【読書記録】次世代ガバメントから考えるコロナの政府対応
次世代ガバメント、一度買った当初読んだんですが、改めて今読むとなるほど、、、と思う部分が多々あったため記録することにします。
ワイアード元編集長の若林さんの著書です。
若林さんとは過去に一度登壇させて頂いたことがあり、その時は個人情報の扱われ方や今後について話したのですが、この本にもその情報が満載で非常に勉強になりました。
まず、根本的な話として今のガバメントの仕組みは実際の生活とずれて行ってしまう部分がある。例えていえば、アプリケーションがどんどん新しくなっていっているのに、OSが古いままなのでそのものがうまく作動しないことになってしまう。そのOSが行政府=ガバメントという。
ただ、今は生き方が多様化しているのでそれに一つ一つ対応していくのは非常に難しい。しかもこれからは、行政府や公共サービスのあり方は、大きい政府のそれでもなく、小さい政府のそれでもないサービスは極大だけれど、それを運営する行政府は極小ということを目指さなくてはならない。そうなった時に必要なのは、やはりテクノロジーであると著者は言っている。
テクノロジーを行政府が使うのではなく、行政でも企業でもない中間層の組織を作り、うまくテクノロジーを使った仕組みを進めることが必要。そうすれば、今までの公務員の業務が9割減るというデータもあるという。(デンマーク)ただ、そこで公務員の仕事がなくなるのではなく、やっと本義である市民の問題を解決することに取り組める。つまり自動化できる業務を出来るだけ速やかに自動化することで本来やるべき仕事に人を割く事ができるのである。公務員はこれからコミュニティマネージャーとして仕事をしていくことになる。
例えば、インドでは財源の少ない地方にお金の補助をしても、送られる途中で消えるということが多発していたことが問題だったという。それが、国民全員にIDをふることにより、個人の預金口座も作ることでそれが解消されたという。日本のマイナンバーもエストニアのマイナンバーを参考にして作らられたというが、全く利便性を伝えられず、むしろ私も何が良いのかわからず作ったふしがある。これも、きちんと伝えられていないという問題があるだろう。
ここで、著者はコロナの話にも通じることを言っています。デンマークのデザインセンターの方との対談で言っていたのですが、それは行政府の仕事で重要なのは「PR」であるということである。行政府のPRの仕事はそのコンテンツを説明するところにあり、それを市民に伝わるように説明しなければならない。そのためには伝える相手である市民のことを十分に理解しなければならず、市民にとって何が重要なのかわかってないと意味のあるコミュニケーションができないという。
まさに、今の日本の政治を示している感じがした。多様な国民のニーズがあるけれど、結論だけ言って、で結論もぽかんとする内容だけれど、それに至る敬意もないからより一層わからなくなる。マスクを2枚配布する件も、ネットで自分で追ってどういう経緯でそうなったのかわからないというのが非常に問題だと思う。
コロナでかなり今後の経済や生き方が日本だけでなく、世界的に変わると考えられる。そうなった時にこのまま今の政府に頼って過ごすことができるのか自信が全くないと感じた。
デンマークのデザインセンターの方の対談で言っていたことは、
新しいやり方をするためには新しい考え方をしなければならない。そこで、自分たちの憶測や問題の捉え方を明確に疑うことが必要でそのためには人間を理解することが必要。人間を理解するというのは、ある行動とその背後にあるセンスメイキングの仕方を理解することが必要だと言っています。
そして、そのために、様々な事件をすること、小さいことでもどんどん試して失敗しながら、変えていくことが重要だという。
日本でいうと、なかなか難しいことだが、どんどん小さい政府(市町村)からちょっとずつ変えていく方法を見つけるのがいいのかもしれない。と言いつつも、昔石垣市役所に何度か取材に行った時に、観光課で非常に面白い方がいて台湾と石垣のデザインハッカソンをやっていたのだが、結局、方針として3?年で課を異動しなければならないことが悲しいと言っていた。台湾が今回コロナ対策でうまく言ったのはそれぞれの大臣にその道のプロが採用できたからといった声もある。このように、小さいことでもどんどん失敗しながら試すという文化を根付かせるためには長期的に、同じことをできる、続けられる体制を整えることが必要なのかもしれない。