SHOWROOM考察3 歌枠の実状と注意点

どうも。
SHOWROOMで女性バーチャル系ライバーを主に視聴している成人男性です。
この記事では、多くの枠で頻繫に行われている歌の配信について考えます。

以下、SHOWROOM→SR、バーチャル→V と表記します。


⭐歌枠スタートにあたって

まず、もしもこれからSRで歌の配信を始めようと考えている読者がいれば知っておいて損はないと思いますが、SRは大きく分けて3種類あり、PCブラウザ版、スマホブラウザ版、スマホアプリ版となっています。
以前はスマホアプリ版のみがDAMのカラオケ機能を備えており、DAMの曲数の多さや、スマホ1台で始められるという手軽さから、カラオケ配信を趣味でやりたくてアプリを入れるフリーライバーも多かったようです。
長らくV枠のドンとして君臨していた某配信者も、スタートはフリー枠から趣味のカラオケ配信だったそうです。

ちなみに、アプリからのカラオケ配信はイヤホンマイクが必要なのでご注意ください。
また、PCブラウザ版でもOBS Studioによる配信を前提としてDAMカラオケが使えるようになりましたが、今のところカラオケ機能単体ではエコーをかけられず、キーも変えられないなど、未完成の状態でリリースされた印象です。
PCでは他にも本格的な機材を使った歌配信もできますが、DAMのカラオケ機能を使用しない場合、事後で良いとは言え、アカペラも含めて楽曲申請が必要だったりで面倒な面もあります。
詳しいやり方を知りたい人はご自身で調べてみてください。

⭐ギブアンドテイクの関係

歌枠の場合、ROM専と呼ばれる無言勢以外の常連リスナーは、最低でも毎曲終わりに拍手コメントの送信だけはしなければ楽しんでいないと思われてしまうので、歌が終盤に近づくとタイミングを逃さず拍手するために気を抜けなくなります。
拍手だけでなく、歌を盛り上げるための演出として、記号や絵文字を組み合わせた ”弾幕” や ”キラコメ” と呼ばれるものを送る人も少なくありませんし、気分が高揚したり、もっと盛り上げたい人は、音符・ペンライト・ミラーボールなどのギフトを投げたりで、結構やる事が多いのです。

中には ”歌詞職人” などといって、その名の通りコメント欄に歌詞を出す視聴者まで存在します。
弾幕もそうですが、元々は ”ニコニコ生放送” の文化だと聞いています。
まあこのタイプは、その場で歌詞を調べて手で打っていては間に合わないでしょうから、何らかの方法で自動化しているのかもしれませんが、配信者は自前の環境で歌詞が見えるはずなのにそこまでして出すという事は、他の視聴者に向けて親切でやってくれているのでしょうか。
まさかとは思いますが、もし手打ちならそんな事をしていないで歌を聴くのに集中してあげなさいと言いたくなりますよね。

それはともかく、何が言いたいのかというと、視聴者も手間をかけていないわけではないのですから、できれば配信者もそれなりのクオリティのものを提供してもらいたいという事です。
クオリティと言っても「そのひどい歌に需要があるとでも思ってるのか?」と言いたくなってしまうような配信者は論外として、歌が上手・下手だけの問題ではありません。

例えば私がよく見て回る女性V系ライバーなどの場合、決して歌は上手くなくても、可愛かったり面白かったりして視聴者が楽しめる歌枠ならやる価値があると言えますが、それだけでなく、雑談時とカラオケ使用時の音量差を埋めたり、歌声とカラオケ音源の音量バランスに気を遣うなどの努力はしていただきたいと思います。
機械音痴でわからないという人も、なるべくなら「わからない」で済ませずに、頑張って研究していただきたいのです。
そうでなければ、曲がかかる度に視聴者側で音量調節をしなければならず、さらに手間がかかる事になりますし、声と音源のバランスに関してはどうにもなりません。
配信者側で視聴者側の聞こえ方がわからなくても、視聴者に尋ねれば親切な人は答えてくれます。

ただし、一旦は改善しても、なぜか次の枠では元通りになっていたり、音源の音量も曲によって大小があったりするので注意が必要なのですが、視聴者は「毎度のように指摘して ”うるさいやつ” と思われても困る」といった葛藤を抱えていたり、面倒になって来たりして、自分からはあまり言わなくなってしまいます。
やはり、配信者側から積極的に改善のためのアクションを起こしてくれるのが望ましいと言えます。

⭐コミュニケーション

”SR考察2” のゲーム配信の話と同様に、歌枠と言っても雑談によるコミュニケーションは必要だと思われます。
ところが、歌ってばかりで視聴者が話しかける隙を与えてくれない配信者も意外といるのです。

理由としては、たまたまそういう気分だったり、とにかく俺の歌を聴けというスタイルだったり、配信初心者のため緊張で話す余裕が無かったりと、まあ色々あるのでしょうが、人気を得たいと思っている場合は、視聴者を置き去りにするようなやり方は得策ではありません。
仮に曲の合間にチラッと会話しても、「まだ話の続きがあるのに…」という状況で、そそくさと次の曲をかけられるとがっかりしてしまいますよね。
「この配信者は我々と話すのが嫌なのか…」と思ってしまいます。

単に歌を聴くだけであれば、素人の生配信など開かずともオーディオ機器やアプリ、動画の類でプロの歌を再生すれば良いのですから、わざわざSRを使うという事は、ROM専以外の視聴者は何かしらのコミュニケーションを欲しているわけですし、ROM専はROM専なりに、雑談も聴きたいから来ているはずなのです。
それに、聴き流すだけならまだしも、多少なりとも枠主を推している視聴者は、前述のように拍手や弾幕を打ったり、有料・無料を問わずギフトで応援するという手間もかけているのですから、曲終わりの「ありがとう」だけでは愛想が無さすぎます。
ファンは ”拍手弾幕打ちギフト投げbot” ではないのです。
たとえトークスキルに自信が無いとしても、歌に逃げるような事をしていては発展性が無く、ファンは増えにくいと思われます。

V枠でよく行われているVsinger系のオーディションなども同じで、歌い手と同時に配信者になるためのオーディションでもあるので、デビューした人がゲーム配信など色々やっているのを見てもわかる通り、歌のみを審査されているわけではなく、配信者としての総合的な素質や才能も見られているのだと思います。
リアルライブでもMCパートというのがあるように、SRも歌枠だからと言って歌えば良いというものではなく、雑談をバランス良く織り交ぜる必要があると言えます。

念のために言うのですが、”バランス良く織り交ぜる” という言葉の意味は、例えば ”前半は雑談、後半は歌” というようにキッチリ分けるのではなく、歌と歌の間に短くとも数分間は雑談を挟み、視聴者が ”いつ話しかけても応対してくれる配信者” と思える状態にしておくという事です。
でなければ、”歌うのに忙しそうで話しかけにくい配信者” という空気が出てしまうおそれがあります。
コメントが過疎状態なら仕方ありませんが、話しかけてくれる人がいた時は、しばらく話し相手をした方がファンの増加・維持につながると考えられます。

⭐リクエストとレパートリー

歌枠ではよく「お気軽にリクエストしてください」などと言っている配信者がいますが、その場でリクエストをしてみたところで、歌えない曲ばかりだったりして無駄に終わる事が少なくはないため、視聴者も積極的になれませんし、確実に歌える曲はいつも聴かされている定番曲になってしまうので、リクエストするまでもありません。
そんなこんなで、選曲はその時の配信者の気分にゆだねるという結論になりがちなので、呼びかけてもあまり意味が無いのかもしれません。

現状できる事と言えば、たまにやっている人を見かけますが、プロフィールやリンク先にレパートリーを載せておき、その中から選んでもらうやり方くらいしか無いと思います。
しかし、レパートリーが多いと、載せる方も選ぶ方もそれなりに手間がかかりますし、逆に少な過ぎても同じ曲ばかりで飽きられてしまうのが難しいところです。
ある程度常連さんが通うようなルームになれば、「あの歌また聴きたいな」と、過去に歌った曲をリクエストしてくれる場合もありますが、それも常連さんの気分次第です。

新規の曲を増やす場合に関しては、マシュマロなどで事前に募集して覚えられる人はそれでも良いのですが、仕事や学業が忙しくて覚える時間も体力も無いという人もいるでしょう。
それに、視聴者と曲の好みが合わなければ、配信者はそもそも覚える気にもならないのではないでしょうか。
視聴者からすると、原曲は知らなくても、気に入った配信者が歌ってくれる曲は、よほど好みの路線から外れていない限りは良い歌に思えるものです。

視聴者と配信者の好みの相性に加え、曲と配信者の歌声の相性も良ければ、当然それがベストです。
しかし結局、相性は偶然のマッチングによるものなので、私が思うに、配信者はリクエストに頼って曲を決めるのもたまには良いですが、”〇〇縛り” など、前もってセットリストを考える企画力を養った方が良いでしょう。
また、歌枠の頻度が高い人は特にですが、同じ曲ばかり歌って飽きられないように、可能であれば新曲をどんどん取り入れるか、古い曲でもレパートリーを増やしてまんべんなく歌う努力をしていただきたいと思います。

⭐リスクのある選曲

選曲路線については、前述のように好みや相性の問題なので、ここでとやかく言うべきではないのでしょうが、趣味の配信ではなく、ファンの増加・維持を目標に配信をするという前提であえて言わせていただくなら、物事には広く一般受けするものとしないものがあるという事です。

いわゆる ”聴かせる系” の曲、”泣かせる系” の曲などの ”自己陶酔型” とも言われるようなものは、私の推測では一般に受けが良いとは思えません。
バラードでも癒しになるようなライトな曲であれば大いに結構なのですが、どギツいものは一般視聴者にとってハードルが高い気がします。
よほど歌唱技術の高いプロシンガーが感情豊かに歌い上げたとしても好みが分かれそうなものですが、プロ級の人ならばいざ知らず、まだまだ素人の域を出ないレベルの配信者であれば特に、そういう曲に手を出すのは無謀と言えるのではないでしょうか。

リクエストされたとしても、何でもかんでもリクエストに応えれば良いというものではありませんし、一般人の耳をあまりナメていてもいけません。
判定基準の甘い視聴者なら素人の歌でも感動してくれたり、あるいはお世辞で褒めてくれたりもしますが、褒めて伸ばすと言っても限界がありますし、褒められてばかりの配信者が自分の改善点に気付かないままになるとすれば、結果的にファンは減ってしまうかもしれません。

なので、私が少し具体的な話をさせていただくと、感情豊かに歌おうとするとわざとらしく聞こえてしまったり、感情の高ぶる場面で声が大きくなってうるさく感じる視聴者もいると思うので、歌唱力がともなわない場合は余計にリスクのある選曲だと考えられます。

視聴者は、ポイントによる応援のやり甲斐も含め、あくまで娯楽として配信を見に行くので、配信者が1人で気持ち良くなっているようでは困ります。
楽しくなく、癒しにならず、言葉は悪いですが辛気臭いだけで感動できないような歌を聴かされても、練習かストレス発散に付き合わされているようなもので、苦痛にはなっても娯楽にはなりません。

残念ながら、ストレス発散に付き合わせて良いほど視聴者は配信者と親しい関係になれませんし、練習ならばそうと断った上で実際に練習している時に枠を開き、「そういう場面も見たいというディープなファンだけ来てください」というスタンスで配信すべきです。
ただし、それで来てくれる常連さんが少なければ配信者は傷付くかもしれませんし、そう思った常連さんが気を遣って来てくれるのだとしたら、やはり歌練習の枠などもあまり良いとは言えないのかもしれません。
何はともあれ、マニア層にしか受けないような選曲はしない方が無難だと私は思います。

それからもう一つ、具体的な曲名を挙げて申し訳ないのですが、イベント終了間際の盛り上げによく使われる ”ファンサ” は、誰もかれもが歌うので、私は正直言って飽きました。
曲がかかり、大量のギフトが飛び、誰かが「ファン刺しちゃうぞ🔪」とコメントするという一連の流れを何度見せられたかわかりません(現在は「刺す」という言葉がNGワードで伏せ字にされてしまうのでコメントは見かけなくなりましたが…)。
まあ曲自体を特に好きではないせいもあるでしょうが、私にはもう ”ギフト強要ソング” にしか聞こえなくなってしまいました。
とは言え、「私もアレやってみたい!」という憧れを持っている新人ライバーさんもいるでしょうから、一度くらいおやりになるのは否定しませんが、何事もワンパターンになれば飽きられるのが当然という事は頭の片隅に入れておいていただきたいと思います。

その他、注意すべき選曲としては、音域に無理があり過ぎるものも、本格的に歌う場合は苦しそうに聞こえたり、無理矢理しぼり出そうとして声がうるさくなったりで視聴者は不快に思うでしょうから、あまりおすすめできません。
また、選曲の話とはズレてしまいますが、変にクセの強い歌い方も嫌われそうなので気を付けなければいけませんし、弾き語りというものも個人で好みが分かれそうなので、それなりの覚悟は必要だと思います。

⭐おわりに

歌の生配信で視聴者の心をつかむのも簡単でないという事は、あらためて言わずともおわかりでしょう。
配信者のキャラクターを気に入っても、歌や環境を気に入るかどうかはまた別です。
一度はファンになっても、快適とは言えない環境で心地良くもない歌を頻繫に聴かされ、拍手や応援をしなければならない状況が続いたとしたら、そのファンは疲れて離れて行くかもしれません。

お店の居心地が良くなければ客足が遠のくのは普通の事です。
なかなか難しいかもしれませんが、配信者の方々も視聴者の身になった上で、もてなし方の工夫をしていただきたいと思います。

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