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ポルトガル、海沿いの街ナザレのイワシの炭火焼き
私は海なし県の出身で、かつ子供の頃夏は必ず一度は遠征して海水浴に行ってキラキラな時間を過ごしていたため、人生を通して海への憧れは並々ならぬものがある。
たとえ泳げなくても一眼見るだけで嬉しく、埋め立てた臨海エリアにある空港行きの電車から見る黒い海ですらテンションが上がる。旅先も山より街より海が好き。
そんな私なので8年前に縁あって海の近くに引っ越すことになった時は嬉しかった。魚も大好きだし。
一度場所を変えたが今もまた海の近くに住んでいる。
そんな最近、とある休日の夕方ふと思い立って近くの海辺の公園でサビキ釣りをしてみたところ、小一時間で5匹ほどのアジ、そしてサヨリが1匹釣れて大興奮。自分で食材を手に入れる喜び・・新鮮な魚が食べられるのも嬉しい。
小麦粉をつけて揚げ焼きにして朝ごはんに食べた。
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盛り付けながら脳裏に浮かんでいたのはポルトガルのナザレという町で食べたイワシだった。
ポルトガルについてはその素晴らしさについて語りたいことが多々あるが、とにもかくにもナザレ!ここは本当に素敵な街で、いつか住みたいと本気で思っている。海沿いなので魚介料理がおいしい。細い路地にも魚の干物が干してある。
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ナザレでは「サルディーニャス・アサーダス」と呼ばれるイワシの塩焼きが名物で、おもしろいのが外で焼くこと。
お店や家の外の壁に魚を焼くグリルが併設されていて、そこでパタパタ炭火を起こし、もくもく煙が立つ中魚が焼かれる。
ちなみに後から知ったところによると、イワシの旬は春〜夏でこの時期は冷凍ではない新鮮なものが食べられるらしいが、私が行ったのは5月だったのでベストシーズンだったといえる。
「ローザ・ドス・ヴェントス」という可愛いレストランで食べたのだが、本当に塩だけのシンプルな味で身がふわふわでとてもおいしかった。
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私の海外旅行は冒険であってグルメ旅行ではないのでそれほど美味しいものをたくさん食べているわけではない。
それでもやっぱり外国で食べたものの味や盛り付けは日本のそれとは違っていて記憶に色濃く残り、ふとした拍子に思い出して似たようなものを作ってみたりする。ギリシャ風レモン風味の魚のパスタとか、こってり水をつかっていない北インド風のチキンカレーとか。
旅した過去の日々はどんどん後ろに遠のいていく。それはもう昔話だ。
だけど一度知った味覚は色褪せることがない。
実はこの記事を書くために久々にナザレのイワシの写真を引っ張り出してきたのだが、約7年を経てもそれを脳裏に浮かべながら家にあるもので適当に盛りつけたアジの揚げ焼きのビジュアル再現率に我ながらやや驚いた。人参の配置よ・・!
ただのイワシの塩焼き。それがこんなにも私の中でしっかり宝物になっているとはやっぱり旅の記憶って素晴らしいなと思う。
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All Photography by 田中閑香