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FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G ノルウェー vs オランダ マッチレビュー

やあみんな!フットボールライフ楽しんでいるかな?

突然ですが皆さんに質問したい。あなたがW杯欧州予選をブログアーカイブするメンバーとしてグループGのレビューを行うとき、どんな役割で記事を書こうと思いますか?

とにかく自分のお気に入りのチームや選手をガンガン考察する猪突猛進ラブのアタッカータイプ。
全てのゲームを公平にレビューし素早く仕上げ多くの人に見てもらう、知識欲やサッカー愛がすさまじい爆サポータータイプ。
後は企画を盛り上げるためにジブラルタル代表に注目する遊び人タイプ。

など…がありそうですが、とにかくアーカイブ企画は自分が楽しみながら皆さんへの知識共有に協力することが大前提。
アタクシの場合ですと、実はファン・ハールの信奉者になりたいという思いをやんわりと秘めていたので、彼のフットボール哲学を学び直し、全てのレビューにその思いを投影出来れば曲がりなりにも企画趣旨と合致すると言える(?)

このノルウェー×オランダではどのようなファン・ハール哲学の一部を垣間見ることができるのだろうか。個人的に楽しみな一戦であり、学びが始まることを性の目覚めと勝手に見出すのであった。

オランダの状況を整理すると、第1節トルコ戦(A)の敗北から始まり2勝1敗。合間に行われたEURO2020ではベスト16止まり。そしてフランク・デ・ブール前監督が退任し、8/4にファン・ハールが就任。チームとしてよろしくない、準備期間がほぼ無い、かつトルコにポイントを離される訳にはいかないという中で、コペンハーゲンのときだけは格別の成績を収めるソルバッケン監督率いる厄介なノルウェーと相まみえる。

それ故にファン・ハール自身が好むポジショナルプレー志向のスタイルと、勝利至上のための現実的な縦やクロスを選択するスタイルとが果たしてどれくらいの頻度で現れるかをこの試合の魅力の一つと考えたい。

ちなみにファン・ハールの今まで評価についてはとめさんの記事(これこれ)を、EURO2020のレビューはせこさんの記事(こちらのオランダ代表リンクまとめから行けます)を参考にされたし。

サマリー

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読み取れる狙い【ノルウェー】

ボール非保持、縦志向
〇上手くいった 

上記の状況になった考えられる理由

コンパクトな[4-4-2]ゾーンディフェンスによりオランダのボール進行を制限させほとんど決定機を与えなかった。また、ボール奪取後はオランダDFラインの裏を狙い少ないボール保持の機会で効果的にチャンスを作ることが多かった。ただ、ボール保持を少し強めた試合終盤は逆にチャンスを作ることが少なかった。

読み取れる狙い【オランダ】

ボール保持、ポジショナルプレー志向
△半々

上記の状況になった考えられる理由

得意のポゼッションで相手を引き付け綻びを広げたいオランダだったが、ノルウェーの守備ブロックが見事で隙を見せないためあまり効果的なフィニッシュワークを見せることができなかった。ベース部分は出来ていたのだが…

気になった選手とその理由

ノルウェー

ハーランド (FW ドルトムント)

ノルウェーは素晴らしいグループ守備を披露したが、フィニッシュワークのタスクでは今や世界最高峰のFWであるハーランドの存在は欠かせない。DF裏を狙われやすいファン・ハールのチームにとって脅威そのものであり、この試合でもゴールを決め、少ないチャンスのなか幾度も危険な状況を作り出している。

オランダ

クラーセン (MF アヤックス)

オランダの前線が3FW+1SB+αで5レーンが形成されているときはチャンスメイクのサポートや相手のMF-DF間に位置取り、3FWのみで流動しているときはフィニッシュ位置に移動するタスクをこなしていた。その動きはボールを持たなくとも必見に値するし、更にゴールも決めてみせチームの危機を救った。正直デ・ヨング、ワイナルドゥム以上のインパクトを持った。

この男がファン・ハールのポジショナルプレーを具象化させる申し子になるのかもしれないし、逆に言うとその王道ともいえるポジショニングがノルウェーの守備を引き締めさせていたかもしれない。そのような議論をするに相応しい選手だった。

考察 (オランダ主観)

1.相手ビルドアップの妨害について

ノルウェーがビルドアップする機会が少なかったので何とも言えないところがあるが、プレッシングスイッチの開始位置は固定にしていなかった思われる。ボール非保持の際はコンパクトな[4-5-1]を敷き、セットしてからプレッシャーを仕掛けていた。

CFメンフィス・デパイの遮断の動きはノルウェーに縦ポンをさせるようにも見える。しかし強力な縦攻撃を備えるノルウェーはボールロストを許容しつつもメインアタックとしていた。おそらく他の対戦国からも同様の振る舞いをされることが多くなるだろう。

2.第2ライン防御について

ノルウェーの戦略上、記述することをあまり感じなかったため省略する。

3.ブロック守備について

ノルウェーの戦略上、こちらも記述することは特に無いが[4-5-1]の守備ブロックを敷いていた。クロス対応の際にボールとは反対側のサイドバックが対面するノルウェーのサイドハーフに合わせてマンマーク気味な行動で中央レーンに移動するときがあった。

4.ゲーゲンプレスの回避について

ノルウェーの戦略上、記述することをあまり感じなかったため省略する。

5.ビルドアップについて

ベースは2CB+アンカー(デ・ヨング)が降りてのボール保持。そしてインサイドハーフのどちらかがサポートに入る。主目的はサイドバックの押し上げによる大外の支配であり、あわよくばノルウェーの1stディフェンスを引き付けたい狙いも持つ。アンカーがCBより下に降りないのは特徴か。

しかし、ノルウェーの1stディフェンスはビルドアップを妨害するよりはセット守備でオランダのボール進行を制限することを狙っていて、それを上回ることは出来ていない印象。軍配はノルウェーに上がったと見て良いだろう。

その他、機会は少なかったがノルウェーがハイプレスを仕掛けたときはバックパスを出しGKがビルドアップに加わる。布陣を[1-4-3-3]などと表現するオランダでは今や当然の仕組みである。

6.相手中盤の突破について

高い位置を取るサイドバックを起点にしてボール保持を続け相手を攪乱する攻撃を主とする。平行パスで相手を引き付け空いたスペースを利用したり、トライアングルを形成し相手を崩すグループ攻撃はここから始まる。

しかしノルウェーのサイドハーフの二度追いが効果的で危険なスペースを生み出せずチャンスを繋げられないことも多かった。そのような中で前半30分くらいから見せるデ・ヨングの押し上りはノルウェーを攪乱させ、その後のゴールにも繋げることが出来た。以降、再現させなかったノルウェーも見事ではあるが。特に後半はサイドバックを起点にさせず攻撃をキャンセルさせるプレスが効いていた。

他のパターンとしては、ビルドアップ隊から対角ロングフィードでノルウェーのブロック守備の綻びを生み出そうとする狙いもしばしば見られた。困ったときのアタック方法と捉えることも可能なファン・ハール仕込みのアタックであると言えよう。

7.フィニッシュワークについて

中盤突破の仕方と同じ原則を持っていそうなグループ攻撃による相手サイドバックの裏の取り方は流石に見応えがある。特にデ・ヨングが絡み立ち位置で相手を攪乱する振る舞いは格別だ。

ウイングの逆足配置を好む性質上、クロスは主にサイドバックや流れてきたインサイドハーフが上げることになる。そしてファーやマイナス気味に上げる約束事ができていると思われる。ファン・ハールの志向では安直なクロスは基本的に上げないはずだが、そのような攻撃も見受けられたし、跳ね返りが被カウンターの餌食となることもあった。

ノルウェー戦はウイングの効果的なカットインを見ることは無かった。また、中央レーンからの有効的な攻撃もほとんどなかった。ノルウェーのコンパクトを保った一連の守備が良かったのもあるが、選手は攻撃の創造性に欠けるというコメントを発している。フィニッシュワークにおけるグループ攻撃(個人戦術)のバリエーションは増えるのか不安要素だ。

特にウイングの質が高まらなければ苦しいし、サイドバックもできればもう一声ほしい。

8.トランジションについて

ファン・ハールは攻守の切り替えを重要視する。ベースであるワイドアタックに伴うサイドでの即時奪取は既に仕込めている。しかし中央は怪しい。こちらは経過観察が必要だ。

また気になるのは攻撃時にサイドバックが押しあがる構成上生まれる裏のスペースだ。ゲーゲンプレスが効かないと被カウンターでまず狙われる。その回数を代表チームなのに果たして減らせるのかと考えるだけで逆にワクワクしてしまう。

ちなみにカウンターはショート・ロングともにまだ設計されていない模様。ボール保持の流れに行きつく。

失点は被セットプレー後のポジトラ失敗によるものだ。メンフィス・デパイのボールロストやガクポがストーンタスクが終わった後も押し上げられない(それがなくともオンサイドだった)など細部の甘さが出てしまい致命的な結果となっている。

上記考察以外の部分では、試合後のコメントにもあったようだが強引でもセットプレー回数を増やすアタックが少なかった。W杯予選を勝ち抜く意味では回数増を課題にすべきだろう。

ファン・ハールの初戦を総じてみると、勝利のためにトレードオフしたプレーも見ることがあったが、個でなくチーム連動を重視するポジショナルプレー志向が強めであったり時折めっちゃコンパクトな守備布陣だったり、またティンバーやガクポら若手を起用し覚醒を促す手腕など、どちらかというと皆が知っているファン・ハールらしさ濃い目で幕を開けたと言えるのではないだろうか。

ともあれ結果については勝利が欲しい中でのドローであり就任早々から相当な痛手を被った…と思ったのだが、なんとトルコがホームゲームで勝利を逃してしまいグループG全体が波乱を迎えそうな気配を醸し出すのだった。アタクシのファン・ハール追跡はまだ始まったばかり。開幕即終了とならず安堵したのである。

それではご一読ありがとうございました。TanaLifeでした。あなたの心(ハート)に平戸に祈る🙏

(後記) 企画一発目の記事なのに口上でアタクシお気に入りのゲーム実況YouTuberさんの真似をして果たして良かったのだろうか?笑
なんとも心配であるがこれからよろしくお願いします。

試合結果

2021.09.02
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G 
第4/10節 ノルウェー 1-1 オランダ

【得点者】
ノルウェー:20' ハーランド
オランダ:36' クラーセン


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