アルケミスト

学生の頃、「どれもこれも自分ではない」となって存在が揺らいだとき、パウロ・コエーリョのアルケミストを読んで、「こうやって自己を探せばいいんだ」と思いました。胸にあるものに従って生きることは、直感によって生きることで、思考だと思っている感情反応のような低速なものではなく、高速なものを頼りに生きることです。9らしい旅人の生き方がアルケミストには書いてあります。

自己というのはここにあるけれど、たくさん着込んだものによって見えなくなっているものです。全部脱いだら自己だけになるはずが、着込んだ服が自分だと思っていたのだから、自分がなくなったと感じることになります。自己に相応しい服を見つける旅に出ることで、気づかぬうちに身につけていたものは剥がれ落ち、自己の形がはっきりとしてきます。この作業はすべて胸で行うもので、直感と本音だけが頼りです。

なかったことにした本音も、気づいていない本音も、直感を鈍らせる重しになります。頭で考えたことではない素直な本音が、直感という胸の働きを復活させます。

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