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北山猛邦「『ギロチン城』殺人事件」考察(ネタバレあり)
引用、ページ数は文庫のものです。
【登場人物】
【門番】道桐一
【看守】道桐悠
【王】道桐藍
【医師】ローザ・フィアールカ
【執事】七村月子
【侍女】城間小夜
【斧】道桐二
【荷車】道桐三
【手枷】道桐四
【判事】道桐五
【書記】頼科有生
【刑吏】幕辺ナコ
【死】・
【世界】道桐久一郎
【年代について】
「『ギロチン城』殺人事件」の時期は以下の会話から推測できる。
p.141 「フランスでは、二十年くらい前まで、ギロチン刑が執行されていたそうですね」
(略)
「実際には一九七七年がギロチンによる処刑の最後の年になります。一九八一年に死刑が廃止され、ギロチンも歴史から姿を消しました」
「二十年くらい前まで」と「『ギロチン城』殺人事件」の刊行が2005年ということを踏まえると、時代は2001年~2005年あたりだろう。
【間取りについて】
記述を元に推測。全部は埋まらなかった。無念……。
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p.62 書斎は玄関ホールを出てすぐの場所にあった。
p.68-69 (略)書斎を出て行く。(略)廊下に出て、玄関ホールへ移動する。(略)再び廊下を抜けて、静脈認証装置が備えつけられた扉の前に立つ。(略)
「ここはコンピュータ室になります」
p.78 廊下の一番奥で、城間が立ち止まった。(略)中から七村の返事が聞こえたので(略)
p.105-106 サロンから廊下の奥へ向かうと、合計で四つの扉が目に入る。そのうち、左手側に連なる二つの扉には、生態認証によるロックが施されていて(略)
右手側に連なっているのは、普通のドアだ。手前の扉からノックしてみる。(略)そこは単なる洗面所だった。(略)続いて隣の部屋をノックする。四の云う『奥の部屋』が一階にある部屋を指すなら、悠がいるのはここに違いない。
p.112 屋根つきのポーチから、正面に五十メートルほど進むと、白い壁が目の前に立ちはだかる。
p.122 借り受けた客室の、すぐ隣の部屋。
p.218 「普段、私は自分の部屋の窓から出入りします。(略)
【ネタバレ考察】
■四章でギロチンが落ちてきた後の頼科、雪とナコ、悠の動き
四章でギロチンが落ちてきた後の頼科、雪とナコ、悠の動きを推測するとこんな感じ。悠が壁をすり抜けてるって? いやいやきっと両側に扉のある部屋だったんだよ。でないとおかしくなっちゃうので異論は認めない。(もっといい異論だったら教えてくださいまし。)
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■藍の存在について
p.147 「もともと藍という名は、私の母、つまり道桐久一郎の妻の名前なの。母は、私たちを産んですぐに病気で亡くなったわ」
また、終わりのほうで藍がこうも云っている。
p.353 「戸籍にはどうやら、藍は存在しないみたいなの。(略)」
「同一戸籍内の者と同一の名をつけることはできない」ので、藍の云う通り母親と同じ名前の藍が戸籍に存在することはない。子供に名前をつける前に亡くなったのであれば母親と同じ名前をつけることは可能だが、病気でとあるので産んですぐ亡くなったというわけではなさそうだ。ということで勘の良い人ならp.147で”藍”という人物の存在の不確かさに確信を抱くかもしれない。
藍と悠については黄金の羊毛邸の『ギロチン城』殺人事件 ネタバレ感想で詳しく説明されているのでそちらを参照して欲しい。
なお、藍と悠の母親は一と『死』の母親でもある。
p.245 「(略)だから私たちはクォーターということになるわね。母はハーフだから」
「私たち、というのは二さんたちも含めてですか?」
「いいえ、二より下の子たちは違う。『死』はドールの血をひいているわ。(略)」
余談だが、お兄様、お姉様の呼び方、母親の違い等を踏まえると、兄妹の順は以下となる。
一、藍/悠、『死』、二、三、四、五
『死』には名前がないのでおそらく戸籍もないのだろう。
【小ネタ解説】
登場人物の名前
幕辺ナコ:映画「処刑人」の登場人物「コナー・マクマナス」から。(明治大学ミステリ研究会 機関誌「一方通行」の北山猛邦インタビューより)
道桐:道のしんにょうを取ると「首」、首桐⇒首切り。
ローザ・フィアールカ:薔薇とすみれ。
固有名詞
ヒルベルト・ホテル(p.24他):ヒルベルトの無限ホテルのパラドックス - Wikipedia から取ったと思われる。
【城シリーズのゆるいつながり】
城シリーズは特に明言されていないが、ゆるいつながりがありそう。
『六人の首なし騎士』の短剣(p.136):「『瑠璃城』殺人事件」の短剣がここにも存在している……?
ドール家(p.245):「『クロック城』殺人事件」の黒鴣瑠華の母、セティア・ドールはドール家の出身。はたしてつながりは?
アリス人形(p.273):「『アリス・ミラー城』殺人事件」とのゆるいつながり。と云えない事もないかな。