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小学1年生の姪っ子がくれた、冷蔵庫の中のホット缶コーヒーの話。

#キナリ杯 に応募するために、今でも思い出として残っているこの話を再投稿しました。真冬の話で今と季節がずれていますので、冬をイメージしながら読んでいただければと思います苦笑

***

僕には子どもを2人もつ姉がいるのですが、姉夫婦の仕事の都合上、今日は僕が子どもたち2人をお迎えに行きました。学童と保育園の2箇所です。


子どもたちの迎えを以前から手伝っている僕の母親から手書きの“お迎えマニュアル”をもらいました。

【子どもたちのお迎えマニュアル】  by 母
ー 家に帰ったら暖房をつける。
ー 保育園で使ったカップやスプーンフォークは洗って乾燥機に入れる。
ー 使用済みのオムツはゴミ箱に。
ー 帰ったらすぐにご飯を食べさせる。



などなど

今日初めてお迎えにいく僕からすると、手書きのマニュアルを完璧に遂行せねばという気持ちで頭がいっぱいです。

いざお迎えの本番。まずは小学1年生の姪っ子を学童に迎えにいき任務完了。続けて、姪っ子と一緒に学童の横にある保育園に甥っ子を迎えに行きます。こちらも無事に任務完了。「さぁ帰ろうか」と子どもたち2人と一緒に姉の家に車で帰ります。

車内で、1年生の姪っ子が言いました。
「タイチくん、帰ったらちょっとお出かけしよう!」
いやいやいや、帰ったら食器洗いやら夜ご飯の準備をせねばならないというマニュアルで頭の中はいっぱいだったので、
「いけん、帰ったら手を洗ってご飯たべよう!」
と姪っ子の提案を却下。

「ちょっとだけだから!」
「いけん、帰ったらご飯だから!」

2人で押し問答を何回もしながら姉の家に到着。マニュアルの任務遂行に向けて、姪っ子、甥っ子と戦います。

家についたらまずすることは「暖房をつけること」。そのあとは「晩御飯の準備」。他、多数。
ところが、暖房をつけたところでもう想定が崩れました。小学1年生の姪っ子は外で遊ぶといい、保育園児の甥っ子は外に出て行こうとする姉の姿を見て「僕もいく!」と言わんばかりに泣き出します。

(まぁまだ時間に余裕はあるし、少し遊ぶかー)

と、焦っても仕方がないなとふと思い、甥っ子を抱えて遊びに出ることにしました。

甥っ子は犬が好きで、ご近所さんが飼っている犬を指差しては「わんわん、わんわん」と言います。「そうだな、犬がおるなー」と抱っこしながら相槌をうっていると、小1の姪っ子が自分の財布をポケットから取り出して、「ちょっと買い物してくる!」と言い、50mほど先にある自動販売機に向かいました。そこの自販機でジュースを買っているのを以前から見ていたのでよくあることです。

しばらく甥っ子と「わんわん、わんわん」と言っていたら姪っ子が駆け寄ってきて聞いてきました。

「タイチくん、130円のジュースを買おうと思ったらお金ってどれを入れたらよい?」

どうやらお金は持っているけど小銭(硬貨)の使い方はまだ勉強中のようです。

「100円玉1枚と、10円玉3枚で良いよ。」
「わかった!」

そう言ってまた自販機の方に戻ると、何かがおかしかったみたいでまたこっちに来ました。

「10円玉が3枚なかった!どうすればよい?」
「そしたら100円玉2枚でも買えるよ。お釣りが70円出てくるから、取り忘れないようにな。」
「わかった!」

そういってまた自販機の方に駆けていきました。
それでもなお、端から見ていると何かに苦戦しているようだったので自販機の方に向かおうとすると、

「ちょっとこないで!あっちいってて!シッシシッシ!(手の動作つき)」

と言われたので、「じゃあ先に家に帰っとるけーちゃんと戻って来んさいよ!」といって抱っこしている甥っ子と先に家に戻りました。

帰宅するやいなや、マニュアル通りにタスクをこなしていきます。
食器を洗い、洗濯機に服やらよだれ掛けをつっこみ、使用済みオムツをゴミ箱に捨てます。それが終わったら晩御飯の準備。甥っ子が泣かないようにNHKの教育番組を見せてその間に2人分のご飯を用意します。

「ただいまー!」

と姪っ子が帰ってきたので「おかえりー、手を洗いんさいよ」と言いながらリビングの方にご飯を準備していると「タイチくん、こっち見んでよ!」と言いながらキッチンあたりで1人ゴソゴソとやっています。
こちとらマニュアルの任務完了が目前のため「はいはい、見ない見ない」と受け流すかのような返事をしてご飯の準備を続けます。

「タイチくん、もう良いで!ちょっと冷蔵庫開けてみて!」

ご飯の準備が終わりかけたくらいで小1の姪っ子にそう言われ、「はやく!はやく!」となぜか急かされるので、「はいはい、わかったわかった」と甥っ子を抱っこして冷蔵庫の方に向かいました。

「冷蔵庫のドアを開けたら上の方見てみてよ!」

そうやって小1の姪っ子が言うので言われるがままドアを開けて上の方を見ました。
すると、いろいろおかずが入っている中に自販機で買ってきたであろうQooのりんご味のペットボトルが。これはよく甥っ子が飲んでいるジュースです。なので「ジュースがあるなぁ」と答えると、続けて「そのジュースを取って!その後ろに何がある?」と。なんだなんだと思いながらジュースを取ってみると、その後ろにブラックの缶コーヒーが置いてありました。

「え?コーヒーが置いてあるよ?」と聞くと、姪っ子が言いました。

「それは、タイチくんへのプレゼントー!」

姪っ子なりのサプライズでした。

冷蔵庫から缶コーヒーを取り出すと缶が温かい。なんと冷たいやつではなくホットの方でした。「温かい飲み物は冷蔵庫に入れない」という当たり前のことをまだ認識できていない感じが無性に可愛らしく、そもそも寒いから温かいのを買ってくれたんだろう、姉夫婦や僕らはよくコーヒーを飲んでいるので「大人=コーヒー」だろうと自分なりに考えたのかなぁ思うと姪っ子の思いやりを感じ、なんとも言えない嬉しい気持ちになりました。(もらった時は単純に”冷蔵庫からあったかいコーヒーが出てきた!”という驚きしかなかったですが苦笑)

「ありがとう!コーヒーは大好きだから飲むよ!」

そう伝えると、にこっと笑った姪っ子は、目標が達成できたからかそそくさと晩御飯の方に向かっていきました。もらった缶コーヒーを持ち、Qooのジュースも開け、甥っ子と僕は食事前に喉を潤しました。

初めての子どもたちのお迎えはなんとか終わりました。一通りのことはマニュアル通りにでき(ふぅ)、これまた初めての「甥っ子のオムツ交換」ではう○こを畳に落とすという大失態をしてしまいましたが(姉よ、すまない)、大事なお小遣いを使って缶コーヒーを買ってくれた姪っ子の優しさに幸せな気持ちになりました。帰りの車の中で「お出かけしよう!」と言っていた時からサプライズすることを考えてくれていたのかもしれません。このまま心豊かで思いやりのある人に育っていってくれたら良いなぁと思います(おじさんとして手本になれるように頑張らねば。。)。

最後に、子育てをされている全ての親御さんたちを尊敬します!!この生活を毎日は大変だ!

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教育専門家 / 田中大一 / タナカタイチ
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