会いに来る七夕飾り〜活動から広がる笑顔の連鎖
今回は、ライター瀧千登勢さんによる、タナレッド、ロングインタビュー記事です。七夕飾りが誕生するまでの背景やエピソードについて書いてくださいました。会いに来る七夕飾り誕生の秘話も!読んでいただけたら嬉しいです。
「会いに来る七夕飾り」
さやかさんがこの活動を始めたきっかけは、2020年『仙台七夕まつり』の中止がきっかけでした。「会いに来る七夕飾り」の衣装は、さやかさんが仙台七夕の伝統的な大きな飾りをモチーフにしてデザイン、制作したものです
「Facebookライブ配信で商店街を紹介し、七夕飾りの仮装でレポートして歩く」というアイデアが好評で、その反響がきっかけとなりました。この活動の初期の模様は「仙台ふららん」のチャンネルで見ることができます。
さやかさんが、中学生の頃から始めた仮装歴は40年に及びます。
その経験が、さやかさんの難しい時期を乗り越えるきっかけとなり、彼女を「会いに来る七夕飾り」の活動へと導いたのです。
幼少期からのものづくり
幼少期を大阪で過ごしたさやかさん。
工作や折り紙など何かを作ることが得意だった静かな子供でした。
妹さんが生後間もなく病に見舞われました。さやかさんが3歳の時です。以降、ご両親は妹さんにかかりきりとなられました。さやかさんは幼心に寂しかったそうです。でも、お兄さんとさやかさんは、近所の人たちに助けられ、人に恵まれた環境で育つことができました。
また、大阪で育ったことも、彼女のユーモラスなセンスを養ったのかもしれません。
得意だったのは、工作や折り紙で、テレビを見ながら何かを作ることが好きでした。中学生になった頃からは、自分で染めた布を使って衣装を作り、それを着て、ひとり楽しみました。
苦手だったのは友人関係。女子のグループを遠目に、少し斜めに見てしまう。そんな子供でした。
一人の楽しさから、みんなとの楽しさへ
周りとの距離を感じ、一人で物作りや読書を楽しむ女の子。そんなさやかさんの人生が大きく変わったのは、高校の学園祭でした。
そこで、自身の手で何かを作り出し、その出来上がった作品やイベントを通じて他の人々と繋がる喜びを初めて体験します。それは新たな楽しさの発見であり、さやかさんにとって大きな転機となりました。
この時感じたワクワクする気持ちを忘れられず、さやかさんは大学卒業後、広告代理店に就職しました。
さやかさんは、結婚を機に退職、郡山、仙台で子育てに専念する生活を送りました。しかしその間にも、物作りや仮装を通じて人々と繋がる楽しさは消えませんでした。
毎年ハロウィンの時期には仮装イベントを開催し、近所の子供達を誘って一緒に楽しむこと10年間続けました。
辛い日々からの脱出
その後、さやかさんは離婚を経験します。ほぼ同時期に、ふたりの娘さんはそれぞれに自立して家を出ていました。
さやかさんは、何をする気力も、友人に会うことさえも億劫になり、職場と自宅を往復するだけの生活が1年ほど続きます。
このままではいけない、何かを始めなくては…
外に出るきっかけと考えを巡らせた時、さやかさんの脳裏に真っ先に浮かんだのは「仮装」でした。
「何もしたくないけれど、仮装ならできる…!」
さやかさんは友人と一緒に、仮装で街歩きを始めました。
「会いに来る七夕飾り」のスタートです。
1マイルから始まる笑顔の連鎖
この経験がきっかけとなり、さやかさんは、「会いに来る七夕飾り」という活動を始めました。この活動は仙台の七夕祭りでの体験から始まり、さやかさん自身の笑顔を引き出し、さらに周囲の人々も笑顔になったのです。
さやかさんの行動が生み出す笑顔は、まるで連鎖反応のように広がりました。
「自分自身が楽しみ、楽しさを表現することが、他人を喜ばせる力になっている!」
また、仮装にはネガティブな表情は似合いません。さやかさんは、50代にして笑うことが増えました。
仮装をしながらの移動は体力を要します。より心身の健康に気をつけるようになりました。
その後、活動は日々進化し、「会いに来る七夕飾り」は今や地元の愛されるキャラクターに。人々の間で認知され、活動の幅が少しずつ広がっています。また、様々な出会いによって、さやかさんの考え方や気持ちも変化していきました。
さやかさんは、「会いに来る七夕祭り」活動を通じて人々を喜ばせることが、自身の喜びにもなっていると気づいたのです。
自分自身が楽しむことから始まり、周りの人々に笑顔をもたらす。「会いに来る七夕飾り」。
現在、さやかさんを中心とした「会いに来る七夕飾り」活動は「1マイルから始まる笑顔の連鎖」を生み出し続けています。
さやかさんは、「『会いに来る七夕飾り』が仕事になり、活躍の場を全国から世界に広げたい」と語ります。孫に自慢できるような、自分が楽しんでいる姿を見せること。そのために彼女は、仮装を通じて笑顔の連鎖を生み出す活動を続けていくのです。
「会いに来る七夕飾り」。今日もその一歩は続いています、1マイルから始まる笑顔の連鎖を広げるために。
ライター 瀧 千登勢