ドイツのラピュタ!のような美術館に行く
友人に紹介してもらい、ドイツの日本企業が集まる街、デュッセルドルフからトラム・バスで40分ほどのところにある「ムゼウム・インゼル・ホンブロイヒ」という美術館に行ってきました。
Museum Insel Hombroich
https://www.inselhombroich.de/de
正直、周りは畑しかない…というところにいきなりポツンと現れる美術館で、友人に教えてもらわなかったら絶対知らなかっただろう場所でしたが、鳥肌が立つぐらいとても良い空間。
美術館というよりは、箱根の彫刻の森美術館のように大規模な公園の中に美術館や彫刻が点在している感じです。後で他の友人に聞いたところ、ドイツにはこのように、大きな敷地に作品が点在して置かれている空間が多いそう。
当初は2時間ぐらいあれば全部観れるだろうと思っていたが、実はこの公園とは別に建築群が徒歩20分ほどの場所にあると知り、若干急いで見ることに。何しろ、バスが1時間,2時間に一本しかないので1本逃すと、帰りの電車も遅れてしまう…唯一足早で見てしまったことが後悔…
それくらい、広大な地で、人も多くない分自分のペースで見れるためMuseum Insel Hombroichに行く際は半日とるぐらい考えてもいいかもしれないです。
チケットを購入し中に入ると、広大な湖と森が広がります。渡された地図を見ると建物が6,7つほど点在しているのですが、入り口から見えるのは1つぐらい。
私が行ったのはちょうど10:00のオープンちょうどぐらいだったので、人も私以外、3,4人ほどしかいなく広大な世界にポツンの一人いるような感じで少しノスタルジックな気持ちになってしまいました(笑)
まず、向かったのは教会のような建物。とても小さい建物なのですが、中に入ると白い支柱が中央に立っています。壁も全て真っ白なので、光が反射してライトがないのにとても眩しい。
建築は専門ではないのでざっくりとしたことしかいえないけれど、全部あえて人工的?反自然的に作られたようなかくかくとした形になっている。ただ、周りが全部煉瓦で覆われているためそんなに、きつくならず調和しています。
こちらはカフェ。面白い形。横にある柳のような木の下にもベンチがあって、ご飯を食べれます。
ちなみに、この公園自体も元々、軍用地でコレクターのカール=ハインリヒ・ミュラーが買い取り、彫刻家のErwin Heerichが中心となり、設計された場所。全ての建築物もErwin Heerichによって建設されています。
そして、タイトルにも書いてあるとおりここは映画、ラピュタのモデルになりそうなのでは、というくらい至る所にラピュタに出てくるロボット兵のような像があります。大きい敷地なので、歩いていくと、森の真ん中に12体ほどあったり、道の間に1体、家の前に1体あったりと至る所で出てきます。
それが、まるでこの公園の番人のような、もしくは大袈裟でですが何か昔ここに文明があったのか…と思わせる遺跡のような雰囲気を醸し出しています。
そのほかにも、石で囲まれたスペースだったり、何か儀式でも行われるかのような鉄の大きな椅子が円形に囲まれて置かれていたりします。
石は、よく見ると一つ一つ絵が刻まれていて、それを辿っていくと、ストーリーになっています。中心には十字架のような像もあり、しつこくなりますが、何か儀式をする場所のような感じがします。
どちらも広場のように誰か人が集まることが思い浮かぶような作品で、椅子や石に座ると何か禅のような瞑想するような。もちろんそれが屋外、森の中だからこそより一層、スピリチャルな印象を持つのかもしれません。
そして、私が鳥肌が立った場所はこの建物のギャラリーです。
中国やアフリカの民芸品に加え、コンテンポラリーアート作品が展示されています。アフリカや中国の民藝品の美しさ、そして、それと真反対のような印象を受けるコンテンポラリーアートがバランスよく展示されていてずっと居れそうな場所でした。
個人的にアフリカの作品が好きなので、それがまさかこの建物で展示されているとは、入るまで分からなかったので一気にテンションが上がりました。
他にも、図書館(要予約?らしい)やアーティストが時々使用するギャラリーもあるそう。
Museum Insel Hombroich全体を見て、思うのは自然と人工のバランスについてだと感じました。
人工物(アート作品を含む)と自然をどう調和するのか、ただ、屋外に作品を置くだけでない様々な仕掛けがたくさんあったように思えます。
そもそも、建築物自体がアート作品ですが、形や使用しているものは明らかに人工物なのに、煉瓦を使用することで色合い的にバランスをとっていたり、(安藤忠雄だったらきっとコンクリート剥き出しにするだろう。実際に、Museum Insel Hombroichから10ふんほどにあるRaketenstation Hombroich には安藤忠雄の建築がある)その他彫刻作品も、遺跡のような、この公園のために作られたのは分かるけれど、もっと昔からあったような雰囲気があるのもあえて出すことで、バランスをとっているような気がしました。
そもそも、この公園自体人工物。その人工に作られた公園の自然空間に、また人工物を加える。そしてその人工物は自然に似せるのではなく、人間がそこに住んでいた痕跡のようなものとして点在しているのが、非常に興味深い。
個人的に今、風の谷のナウシカの漫画に似ているなと思っていて、ナウシカも(漫画版の内容のネタバレになりますが...)実は腐海自体、王蟲自体古代の人間が作った人工物であるが、その人工物を自然なものだと思い生活している人間という描写があるように、この公園も似たようなものを感じました。
簡単な感想ですが、またいつか何十年後か、行ってみたら全然印象を受けるのかもしれない。
また行ける事を願って、ここに記録します。