デマ、SNS、病原菌(前編)
最近、ちょっと絶望していることがある。
年下の人が見ているかもしれない場で、大人が安易に悲観や絶望を垂れ流すのは良くないと普段から思っているのですが、ちょっと耐えかねている。
それは私が寿命を迎えるまでの人生において、掲題のデマ、SNS、病原菌の問題に一生振り回されないといけないんだろうなという直感である。
2つ例を挙げたい
![](https://assets.st-note.com/img/1721789015842-cpwLMlaZiz.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1721790140730-Wl3xXHrc6y.png?width=1200)
これらの”誤解”豊田章夫氏の発言を曲解して認証不正と紐づけている内容は発信者側の当事者憎し、何か思想信条があって貴社やライターが貶める意図で書いている訳では恐らくないだろう。小山田氏の”いじめ”がどこまで真実であったのかは当人の説明以外に検証するものがないが、現在でもヤフコメでは「とにかく小山田は真っ黒だと思う」「小山田の意見を丸のみにした記事に意味はない」とすごい論調である。記事の主な内容である殺害予告や誹謗中傷に対する反応は一切見られない。
とにかく、こうした断定型で善悪をはっきりとまとめた内容はビューを稼ぎやすい事は誰しも知っている事だろう。実際私もX上で試しに断定口調で義憤を燃やす・面白くまとめるようなツイートをしてみたら、これが伸びるんすわ。RPもいいねの数も。ある程度の正確性と曖昧さを無視して断定してまとめられた情報が、みんな大好きなようだ。ただ、伸びたからってどうだって言うんだろうか?別に私には1円にもならないし特に幸福も感じないのに。
主題に至る前に、別の事例を紹介したい。
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こちらの事件、元々は悪質な煽り運転を和歌山県警に通報したものの捜査がされずYoutuberが騒ぎマスコミも取り上げたことで逮捕に至った、という経緯なのですが、これはつまり「たとえ動画があったにせよ誰もケガしてない・何も壊されてない煽り運転の逮捕・起訴は優先度が低く難しい・マンパワーが足りず捜査できない」「だが、世論が動いて警察の評判が落ちることを危惧し捜査・逮捕に至った」という事になる。事件になるかならないか、犯罪者になるかならないかは警察や司法が決めるのではなく、世論が決めるのだろうか?
次に、こちらを取り上げたい。
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私は林真須美被告が冤罪かどうかは分からないし、判断でも出来ない。
ただもし、私が道端を歩いていて子供会がカレーを作っているのを見て、おっどれどれ美味そうだなとヒョイと鍋を覗きこんでいる場面がYoutuberに撮影されていて、事件が起きて炎上して捜査されて逮捕、死刑というのも無くもない。もちろん科学捜査というものもあるが、人質司法で何日もプロに怒鳴られ続けたらありもしない”自供”してしまいかねないし、一度逮捕されたら無罪釈放されても誹謗中傷が止まないのは容易に想像がつく。
バカな妄想だと思いますか?大川原加工機の事件はお忘れだろうか?
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こちらに至っては科学的な操作がなされていたにも関わらず、1年以上70歳を超える老人を逮捕拘留し、後に逮捕も起訴も違法だったことが判明したが、逮捕された3人のうち一人は適切な治療も受けられなかった事でがんで逮捕されたまま亡くなっている。後に誤りが訂正されたところで遅いのだ。
列挙した一つ一つの事例の問題点は、低レベルな視聴者に合わせた低レベルな記事、ザッピングして視聴する受け手に引っ掛かるようキャッチーな見出しやミスリードを多用しがちなインターネットジャーナリズム、一度貼られたレッテルは剥がせない、警察の捜査が世論のような曖昧さに動かされる不確かさ、とそれぞれ異なるが通底しているのはデマとSNS、それに動かされて憎しみを燃やす大衆構造だ。
つまり、ポストトゥルースというインテリ言葉で肩をすくめたり、インターネットやめろと笑っている場合ではないのだ。私がネットもSNSもやめた所でみんながやめなかったらデマと誹謗中傷と、相互不信からは逃げられないし今日にも明日にも私やあなたが”炎上”して破滅するかもしれない。もしくは実家の家族が「【悲報】おばあちゃん、山手線を止めてしまうw」みたいなタイトルで顔名前住所晒されて迷惑電話や誹謗中傷、ファンネル化した人びとからリア凸に遭うかもしれない。
本当にこれ、ただの杞憂ですかね。
そしてこの問題に対して個人が出来ることはもう無い。
戦争が始まって何もかも変わるように、社会は変わってしまったのだ。