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フランス旅行(15) day2
僕らは庭を見に行くことにした。庭は美術館の入り口からそのまま、美術館沿いを一周するように作られていた。庭にはいくつかの象徴的な植物と生き物がいた。象徴的な植物とは小さな赤い実をつける植物や艶やかなシダ植物、象徴的な生き物とはカタツムリ。とにかく、大小さまざまのカタツムリがいた。植物の葉の裏や、壁にも張り付いていた。庭にはテラス席があり、テーブルがいくつか並び、それぞれのテーブルに椅子が何脚かずつ置かれていた。テラス席には売店のような店があり、そこではコーヒーやサンドイッチなんかの軽食が売っている雰囲気があった。店の店員らしい人にちょうど1人の客が話かけたところだった。ちょいと店に近づいてどんなメニューがあるのか調べにいこうとしたけれど、会話を始めた2人は長めの会話に突入し始めているらしいことと、彼女は庭を先に進んで行っていたこともあり、店のメニューを調べることをやめた…諦めたというよりも…。そのまま庭を進んでいくと、倒れている木から水が流れているところがあった。どうやら水は人工的にどこかから引いてきて、木から流しているらしかった。木から水を流せばどうにかなる…ではないれけど、単純すぎて(木に苔がついている良さや、水の流し方に何の思い入れもなく、自然な感じをだそうとしていないところが)、安っぽく感じた。美術館内のよくわからない作品…NFLの選手に粘土上のバーベルプレートを壁に投げつけた軌跡を展示するようなことに、費用はかけているのに、こういうところには意外に、気を遣わないらしい…カルティエは。僕らが美術館を出るときに、カフェにいた”赤いベレー帽にメガネをかけたおしゃれマダム”を含む3人が入っていくところだった。僕らと同様に、この美術館に来る前にカフェにいた3人だった。あのカフェに行き、美術館にいく人、美術館に行き、あのカフェに行く人…きっと、僕らがフランスに来るずっと前から、このルートはあって、何人もの人たちが僕らが通ったのと同じようなルートを辿り、同じようなことをして、カルティエ美術館について失望したり、歓喜したり、ロクでもない感情を抱いては、この道を後にしたのだろう。この道には日本では今どき珍しいガソリンスタンドがあった。ガソリンを給油するところに屋根がないところなんかもアナログな感じがしたし、給油する機械の横に2段になっているタイヤラックがあり、並べ方も雑然としているあたりもひと昔前の感じがした。こういういのがいい。