プール撮影会中止要請の“またかよ感”「AV新法」と似て非なる構図から思う現場の声の是非
プール撮影会が都市公園法第1条に反するとして、日本共産党埼玉県委員会ジェンダー平等委員会と日本共産党埼玉県議会議員団が貸し出し禁止を申し入れたと同団体のTwitterから発表されました。
瞬く間に拡散されて、6月9日3時現在で約4000件の引用・リツイートされています。
これがニュースとして流れてくるのはイチ個人として悲しかった......。
というのも自分は過去にメディアとして取材させてもらった経験もあるので想い入れもありますし、
何度もこういう撮影会楽しいよねという出演者たちの声を聞いたことがあるからです。
まず、今回の問題とは何なのか。
日本共産党埼玉県議会議員団の活動報告が掲載されているので、そちらを確認しつつ話を進めていきます。
6月23日から24日にかけて、埼玉県しらこばと水上公園にて「近代麻雀水着祭」という水着の撮影会が開催されます。
竹書房という出版社から「近代麻雀」という麻雀マンガ専門誌が発行されているのですが、その名前を冠して撮影会を行っているタイプですね。
この撮影会は大型の水着撮影会のなかでもとくに有名で、夏はもちろんのこと1年を通して何度か色んなプールで開催されています。
そして日本共産党埼玉県議会議員団による中止要請ですが、内容は下記のとおり。
まとめると、県が運営するプールを水着撮影会に貸し出すなよってことです。
第一条の「この法律は、都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて、都市公園の健全な発達を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」について、同団体は「過去のイベントの動画をみると水着姿の女性がわいせつなポーズやわいせつなしぐさで映っており、明らかに「性の商品化」を目的とした興業です。」と考えているそうなので、該当するのでは?と言っているわけです。
ちなみに、長ったらしい都市公園法を最初から最後まで見てみたのですが、風紀に対する条項はありませんでした。そのためこれから新たに検討するのかもしれません。
「男女共同参画社会基本法」ってなんやねんって話しなのですが、その名のとおり男女平等を推進するための法律なんだそうです。
その中に「メディアにおける女性の人権の尊重」という項目があるのですが、IT革命が起きて誰でも情報にアクセスできる時代になったので、女性が情報を発信しやすくする支援をしますよ。というのと、マスメディアが女性の性や性暴力を配慮なしに取り扱うことを防ぐことと、一方で報道の自由を担保するために対策するよーってことが書かれています。
見出しだけ見ると、団体側が突然やってきて女性の人権を訴えているのかと思いましたが、言ってることの筋は通っているんじゃないでしょうか。
県保有の施設ではないのに団体側が中止の申し入れをしていたら、関係ないじゃんで済む話しだったとは思います。
もちろん、性が商品化されていることを盾にしている!という見方もできます。ただ今回に関しては女性の人権を侵害しているイベントという言い方はその一部に過ぎないのです。県保有の施設を使用するということは品格が求められるのでしょう。
しかし、なんで撮影会主催がすでに準備して、多くのタレントたちもそれに向けてスケジュールを調整して、しかもお客さんまでチケットを買っているのにわざわざこのタイミングで中止要請をして反感を買うんだろうとは思います。
今回の一件ですが、似たような問題が先日取り上げられていたのを思い出します。
それが「AV新法」と呼ばれる「AV出演被害防止・救済法案」です。
もともとは、本人の意図に反して出演せざるを得なくなった人たちのために可決された法案でしたが、フリーのAV女優として出演している金苗希実さんが、7月に決まっていた仕事が全部取り消しになり、守られるどころか現場の女優たちが苦しんでしまったとSNSで発信したことで、「AV新法」自体が物議を醸すことになりました。
これにより、中心人物として推進していた立憲民主党の塩村あやか参議院議員が炎上。その後塩村議員は「7月の撮影を中止にできる法律ではありません」とSNSで反応すると、なんであなたが推進したのに他人事なんやって感じで更に炎上してしまいます。
調べてみると可決はされたけど施工されていないため、現段階で決まっている撮影は法律に抵触しませんと言いたかったのだろうということ。
じゃあ関係者は、法律は施工されていないのに早とちりで撮影中止にしたのかと言うとそうではなく、関係者にこの法案が周知されていなかったのも問題なのです。
元官僚でアナリストや作家として活動する宇佐美典也さんは下記のような投稿をしています。
2年以内に見直しされるということですが、なんでこういう法案は可決するのが最優先であとから考えればいいというスタンスなのか謎です。
今回の中止要請と「AV新法」は似て非なるものですが、同じような構図に見えます。
問題の焦点となるのは県保有の施設で撮影会が行われるという部分ですから、そこで収益を上げる関係者の懐事情は考慮しなくていいものです。
ですが、中止の申し入れをした城下のり子県議は、ケースワーカーとして働くも不当に解雇されたことから、撤回を求める裁判を東京地裁に起こした過去があります。
丸井八千代ジェンダー平等委員会責任者も非正規の女性らが賃金の安さによって貧困に陥っていると声を上げているのではないでしょうか。
「過去のイベントの動画をみると」と活動報告には書かれていますが、この撮影会が収入の大きな柱となっている出演者もいることを考えてみてほしいです。
出演者や関係者の声を聞くことは大事なのではないでしょうか。決して動画だけ見て県営公園と団体だけで判断するべきではないのかと思います。
少なくともすでに決まっているイベントを全部白紙に戻すのではなく、幾らかの憂慮は必要なのではないかなと。
そもそも男女共同参画を推進する立場であるならば、女性に対してのケアなどを含めて中止の申し入れをすることが、一番女性に対しての人権を尊重することではないでしょうか。貧困問題に取り組んでいるのであれば尚更です。
事実、とある出演者がすでにSNSに現状をツイートしています。
規制を守った上での事態であるならば、あまりにかわいそうと考えてしまいます。
ここからは個人的な感想。
自分はジェンダー論には正直言って関わりたくないですし、政治にも興味ありません。
そもそも小さい頃から不況で、何か声を上げれば叩かれるセンシティブな問題と認識してきました。
そんなものに時間を費やすならもっと違うことに時間を割いたほうが有意義だと思う方は、私以外にも多いのではないでしょうか。
しかし今回はこうしてnoteで一連にわたる状況を整理してみました。
不本意ながら出演している人もいるかもしれませんが、少なくとも今まで私がお仕事で関わった方々が楽しんで出演している状況があるのを知っていますし、撮影会が大きな収入源であることも事実だからです。
それなのに、よくわからん謎の団体が急に来て、中止にしろっていう謎の活動報告を自慢気に語られて、はーんって感じです。
もちろん前述したとおり、言っていることは筋が通っていると個人的には思います。
が、やはり偉い人だけで中止にしないー?みたいな議論がまかり通っている状況ってどうなのよと。
その議論が第三者を巻き込まず話し合える内容だとしても、きちんと精査する場所を設けたほうが圧倒的にポーズとしてもいいでしょとは思うわけです。
それに「AV新法」に続く、”またかよ”感がどうしても拭えません。
私みたいに政治に無頓着な人からすれば「AV新法」が出てきたときは、なんか勝手に可決されてて、知らぬ間にこんなことになっているって感じでした。
ですが今回はまた協議段階です。
まだ何らかの意見を出せるタイミングではあるので、よろしければ下記リンクより意見をお送りください。
貧困化している国や地域を調べてみると、売春などでお金を稼ぐ方々はどうしても増えていくもの。
それならば撮影会というのはある意味健全なんじゃないかという考え方もあるわけですし。
本当に女性の人権を守るというのであれば、今いちど現場の声を訊いて、再検討してみる必要があるのではないかなと思う次第でした。
※追記
ちなみにすでに何件かイベント自体が中止になっていたようです。
かなしみ