
石橋たかゆきとネコ
観察そして真似ぶ
小2まで、家に三毛猫のメス「サンコ」が居た。
サンコをよくなでなでした。
どこをどうなでれば喜ぶのか、
嫌がるのか、ようく研究した。
そして、よく観察した。
彼女が子猫を産んだとき、一番に父親を呼びに行って見せた。
彼女は父が好きだった。
彼女が寝るのは、日当たりの良い温かい所だったから、
よく一緒に寝転がった。寒い夜、サンコは、ぼくの上で寝た。
柔道一直線という柔道のドラマにハマり、
サンコの受け身を研究した。
背中が下になるように抱き上げては、手を離すのだ。
連日、何度も、何度も。
サンコは嫌がり、手や顔をひっかかれたり、鼻をかじられたりした。
お蔭で猫の受け身の仕組みがわかった。
最初に顔が上向きから下向きに回転し、
上半身が回転し、最後に下半身の順にいく。
下半身が回転しきらない高さでは、
受け身をし損なうこともわかった。
ねずみは当然で、鳩まで獲る優秀なハンターだった。
彼女は、じっと姿勢を低くして、にじりより、
飛び立つ瞬間、ジャンプして両手で掴むのだ。
サンコが伸びをする様子を見て真似をした。
背骨を一個一個、上から下に、下から上にと伸ばすのだ。
あくびも真似をした。
真似しなかったのは、舌で全身を舐めることだった。
今につながる道は、この時から始まった。
最初の師匠はサンコなのだ。