【町内】250年以上続くお祭りを続けるためにやったこと
昨年、年行司委員長として与板十五夜まつりの屋台運営を担ってから一年。
周りのサポートを頂きながら、何とか年行司委員長の任務を全うできましたが、お祭りの中心にいたことで、多くの課題を感じずにはいられませんでした。
昨年のお祭りで経験したことはコチラ。
その経験から課題として感じたことはコチラ。
ヒエラルキーが見え隠れする固定的な組織
出不足金など時代錯誤な制度
自己犠牲精神の蔓延、、、
そんな環境下で、生涯に何回この役を務めなければと、考えただけでゾッとしたことを今でも覚えています。
よくお祭りは子どもたちのためにと言われますが、それを言うなら、子どもたちが将来負担なく運用できるよう、今のうちに制度や体制を整えなければなりません。
と、偉そうに言っても何もやらなければ意味がない。
なので、この一年間「負担なく運営できるような制度や体制を少しずつ作ること」を目標に、色んな取り組みをしてきました。
1.お祭りの現状と課題を冷静に分析する
課題解決するためのポイントは
①町外への門徒開放
②標準化(非属人化)
の2つです。
ただ、「いろんな人たちに入ってもらいましょう」とか、「誰にでもできるようにしましょう」とむやみに提案しても、「お前は伝統をバカにしてるのか!」と一蹴されるだけです。(実際、私は飲み会の席で言われました (笑))
なので、感情論にならないよう、お祭りの現状と課題を客観的に分析しまた。
与板十五夜まつりは、毎年9月中旬の十五夜の時期に開催される都野神社の秋季例大祭です。
お祭りは五穀豊穣(収穫への感謝と翌年の豊作を祈願)を目的としていますが、お祭りの中の屋台運行(※)は町内における団結力の向上や経済を回すことへの意味合いが大きいのです。
(※)そもそも屋台運営は、江戸時代中期に三国街道や信濃川河川交通など交通の要所として賑わった与板で、台頭した当時の商人(豪商)が京都の祇園祭を模して屋台3台をつくったことから始まる。
人がたくさんいた時代は、屋台運営がうまく回っていましたが、現在は町内の商店数減少や町内会員の減少及び高齢化と、時代背景が大きく変わり、屋台運行の維持が難しくなっている状況です。
これまで続いていた制度や体制を見直し、整えていくことで、屋台運行を今後も続けられるような仕組みを考えなくてはいけません。
という旨の内容を文書化して、年初の町内総会で説明しました。
文句を言われるかと思いましたが、みんな心のどこかで思っていたことだったからか、この取り組みに対して、町内の人たちからの反対意見はなく、承認を得ることができました。
町内会の運営において、客観的な分析及びその文書化の重要性を実感しました。
2.課題解決のためにやったこと
町内総会での承認後、町内会の有志を集めた「後継者育成を考える会」として、様々な取り組みを実施しました。
1.町外への門徒開放〜お囃子練習会〜
お祭り当日、屋台に乗りながらお囃子(太鼓や笛の演奏)をします。
これまで町内の人たちでやっていたお囃子を、町内外の人たちでもやれるようにしました。
とはいえ、一定以上の演奏レベルにならないと本番で演奏できないので、レベルアップを図るべく、お囃子練習会を定期的に開催しました。
練習会では子どもを中心に多くの方々に参加して頂きましたし、地元新聞でこの取り組みが掲載されました。
具体例を後述しますが、練習会をやったことで課題も見つかりましたし、学ぶことも多かったです。
この取り組みで大切なことは継続性であり、無理せず改善できるところから仕組みを変えていけたらと思います。
2.標準化(非属人化)〜マニュアル化〜
お囃子の楽譜化
お囃子練習会で感じたのは笛のハードルがかなり高いこと。太鼓は見よう見真似で練習できますが、笛は初心者にとって音を出すことすら難易度が高いです。(一方、上達すればするほど太鼓の方が難しいと私は考えています。)
練習会だけで笛を覚えるのは難しいと判断し、笛の貸し出しや楽譜を提供し、練習会以外でも個人的に練習できるように対応しました。
笛の楽譜は会のメンバーが作ってくれて、とても助かりましたm(_ _)m
なお、練習会で笛を教える段取りとして、
①吹き方、楽譜の見方を伝えて、見本をみせる
②笛を中心的に拭いてもらう笛タイムを設ける
③笛や楽譜を渡し、後日自主練できるようにする
としました。
練習会ごとに笛がどんどん上達する人もいて、自主練ができることの大切さを実感しました。
屋台組立解体作業のマニュアル化
お祭り1週間前に屋台の組み立て作業、お祭り終了後に屋台の解体作業をおこないます。
この作業はすでに町外の多くの方々に手伝ってもらっていますが、全体を理解し作業指示ができるキーマンが属人化していて、全体を把握しきれなかったり、指示待ちのボトルネックとなっていました。
実際に去年はキーマンがいないところで誤った手順を踏んでしまい、屋台の大輪が脱輪する恐れがありました(汗)
なので、キーマンがいなくても『屋台の組み立て解体が最低限出来る』ようなマニュアルを作ることになりました。
3.お祭りの広報活動
私がコミュニティ・スクール・ディレクターという、学校と地域をコーディネートする仕事をしている役柄、与板小中学校の先生方とお話しする機会が多いです。
先生方に、与板への郷土愛を育むイベントの一つに与板十五夜まつりがあると伝えたところ、総合学習の授業で与板十五夜まつりを説明する機会をいただきました。(実際、私がUターンしたきっかけの一つが与板十五夜まつりの存在でした。)
総合学習の座学ではお祭りの目的から現状、課題まで本音ベースでお話しました。
屋台見学では、屋台の構造に関して屋台保存協議会の方から説明。
自分の思ってた以上にお祭り好きの子が多いようで、屋台に乗ったことや引いたことのある子がなんと8割超えでした!
今年のお祭りも参加するとのことで、めっちゃ嬉しい!!
3.取り組んだことの効果
1.お祭り準備
お祭りの1週間前に屋台の組み立て作業をしました。
マニュアルは作りましたが、あくまで机上での作成だったため、マニュアル通りに作って問題ないか確認しながらの作業でした。
参加者の方々からも協力してもらったので、若干時間がかかりましたが、マニュアルを精査しながら無事に作業を終えることができました。
屋台の組み立て解体作業の参加者の半数以上は町内外の方々。高齢化が進む町内会において、もはやなくてはならない存在ですm(_ _)m
2.お祭り当日
広報活動のおかげか(だと嬉しい🤣)、昨年よりたくさんの子どもたちがお祭りに参加してた気がします。(有り難いことに先生方も多数参加されていました!!)
そして、何よりも嬉しかったのが、お囃子練習会でずっと太鼓を教えてた子どもたちが下り屋台の大太鼓デビューしたこと。
暑いなか長時間大変だったと思いますが、頑張って叩き続けてくれました。
今年は太鼓のみになりましたが、来年は笛を吹ける子を輩出するべく、後継者育成に努めます!
3.お祭りの総括
30年以上、屋台の上で笛を吹いていた私ですが、昨年、年行司委員長をやったことで、お祭り全体を見渡せるようになりました。
昨年の段階で、私の考えに賛同してくれる町内の人は少数でしたが、今年はいろんな部分で頼られることが増え、町内の人たちが私の話を聞いてくれることが多くなりました。
地域での取り組みで大切なことは、やってみることと継続性です。
「子ども世代が負担なく運営できるような制度や体制を作ること」の達成には道半ばですが、やってみて気づくことが多かったです。
課題は山積していますが、長期的な視点で無理せず少しずつ改善していけたらと思います。