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とりとんファームの平飼いたまごは優しさつまったレモン色

驚きの色と味

田辺市龍神村『とりとんファーム』のたまごのインパクトは、何と言っても黄身の色。優しいレモン色です。

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ケースを開けると、大きさの違うたまごが並んでいることにまず驚きます。その一つを取り、割ってみると、こんもりした白身の真ん中にレモン色の黄身。思わず、「えっ!色が薄い!」と声を出してしまいました。いつも食べているたまごとは色が違ったからです。

色に驚きつつ、新鮮なたまごは、まずは、たまごかけご飯でしょと、試しに黄身を少し味見したところ、「えっ!醤油いらないかも。」。醤油や塩など何もかけてないのに、塩分を足してうま味や甘みが増したのと同じぐらい美味しいのです。「なんだ、このたまごは!?」結局、何もかけずに、あっという間に完食しました。

この驚きのたまごの秘密は餌にあります。

レモン色のたまごの秘密

余計なものを鶏に与えたくないという考えから、餌に着色料を入れず、厳選素材を自家配合しています。

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籾殻や糠、しいたけ廃菌床で培養した土着菌の発酵種を元に、そのままだと廃棄される地元の糠、くず米、おから、醤油粕なども利用し、自ら選び抜いた素材をブレンドし、発酵させてから与えています。できあがった餌は、微生物の発酵熱でほかほかと暖かく、鶏たちに大人気です。腸内環境も整うそうです。暖かい季節には野草、冬には近隣農家さんからいただく野菜など、フレッシュな素材も与えています。

発酵飼料は水分が多く、自動給餌器が使えないため、毎日の餌やりは重労働で手間も時間もかかるけれど、鶏たちの喜ぶ姿が見られるし、鶏たちはとても人に懐くそうです。

腸内環境だけではなく、鶏たちの住環境にも配慮があります。人にも鶏にも優しく健康な環境をつくることが、ご自身の目指すたまごに繋がるとの考えからです。

おいしい餌を食べ、風通しの良い鶏舎で元気に動き回る鶏たちは毎日たまごを産みます。たまごの大きさは鶏の年齢によって違うそう。不揃いのたまごをそのまま出荷するのは、どの年齢の鶏のたまごもおいしいと個性を味わっていただきたいとの思いから。

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亜矢子さんはしょっちゅう鶏たちを撫でているそう

原動力は感謝の気持ちと土地に対するリスペクト

石﨑さんご夫妻が養鶏場を営む田辺市龍神村は、25,513ヘクタールの面積に人口が3000人あまりという、面積の95%を山林が占める地域です。

移住者であるお二人が農場にする土地を探す際には、区長さんや近隣の方々が手伝ってくれました。また、「私たちもはじめは周りの方に助けられたから。今度は自分の番。」とたまごの店頭販売に協力してくれる先輩方もいます。

近隣には家庭菜園や米作りをされている方が多く、田畑のイロハを教えてくださるだけでなく、使っていない農地や農機具を使わせてくれたりと、身近に先生がたくさんいて、幅広い年齢の方とも共通の農業の話題で盛り上がるそうです。

寒い冬には火を囲みながらお酒を飲んで語り合い、春には山桜と新緑を眺めながら喜びを感じ、夏の暑い日は川で泳ぎ、台風が来れば自然の厳しさに打ちのめされ、秋祭りには楽器を演奏して収穫に感謝する。移りゆく季節の中で、時には厳しくも豊かな自然を感じながら、近隣の皆さんと共に過ごせることは、何にも代えがたい喜びだと実感しているそうです。

そんな人々のつながりが強い地域で、米作りをはじめて湧き上がってきたのは、自分たちを生かしてくれる土地に対する尊敬の気持ちです。

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生きる力をこの村から。目指すは無駄なく資源を使う循環型農業

優しく支えてくれる応援のバトンを今度は自分たちが誰かに渡したい。とりとんファームの平飼いたまごを龍神村の名物にして恩返しをしたい。感謝と尊敬心を胸に、石﨑さんご夫婦の挑戦と夢は大きく大きく広がります。

とりとんファームのとりは鶏。とんは豚。養鶏の次は養豚を。ハムやソーセージの次は、赤身が美味しい和牛を育てたい。その後は地域の河川を活かして、鰻やすっぽんも育ててみたい。

龍神マルシェを作りたい。新鮮な野菜は店頭へ。店頭に回りきらないものは調理する。残ったものは廃棄するのではなく家畜の餌へ。鶏糞などは畑の肥料になり、またおいしい野菜ができる。無駄なく循環するしくみを作って、この村から生きる力を、元気を届けたい。

やりたいことがありすぎて、100年生きても寿命が足りないと笑顔で語る石﨑さん。

「田辺においでよ。」

そこはやりたいことを始められる街。

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●とりとんファームのたまごを使用した飲食店のご紹介

東京都世田谷区池ノ上にあるペペロッソ。イタリアのマンマ(おふくろ)の作る愛情たっぷりの手打ちパスタをメインにしたイタリア料理店です。

マネージャーの藤本氏は、本場イタリアのパスタ生地を目指す中で、とりとんファームのたまごの色に惚れ込んだそう。練り込むたまごでパスタの色はかなり変わります。

現在(2021年2月)はテイクアウトのパスタ2種に使用。調理された状態で受け取れますが、パスタとソースを別々に持ち帰り、家で仕上げることもできます。

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●究極のたまごかけご飯の作り方

動画中では醤油を使用してますが、醤油なしでも美味しいです。


文:山中明日子
写真:永井 克、(公社)龍神観光協会



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