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FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G ラトビア vs オランダ マッチレビュー

やあみんな!フットボールライフ楽しんでいるかな?

アタクシの記事も新章に突入。第4節からファン・ハールが指揮を執るオランダ代表は前節トルコを破りとうとうグループGの首位となる。残りのカードは下位レートのチームが続き、最終節にラスボスのノルウェー戦が待ち受ける。今回 第7節の相手はバス停め戦術をさせたら非常に厄介なラトビアだ。

オランダはガクポがウイングに復帰。欠場のワイナルドゥムの位置にはクラーセンが入り、代わりにティルが左インサイドハーフとして出場。ラトビアはトップのグトコフスキスが欠場しトップ下だったウルドリキスを配置した。

両チームの前節までのゲーム内容を知りたい方は以下を参考にされたし。

ラトビア 4節 5節 6節
オランダ 4節 5節 6節

サマリー

読み取れる狙い

(〇上手くいった △半々 ×上手くいかなかった -無し)

【ラトビア】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):ー
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):×
カウンター戦略:〇

【オランダ】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):△
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):-
カウンター戦略:△

上記の状況になった考えられる理由

ラトビアのバス停め戦術はオランダ相手にも通用していた。オランダは圧倒的にボールを保持する展開だったが得点は19分に挙げたCKでのゴールのみとなった。オランダにとってはピッチコンディションも悪く、ボールコントロールに必要以上の意識を奪われパススピードやコンビネーション、そして決定力にも影響は出ていたと言えるだろう。

そのような状況が続くとカウンターでピンチを迎えるオランダあるある。75%ものポゼッション率のなかラトビアに撃たれた被シュート数は10本と、オランダ対策これで良し感を露呈してしまった。

気になった選手とその理由

【ラトビア】

キグルス (MF FKリエパーヤ)

オランダ対策としてトップ下で起用されボール非保持の際に左インサイドハーフに可変するタスクを忠実にこなした。中盤がボールに寄ることにより空いてしまうスペースを埋め続けた結果、オランダの流れによるゴールを0に抑えた。

またカウンターでオランダを自陣に押し戻す縦突破も備えており、攻守に渡りラトビアを支えていた。ポジトラに対応しきれず失点となるCKを与えてしまったのが悔やまれる。

【オランダ】

ティル (MF フェイエノールト)
&フラーフェンベルフ (MF アヤックス)

ワイナルドゥム不在だとどうなるのか大会にノミネートされた2名。ワイナルドゥムのオランダ代表でのタスクはビルドアップ時のアンカーのサポートをメインとしつつ、敵陣ではウイング-サイドバック時々デパイらとトライアングルを組み周囲を引き立てるボックストゥボックス。クラーセンがアタッカーとして活きるのもワイナルドゥムの立ちどころあってこそな部分もある。

ラトビア戦ではインサイドハーフが2枚ともアタッカーに近い振る舞いをしており若干バランスが悪かったかもしれない。そこを調整するクラーセンは流石だったが、どうなるのか大会を見る限りオランダの中盤はデ・ヨング、ワイナルドゥム、クラーセンの構成が群を抜いている。

ちなみに2人のうち周囲と繋がりを意識したポジショニングが上手そうなのがティルで、個人のポテンシャルが高そうなのがフラーフェンベルフといったところか。両名とも数年のうちの覚醒を期待したい。

考察 (オランダ主観)

1.相手ビルドアップの妨害について

オランダはロングボール誘導を主目的とした高い位置から人基準のプレッシングを振る舞う。その際に逆サイドのウイングが中央にスライドすることが多い。ラトビアはオランダの画策通りボールを手放すが、そもそもボール保持によるゲームメイクを行う機会はほとんど無かった。

2.第2ライン防御について

ラトビアはサイドから第2ライン突破を図る。方法としてはカウンターキャンセルからのサイド変更、もしくは中央に放り込んだロングボールのセカンド回収からダイレクト志向による展開だ。中央に集められたオランダは人基準のプレスが仇となりマーク交換のエラーからサイド裏を狙われるケースがあった。アンカーのデ・ヨングが引きずり出されたら脆さも見せる。

3.ブロック守備について

速攻を喰らってスクランブル状態となり跳ね返してから守備をセットする展開が多かった。そのためセンターバックが外に開き中盤がスペースを埋め逆サイドのウイングが中に絞る。トップクラス相手であれば二次攻撃からミドルを決められそうな懸念はある。

4.ゲーゲンプレスの回避について

ラトビアのアタックがほぼカウンターのためゲーゲンを回避する時間が作れないオランダは横展開あるいはバックパスからのロングボールで回避していた。そこからのセカンドボール回収は上手い。カウンター+ゲーゲンを敢行するラトビアの予防的マーキングが不十分だったとも言えるだろう。

5.ビルドアップについて

ラトビアのプレッシングは自陣で[4-5-1]をセットし、ボールホルダーがセンターライン付近に来たらアプローチを仕掛ける。そしてMF陣が第2ラインを維持したまま単騎による牽制プレスを振る舞っていた。そこを2CB+アンカーで外すのは容易なオランダではあるがピッチコンディションが悪いためボールスピードが出ない。そのためサイドバックがやや降りてビルドアップの出口役としてサポートに回る。

6.相手中盤の突破について

スライドの弱点となる中央や逆サイドのスペース発生を人の補填で解決するラトビアに対し、オランダはデ・ヨングが中央でボールを持ち相手を寄せてからサポートに来たサイドバックに展開、起点を作る。そしてウイングが大外に立ちボールを受ける。その際、インサイドハーフがライン間に、そしてデパイがボールに寄り気味の立ち位置を取り、ラトビアのサイドバックの寄せを遅らせていた。

7.フィニッシュワークについて

ボールを運ぶのにリソースを割いた感のあるオランダ。ゴール前では相手を攪乱させるためにデパイのゼロトップまたは逆足配置のウイングによるカットインにインサイドハーフを絡ませゴールを狙っていた。

エリア付近のサイドではウイングorデパイがボールを受けることはできる。しかしラトビアのサイドハーフのプレスバックもしくはサイドバックによるマークにより時間を浪費すると守りを固めら6対9での定位置攻撃となってしまう。7対9はたまにカウンターを浴びる。

早めの時間にセットプレーから得点できたのはオランダにとって幸いだったと言える。その後もラトビアはやり方を変えてこない。安直なクロスを放り込まないオランダにとってラトビアはとても相性の悪い相手だった。

試合はゾーン3で何ができるのか大会だった。デパイが寄るなど、同レーンで密集して形成するトライアングルに対し、ラトビアはセンターバックが引き出されずエリア内を固めるためフィニッシャーの枚数は不足がちに。お得意のカットイン、マイナスクロスによるアタック、ペナ角からのコンビネーションによる裏抜けもラトビアがMF-DF間をコンパクトにすることで機能を封じられていた。

質の面で優位に立てないというのもある。ウイングの縦突破はコンパクトなブロックの前に期待は難しい。サイドを変えてからのペナ角クロスは、エリア内に枚数が揃っていると決定機を迎えるのだが今度は空中戦の質という課題に直面していた。

8.トランジションについて

ずっと俺のターンをしたいオランダは即時奪回やクリア誘導のためのプレッシングを行うのが基本である。回収に失敗するとサイド裏を突かれるためリトリートせざるを得ない。このオランダあるあるはボールにいってしまうときに生じやすい。またネガトラ時に相手CFが降りる振る舞いにセンターバックは付いて行かずリトリートするため、人基準のプレッシングに切り替える際にギャップを突かれ進行を許す場面があった。

試合は守備全振りではあるがラトビアの健闘が評価できる内容だったとも言える。一方で勝つには勝ったが評価の分かれそうなファン・ハール式のオランダ。バス停め戦術にはクロス爆撃だとの考えもできそうではあるが、仮にシンプルなクロスを許容していたらクーマン式バルサの二の舞になっていたかもしれないしこれで良かったのかもしれない。

この試合のオランダは伝統的な被カウンター時の脆さ、ワイナルドゥム不在→クラーセン右IH配置が影響しての左サイドのコンビネーション低下、そしてガクポやティルなど若手のグループ連携の低さと質不足が気になるところだった。

確かファン・ハールは就任初戦で今のオランダはトップクラスの質を持つチームではないと嘆いていた。グループリーグでは押し込みとクリアボール回収からの二次攻撃により相手を力で捻じ伏せることも出来ようが、ワールドカップ本大会ではどうなることやら。チーム力不足なら若手覚醒させるマンのファン・ハールの腕の見せ所ではある。

まあ当の本人は守備全振りチームには1-0なこともあれば5-0になることもあるし、グループリーグで大切なのは勝利そして本大会に出場するのみが目的だ、と言い切っている。また、ピッチが悪い中で終始押し込み相手を足止めさせたことを称賛し、被カウンターやハイタワー相手に苦しむのは仕方のないこと、などと強固な意志またの名をどこ吹く風な態度でいたようでありファン・ハールらしいと言えばらしいのであった。

それではご一読ありがとうございました。TanaLifeでした。あなたの心(ハート)に平戸に祈る🙏

試合結果

2021.10.09
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G 
第7/10節 ラトビア 0-1 オランダ

【得点者】
オランダ:19' クラーセン

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