【読書記録】世界と一枚の紙の上に
大学院で、データビジュアライゼーションを学ぶため、一度きちんとデータビジュアライズの歴史を辿りたいと本を探していた際に出会った本。
正直値段が5000円とお高め設定だったので、買うのを躊躇しましたが、そのタイミングで誕生日プレゼントでもらえました。
読んでみると、掲載されているグラフィックや情報量を考えると5000円でも安いくらいのボリュームで一生手元に置いておきたい本になりました。
まず、地図の歴史から始まって、ダイアグラム、人文分野でのビジュアル化、そして、インフォグラフィックスまでたどることで、データビジュアライズの歴史を網羅しています。
主に、自然分野ではフンボルト、人文分野ではノイラートを中心に話が展開していきます。
人間が、どんな興味があって、情報を可視化していきたいと思ったのか、歴史を辿ることで現在のデータビジュアライズにつながっていくので、これから行くコースの前にこの本が読めて非常に勉強になりました。
特に、わたしの興味である人文分野のビジュアライゼーションの章でその当時の専門家がどのようにすれば、ユーザーに伝わりやすいのかを試行錯誤している様子が見れたのと、データの確実性と、見た目としてのわかりやすさを両方組み込むためにはどうしたら良いか、と記載されている箇所は面白い。
最初の章ではフンボルトが自然研究を書いた「コスモス」の話。正直フンボルトは、完全に「探検家」のイメージだったので、こんなに人々に自分の行ってきた研究を「伝え」ようとした人だということを知りました。データを正確に伝えるというよりは、多くのイラストを組み込むことで、絵として情報が手に入れられるイメージ。山の高さや山の高さに付随した木の種類などが記載されていて、世界地図というよりは、一地域の断面図や世界の山の高さなどを表現していた(まだこの頃は正確な計測方法がなかったのもある)
最初は自然にまつわるデータビジュアルが多いけれど、徐々に文化人類学的な、国間の動物や人種の違い、そして、コレラなどの病気の分布として地図が使われるようになる。もちろんだけれどそれら技術はイギリスやフランスを中心に知識が広がっていくイメージがしました。特に、イギリスの産業革命による鉄道の普及により、地図が多く使われているようになったのだけれど、それに通じて、運搬が盛んになったことで、国間や地域間の情報を知りやすくなった印象がありました。
特に印象に残ったのがにペーターマンのビジュアライゼーション。個性的で非常に面白い。イングランドの人口の密度の近接性を示すダイアグラムは蜂の巣のような見た目で作品として美しい。データビジュアライゼーションというと、いわゆるドイツで発達したようなパキッとしたアイコンで表すイメージがあったけれど、彼はグラデーションで分布図を作っていたりして、絵として美しかった
そこから、地図ベースではなく、アイコンなどを用いた「絵ことば」と言われる表現方法の話に続く。本中からみると、ドイツで発達した印象があるけれどどうなんだろう…主に、教育に重きを置いて、誰でも理解しやすいように発達したとわたしは受け取りました(間違っているかもしれない)
その章で筆者がノイラートの視覚教育について述べている部分
これが、まさにわたしが日本の大学院で興味があるところであり、まさにデータビジュアライゼーションで学ぼうと思ったことを代弁していると感じました(勝手に)
最後は「百科事典」をあげ、全ての「知」をまとめる作業を試みたことが書かれています。どのように本を分類するか(ドキュメンテーション)など。
この本を読んで、まず一人の人間が、何かに興味を持って人生を捧げる様子が見れたというのが面白い(本の趣旨と違うかもだけれど…) この人はここに興味があって、それをするために10年かけてこの地図を作ったなどと書かれていると、その熱意があってからこそのデータビジュアルの発展だし、これはきちんと学んでおかねばならないことだと思った。
そして、地図学者が自ら制作することから、どんどん医者などの専門家がデザイナーにお願いして制作する流れなど、分業の歴史も学べました。
そして、政治や教育においても統計することの重要性が浸透しいき、それをどう抽出して、「紙面上で」伝えるかの試行錯誤をしれました。
そして、現在デジタルや3Dプリンタなどを用いて、その統計のビジュアル方法の仕方が何百倍になった時に、どの統計(データ)を紙に限らずどの媒体で伝えるのが、一番わかりやすく、そして制作者の「欲」を満たせるのか考えながら組み合わせていくことてかなり面白いのでは?と思いました。
ばばばっと、自分の忘備録用に記載します(誤字脱字すみません…)