FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G トルコ vs モンテネグロ マッチレビュー
やあみんな!フットボールライフ楽しんでいるかな?
皆さんは好きなサッカーチームを応援するときに、対戦相手の試合を見て予習することはありませんか?憧れのブロガーさんらを真似して対戦前にマッチプレビューを投稿したことありませんか?
自分もやってみたことはありますが、睡眠や自由な時間を根こそぎ持っていかれて虚無虚無プリンと化したことがあります。あんなプレビューは選ばれた者しか扱えないものなのだ。
つまりグループG 第5節は既に試合が終わりましたが全然間に合いませんでした!すみません
という訳で第4節のトルコ×モンテネグロ。トルコはグループ首位を走りオランダにとっては目の上のたんこぶ。そしてモンテネグロは強さ未知数な第5節のお相手。見ておいて損はない。
トルコの監督は懐かしさがこみ上げるシェノル・ギュネシュだった。一方モンテネグロは……今度調べます。
ちなみにEURO2020のトルコのレビューはせこさんの記事(こちらのトルコ代表リンクまとめから行けます)を参考にされたし。
サマリー
読み取れる狙い【トルコ】
(〇上手くいった △半々 ×上手くいかなかった -無し)
ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):△
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):〇
カウンター戦略:〇
上記の状況になった考えられる理由
ミドルゾーンで受けるのは得意という訳ではないようだが、自陣からのロングカウンターはある程度組み込まれていた。序盤でモンテネグロのミスを突いて先制したのは大きかった。
トルコで興味深かったのはポジショナルプレーとそうでない志向の二つのポゼッションスタイルを兼用する点だ。チャルハノールとたまにユルマズは自由と思うほどの位置移動でボールホルダーに寄りモンテネグロの守備陣を引き付けようとしていた。と思えば途中からチーム全体で5レーンを意識したアタックを行い、相手からすれば相当厄介な攻撃から2点目を奪う。
前半の内に1点返されての後半。66分のコクチュ投入でポジショナルプレー志向を強める狙いがあったと思われるが、チャルハノールが目立たなくなりゲームの流れはモンテネグロに傾いた。
トルコは現時点でグループ首位だが、ボール保持/非保持ともに怪しさを残している。
読み取れる狙い【モンテネグロ】
ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):-
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):〇
カウンター戦略:△
上記の状況になった考えられる理由
センターハーフやフリーマンのFWの位置移動を見るに、おそらくポジショナルプレーは仕込まれていない。効果的なカウンターを行うだけの質と設計も持ち合わせていないように見え、トルコとは差があるように見えた。
案の定、ミスやブロック守備の構築の甘さから2失点してしまったが、トルコのバグに付け込んで得点を奪うだけの縦の攻撃は備えていた。ラストプレーのFKによる同点ゴールは一部のトルコ国民にギュネシュ解任を言わしめた。
気になった選手とその理由
トルコ
チャルハノール (MF インテル)
モンテネグロ
ボジョヴィッチ (FW FKデチッチ)
互いのチームのフリーマンを挙げてみた。いずれも基のポジションから大きく移動しビルドアップのサポートから敵陣深くに運ぶタスクをこなし戦術の核を担っていた。
ボールに寄りすぎて前線のリソースが不足することもしばしばあったが全体的には機能はしていた。リソースが不足するかどうかは重要である。
あとトルコからもう一人
ウンデル (MF オリンピック・マルセイユ)
せこさんのEURO総括だと周りとかみ合わないのが平常のようだが、この日の左利き右ウイングの振る舞いは素晴らしかった。
カウンターでは得意と思われるカットインから左足を振りぬきゴールを決めただけでなく、縦突破から幾度と右足のクロスで決定機を演出し2点目をアシストした。ウンデルの両足はモンテネグロの脅威となっていた。
考察 (オランダ主観)
1.相手ビルドアップの妨害について
トルコの1stディフェンスはボールを奪いにいく目的が強く、誘導はあまり考慮されていないように思われる。どちらかと言うと気持ち系か?バックパスにプレッシャーを仕掛け裏返される場面もあった。
GKもビルドアップ隊となるオランダ相手だと引く気がする。
モンテネグロは誘導や遮断を意識しているがやや雑。例えば被スローインからのU字展開されると対応が遅れてスペースが生じるなど。このレビューを書いている時点で次節にオランダが快勝しているのだが、どのような展開だったのか気になるところだ。
2.第2ライン防御について
トルコは[4-1-4-1]でブロックを形成する。MF-DF間は少し大きいがアンカーがスペースを埋める。だが埋まらないときもある。俗に言うアンカー脇のスペースを利用され押し込まれることがある。
オランダはそのスペースを使ってくるだろうから、インサイドハーフの立ち位置は変えてくるのではないだろうか。
モンテネグロは中盤がデュエルでボールを奪おうとする傾向が強いため、相手フリーマンのボール保持に引き付けられて綻びが発生する。それを拡げるのは割と容易な印象だ。早々に失点したというのは果たしてエクスキューズかどうか。
3.ブロック守備について
トルコはチャレンジ&カバーをベースとしたブロック守備だと思われる。CBがカバーに出るのでスペースが空くがアンカーが埋める仕組みのようだ。ただし完全なブロック守備でない場合もチャレカバを行い、中の枚数が不足する傾向もある。
仮にオランダがサイド一辺倒となると対応される可能性はある。
トルコの1失点目はGKからのロングボールを受け損ねて倒れたカラマンが、何を思ったかプレーが継続しているにもかかわらずセンターサークルで靴紐を結び直し(そう見えた)生じたスペースからDFがバグって裏を取られてしまう。せこさんの言う集中力の欠如なのかもしれない。
モンテネグロは中盤を突破された状況や後ろ向きで守ることが多かったためチーム全体としては守備力は弱い。基本的には4-4か4-5でブロックを作りたいのだろう。ただトルコの5レーンアタックには[5-4-1]気味で対応するなど柔軟な対応も見せた。サヴィッチは流石に上手い。
4.ゲーゲンプレスの回避について
トルコはチャルハノールに集めてからサイドに展開するパターンは良かった。他は特に無い。
5.ビルドアップについて
トルコは2-1+SBで構築し、サポートにチャルハノールかユルマズが入る。2人の流動性は組織として組み込まれている。GKを交えたビルドアップは不得意な模様である。
ボックストゥボックスの役割を担うオルクン・コクチュが投入されポジショナルプレー志向を強めてからのトルコは怪しかった。チャルハノールの相手を攪乱する動きが冗長な場面が増えるなど、互いの良さが相殺されたように思える。
モンテネグロも2-1+SBで構築する。SBが保持に詰まるケースも見られる。
オランダがノルウェー戦のように縦パスを出させるのかどうかがポイントとなるだろう。
6.相手中盤の突破について
トルコは主にチャルハノールがフリーマンとなりボールを受け相手を引き付ける。ユルマズはライン間でポストワークを行う。いずれかでスイッチが入るとダイレクト志向の攻撃が始まる。
モンテネグロは2枚のセンターハーフとフリーマンのFWボジョヴィッチがトライアングルを組みながらサイド展開を図る。終盤はトルコの失速に乗じて同点にするべくゴリゴリ前方に向かっていった。
いずれもオランダのコンパクトな守備で封殺できる可能性はありそうだ。しかし中盤を省略する縦攻撃には注意が必要である。
7.フィニッシュワークについて
トルコは中央の場合はダイレクト志向気味で、スイッチが入ってからフィニッシュまでが早い傾向がある。サイドでは逆足配置のウンデルがカットインとクロスの選択肢を持っていて特に前半は脅威となっていた。
また、2得点目の少し前から5レーンを意識した位置取りを見せる。対戦する相手はフリーマンの動きとポジショナルな崩しの両方を気を付けなければならない。
モンテネグロはフィニッシュワークまで運ぶことが少なかったが、裏狙いやクロスによるシンプルな攻撃を行う傾向にある。
ノルウェー×オランダではクロス対応が観察できなかったのでモンテネグロ戦を参考にしたい。
8.トランジションについて
トルコの守への切り替えは失い方が良くないことが割とあるためリトリートが中心だった。
トルコの1点目はカウンター。スローインからの攻防でお互いボールサイドに寄る中でモンテネグロSBが中央レーンにてパスミス。空いていたスペースから速攻を仕掛けクロスランニングを囮にカットインして放ったミドルシュートは相手の伸ばした足に当たりゴールに吸い込まれた。
特にオランダは注意が必要だろう。
また、29分あたりから5レーンを利用する攻撃を見せるが、その際の即時奪取は組織的だった(回避できそうだが)。
モンテネグロは切り替えの設計が微妙である。守への切り替えは攻撃と連動した設計では無いが即時奪取を図っていた。
この試合を総じてみると、モンテネグロはさておき、トルコの強さがよく分からない!EURO惨敗から時間があまり経っておらず人事は継続のため当然と言えば当然なのかもしれない。
ともあれ攻撃はオランダ相手でも通用しそうな戦術と人材を備えているわけで次のミッドウィークまでにファン・ハールとギュネシュがどのような準備を仕掛けてくるのかを考えると楽しくて仕方がないのであった。
それではご一読ありがとうございました。TanaLifeでした。あなたの心(ハート)に平戸に祈る🙏
試合結果
2021.09.02
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G
第4/10節 トルコ 2-2 モンテネグロ
【得点者】
トルコ:9' ウンデル 30' ヤズジュ
モンテネグロ:40' マルシッチ 90+7' ラドゥノヴィッチ
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