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中空での自立と「無」

真っ暗闇に浮かび、何も見えず何も聞こえず、どこにも着地せず、前後左右にも触れるものがない状態では、自己という、自分の真ん中以外に頼りになるものがありません。これが中空で自立するということです。

意識は対象がなければ働かないので、中空では意識を保つことができず、意識喪失します。ブラックアウトです。肉体を持った自分を自分として生きていると、中空で意識を保つことができず、自我を持つことができません。

何か行動すれば、それに対してリアクションがあり、それによって自分を維持することに慣れていると、中空に立ったとき自分がなくなります。他者や環境からのリアクションがないと、自分が成り立たないということです。誰かに対しての愛着や、誰かからの評価に依存していると、中空で自立することはできません。

真っ暗闇に浮かび、ボールを投げても戻っても来なければ、音もしない。進む方向を、誰かが教えてもくれないし、背中を押してもくれません。意志によってのみ、時間が進み、空間を移動できる世界です。

肉体を持った自分に慣れ、地上の生活に慣れていると、中空は「何もない」「無」で、自分が消えてしまうと感じます。それはとても恐ろしいことなので、人は常に何かに夢中になり、何かしていたいと思うものです。

中空で自立していないと、肉体から離れたとき、自分がなくなります。つまり死後、自我が維持できず、流されるように輪廻の輪を回ります。

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