kintoneでつなぐ、災害に強い未来 ~下妻市のDX戦略
「災害時に武器を使った事例を聞くことは財産となる」
この下妻市長の言葉は、茨城県下妻市で行われた「サイボウズ災害支援チームによる講演会・勉強会」の参加者全員の心に深く響きました。この発言が示唆するように、未曾有の災害に備えるためには、日頃の情報共有と連携が不可欠です。
こんにちは、サイボウズソーシャルデザインラボ災害支援チームのsayakaです。今回のkintoneを活用した災害時の情報共有に関する講演会・勉強会は、下妻市役所DX推進課小林氏のご熱意のもと、サイボウズが協力し、実現いたしました。
下妻市の挑戦とkintoneとの出会い
下妻市は、2011年の東日本大震災、2015年の豪雨災害など、数々の災害を経験してきました。これらの教訓を活かし、市民の生命を守るため、市はICTを活用した防災体制の構築を強化しています。
その一環として、2022年にサイボウズが実施した自治体全職員対象の「kintone1年間無料キャンペーン」を経て、2023年6月から全職員350名を対象にkintoneを導入。職員向けの丁寧な研修を実施し、全職員がkintoneを使いこなせる環境を整えました。
講演会で高まる共感と熱意
講演会では、災害支援チームリーダーの柴田が、「災害時におけるICT活用の現在地~事例から学ぶ、今備えるべきこと~」と題し、最新の災害事例とICT活用の重要性について講演を行いました。石川県能登半島地震を題材に、自治体が日頃から備えておくべきことについて、具体的な事例を交えて解説しました。
会場には、下妻市長、副市長をはじめ、自衛隊、消防、社会福祉協議会、新聞社など、85名を超える多岐にわたる分野の方々が集まりました。講演後には、「kintone導入による情報共有の改善」など、ICT活用の期待感が高まっている様子が伺えました。
特に印象的だったのは、下妻市長からの言葉です。「災害時に武器を使った事例を聞くことは財産となる」という言葉は、単にICTの重要性を訴えるだけでなく、市民を守るためにあらゆる手段を講じるという、市長の強い想いを感じました。今回の講演会が、参加者の防災意識をこれまで以上に高め、地域全体の防災力向上に繋がることを期待します。
災害時におけるkintoneの活用に関する勉強会
午後は、「災害時におけるkintoneの活用に関する勉強会」が開催され、活発な議論が交わされました。参加者は、DX推進課をはじめ、福祉課、消防防災課、長寿支援課、下妻市社会福祉協議会など、様々な部署から集まりました。
まず、柴田より、実際に災害ボランティアセンターの運営に活用しているkintoneアプリを紹介させていただきました。被災地の状況に合わせて柔軟にアレンジは可能ですが、ベースとなるアプリテンプレートは、以下の研修テキストからダウンロードすることができます。
また、今回の2時間にわたる勉強会では、kintone活用による業務効率化とデータ可視化を中心にお伝えし、理解を深めていただくことができました。そして、下妻市の災害時アプリに関するサイボウズからのアドバイスも行いました。
今後の展望と他の自治体への波及効果
kintoneの柔軟性と拡張性は、災害対策の枠を超え、行政全体の業務効率化に革新をもたらす可能性を秘めています。本講演会・勉強会を企画されたDX推進課の小林氏は、2015年の常総市豪雨災害を経験し、情報共有の円滑化がいかに重要かを実感されたそうです。
下妻市では、kintoneを活用した災害対応アプリの開発を通じて、情報共有のボトルネックを解消し、迅速な意思決定を可能にする環境を構築しています。この取り組みは、調布市やいわき市の事例に見られるように、行政と社会福祉協議会が連携し、避難所運営から災害ボランティアセンターの運営まで、一連の業務を効率的に統合するプラットフォームへと将来的な発展が期待できます。
Next Actionとしては、下妻市モデルを周辺の自治体へ迅速に展開し、広域的な連携を強化することが重要です。サイボウズは、引き続き、成功事例の共有やノウハウの提供を通じて、下妻市の取り組みを支援していきます。