
東京銭湯巡り2 小杉湯 原宿 〜前編〜
銭湯ってなかなか使う機会ないですよね。
私もよく行くようになったのはつい最近のこと。まだまだ銭湯マニアとまではいきませんが、ゆるく銭湯の魅力を紹介できたらと思います。
文化の最先端原宿にまさかの銭湯が上陸
東京都渋谷区に位置する日本一オシャな街、原宿。芸能人と美容師とカルバンクラインの店員が闊歩するオシャレストリートに、一見オシャレとは程遠い存在のように思える「銭湯」が爆誕しました。
その名は「小杉湯 原宿」。原宿のど真ん中に、会員制サウナでもなく、高級スパでもない、ふつうの銭湯ができたことに、筆者は驚きを隠せませんでした。
小杉湯 原宿が近隣に在住、在勤/在学の人を中心にプレオープンしたのが2024年4月のこと。5月以降は段階的にそれ以外の人たちにも解放されはじめ、8月には在住制限が完全になくなりました。それ以来なかなか行くタイミングが掴めませんでしたが、2025年1月24日、ついに訪問することができました。
小杉湯は、厳密に言えば公衆浴場法の「一般公衆浴場」には分類されていません。つまりわれわれがイメージする街の銭湯とは分類が異なり、スーパー銭湯と同じ「その他の公衆浴場」に分類されています。
そのため入浴料金も自由に設定することができ(※)、東京都の銭湯の回数券などを使用することはできません。ただし大人の入浴料金は550円と普通の銭湯並みに設定されており、土日料金もなし。細かい法律はさておき、ほとんどの利用者は街の銭湯のひとつとして認識しているでしょう。
(※普通の銭湯の入浴料金は法令で決められていて、勝手に値上げしたり値下げしたりできないしくみになっています)
さて、書きたいことが多くなってしまったこと、追加での訪問が必要だという判断に至ったことを踏まえ、今回は前後編に分けてのお届けとなります。
いまお読みいただいている前編では、小杉湯の「浴場」としての魅力にフォーカスしてお届けします。しかしただの浴場にとどまらないのがこの銭湯のすごいところ。いつ書くか分からない後編では、銭湯の枠にとらわれない「体験価値」の提供に重きを置いた小杉湯 原宿のユニークな取り組みについて紹介します(すごく抽象的な言い方だ)。
では、さっそく潜入捜査開始です。
・高円寺の銭湯「小杉湯」とは
本題に入る前に触れておく必要がある銭湯がひとつ。それは、高円寺にある「小杉湯」です。小杉湯は昭和8年創業の超老舗銭湯ですが、待合室をギャラリーにしたり浴室でライブを開いたりと、時代に合わせたユニークな取り組みで銭湯文化を守り続けています。

画像出典:小杉湯HP(https://kosugiyu.co.jp/facility)
街中の銭湯は減少の一途であり、いま現在経営が窮地に立たされている銭湯も少なくない中、小杉湯は枠にとらわれない経営で多くのファンを獲得しています。
そんな小杉湯の経営者が新たに開業したのが、今回扱う小杉湯 原宿というわけです。2024年4月にオープンした商業施設「ハラカド」の地下一階に位置しており、連日多くの人で賑わっています。
・浴槽はあつ湯、ミルク風呂、水風呂の3種類
浴槽の種類は高円寺の小杉湯と変わらず、「あつ湯」「ミルク風呂」「水風呂」の3種類。
あつ湯は44度となかなかの熱さで、水風呂と合わせて温冷交代浴をすることがオススメされています。また、日替わり湯を楽しめるのもあつ湯の魅力のひとつ。潜入したタイミングでは「ヨモギと唐辛子の家湯治」という湯が沸いており、体の芯まで温まることができました。
41度と比較的入りやすい温度のミルク風呂は、保湿成分がたっぷり溶け込んだ小杉湯の名物湯。ミルク風呂を求めてわざわざ小杉湯や小杉湯 原宿に行く人もいるくらいです。実際に入ってみると肌触りが滑らかで心地よい。ファンが多いのも納得です。44度の熱湯が熱すぎることもあって、ミルク風呂の浴槽の方が混んでいました。

画像出典:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000035029.html)
・豊富なアメニティもうれしい
そして今回、地味に嬉しかったのがアメネティの豊富さ。男性の浴室のみのレビューですが、シャンプーにトリートメント、ボディウォッシュのほか、洗顔、シェービングジェル、メイク落とし用のオイルまでありました。今はメンズもメイクする時代ですからね。
また、脱衣所には洗い流さないトリートメントやオールインワンジェル、日焼け止めも完備されています。
平均的な銭湯の場合、だいたいはリンスインシャンプーとボディソープの2本立て。場所によっては備え付けの石鹸類が一切ないケースもあります。小杉湯 原宿のアメニティは、公衆浴場のみならず、スーパー銭湯と比べても群を抜いて充実しているといえます。
なお、ドライヤーは3分20円。銭湯のドライヤーは基本的に有料なことが多いので、全然OKです。風量もそこまで弱くはない感じ。脱衣所にある100円→10円両替機の存在が地味にありがたいと感じました。
おわりに
ここまで書いてみて分かったのですが、浴場としての小杉湯 原宿も十分魅力的です。でもやっぱりそれだけでは、温泉の湧いてる銭湯とかサウナが無料の銭湯とかと比べたときの印象はあまり強くないかも。
前述の通り、後編では小杉湯 原宿ならではの、銭湯という枠組みをブチ破った取り組みにフォーカスしていく予定です。皆様からの応援がモチベになります。応援よろしくお願いします。