという、そんな優しい歌詞を見て込み上げてくるものがある。


2つ目

独りでふらっと旅に出たり、
人生初のマイカーを買ったり、
世界中のどんな贈り物も
君との出逢いほどトキメクだろうか。

個人的な話にはなりますが、私は20年以上生きてきた人間なのに「恋愛」というものがよく分かりません。誰かを好きになり、付き合うということがよく分かりません。

でも、この歌詞を見た時に「恋」ってそういうことなのかと、ハッと気付かされたように思います。
今まで聴いたどんなラブソングよりも共感できるし、真に共感できたのは初めてかもしれない。

これまで何曲ものラブソングを聴いたけれど、それは自分にはない感情、きっと自分には訪れないだろうシチュエーションを歌った曲だった。

しかし、本曲「Steady」に限っては、自分の中にある感情かもしれない、自分にも恋をする時がやってくるかもしれない、とそんな淡い期待を抱くことができた。

自分のことを歌った曲に出会うとはどういうことか少しわかったような気がする。
誰も置いていかない、すべての恋や愛を肯定してくれる曲だと確信する。
(※P.Sにてもう少し掘り下げて書きました。)

NCT WISHの皆に恋や愛を教えてもらったような
気持ちになりました。


MVのお気に入りポイント


ここからはMVの個人的推しポイント💡

サクヤの多彩な表情

このMV、世界観もストーリーも非の打ち所のない完璧な作品だと思うのですが、特に注目して見たのはサクヤくんが幽霊に対して見せる数々の表情です。

幽霊に出会ってしまったサクヤくん
自分のキーホルダーを嬉しそうに紹介するサクヤくん
仲間に見守られながら幽霊に出くわすサクヤくん
ちょっと気恥ずかしい
ダンスを真似る幽霊を見るサクヤくん
そんな幽霊が可笑しくて愛おしい


幽霊がいなくなってしまった現実に直面するサクヤくん


表情一つ一つが、素晴らしすぎやしませんか??
まるで映画のワンシーンのように眩しすぎやしませんか??
全く過度ではなく、とても自然体なのに、幽霊に抱く気持ちが非常に分かりやすく伝わってくる。
一つのMVでこんなにも沢山の鮮やかな表情を見せてくれる。
主演男優賞を差し上げたい。

サクヤと幽霊を見守る5人という構図

そして、そんな可愛らしいサクヤくんと幽霊を見守るシオン、ジェヒ、リク、ユウシ、リョウという構図もまた良いんですよね。

幽霊のことも仲間に入れてあげたり
一緒に時を過ごしたり
手を繋ぐ幽霊とサクヤくんを見て一緒にドキドキしたり
なんか言えよ〜と茶化したり
他の生徒から幽霊のことがバレないよう隠してあげたり


仲間達が時々二人のことを茶化しながらも、優しく見守る、その空間や時間が何よりも温かくて、優しくて、美しい世界だ。

ラストシーンの描き方

そして、幽霊が緑色の流れ星となってお空へ行った後の描き方も好きです。
彼らを悲しく虚しく描くのではなく、今までの日常に戻り、幽霊と過ごした時間と変わらず時が進んでいる様子が鮮やかに描かれている。

幽霊と行った数々の場所が再び出てくる。
幽霊と一緒にした事をなぞるかのように同じ事をする。
そして、その頃空には緑色の星が輝いている。

「ページごといっぱいに埋め尽くそう
終わらない話だけで」
という歌詞があるように、物語は終わっていないのだという前向きな印象を強く受ける。
そんな描き方が素敵だなと思うし、
心が温かいまま見終わることができる。

幽霊視点から捉えると…

この曲の歌詞はMVの中で言うとサクヤ→幽霊という視点で描かれているのかなと思っていたけれど、何度もMVを見るうちに幽霊→サクヤの視点からも捉えられるのでは?と思い始めた。

MVの中の幽霊というキャラクターは、突如サクヤの前に姿を現した「孤独な存在」というイメージが強い。
サクヤそして5人の仲間達はそんな幽霊を全く異質なものと思わない。
排他的な扱いを一切とらず、当たり前に自分達と同じようもののようにに触れている。
彼らの純粋な少年心みたいなものが垣間見えて、ほっこりする。

人間のように服を着せてみたり
自分達が幽霊の真似をしてみたり


そして、幽霊がサクヤの袖を引くこのシーン
(おそらくただ単にダンスを見てほしいという意味ではあるが)
その直後の「もう僕を一人にしないで」という歌詞と重ねてみると、"孤独な状況からやっと抜け出した幽霊がサクヤを今も求めている"ように映る。

星になって空に帰る前にサクヤそして仲間達の人の温かみに触れた幽霊が、再び孤独になることを恐れているのかな…なんて思わされる。
そうすると、この曲のすべての歌詞が幽霊目線であると考えても不自然ではない。
「その優しい話し方 変わらないで」というのも、サクヤの幽霊への話しかけ方がとっっても優しそうなことから合点がいく。

解釈の仕方が一通りではなく、色んな捉え方が出来るのもまた魅力的です。


本当にこんなにも素敵な敵な贈り物に出会えたことに感謝したい。
沢山の人に愛される曲になりますように。


P.S.
クィアリーディングを試みる


ちょっと小難しい話になるかもしれませんが、クィアリーディングの観点からこの曲を読み解くこともできそうだなと思いました。

クィア・リーディングとは、ごく単純化していえば、「女性は男性を、男性は女性を」という異性愛の枠内に収まらない性愛のありかたに注目する作品読解の方法である。

現代ビジネス Official髭男dismの大ヒット曲「Pretender」を同性愛から読み解く
https://gendai.media/articles/-/66965


ちなみに私自身がこの類の話にそこまで明るい訳ではありません…。
ただ、この歌詞やMVでの描写を通し、思いを抱く相手の性別を特定する記号や要素がないこと(MVではましてや相手は人間でもない)、そして世間一般で言う「恋愛」における行為を想定するような要素もあまりないことから、アイドルが歌ってきた従来のラブソングとは一線を画すな〜と思わせられたのは確かです。 

異性愛者も、同性愛者も、
そして、恋愛をしない人(アセクシャル・アロマンティック等)も、
どんな人にとっても「自分のための歌だ」と思える曲になっているんじゃないでしょうか。

「Let’s go steady」を「付き合おう」という意味に捉えると、やはり恋愛を歌う歌なのかもしれませんが、「着実に行こう」「安定した関係でいよう」と捉えると、どんな関係性にも当てはめられると思います。

恋、友情、家族愛や仲間愛
名前のつけられない特別な関係
自分にとって大切な存在へのトキメキ
(もちろん推しへの愛も♡)

僕(私)と君がいて、その関係はすべて「恋愛」という枠に収められる訳ではないですよね。

その枠を超えて、もっとシンプルに、

君と出会えたことへの喜び
もう孤独にはなりたくないという気持ち
この関係が永遠に続きますようにという願い

これらは誰の心にもあり得る感情。
そんな感情を歌った歌だと思います。

性別や恋愛の規範に囚われない、
すべての人に届く曲だよね〜
というお話でした。




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