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台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾における言論の自由への道記者会見(2022/04/07)」

今日は中正紀念堂の常設展示「台湾における言論の自由への道」開幕の記者会見に参加してきました。本展示は「自由の霊魂対独裁者」を軸に、国家人権博物館と中正紀念堂が共同で開催するものです。

世界一長期に渡る戒厳令が敷かれた期間、台湾では白色テロが起こり、以後長い間、言論が封鎖されてきました。この間、幾度となく、言論の自由を求める人たちの運動が繰り返されてきました。戒厳令が解かれて、台湾が民主化の道を歩み始めたのは1987年7月14日のこと。その年の4月7日、雑誌社を運営していた鄭南榕さんが「100%の言論の自由」を求めて焼身自殺を図りました。それをきっかけとして、大きく戒厳令解除へと進んだとされています。なお彼の自殺現場は、当時の様子を止めて保存され、記念館として運営されています。さらに2016年には、こうした経緯を踏まえて4月7日が「台湾の言論の自由の日」と定められました。

中正紀念堂の常設展示スペースは、いわば蒋介石の銅像の足下。記者会見場となった舞台には、中央広場で民主化を求める野百合運動の期間中にスピーカーの背中からのショットが壁一面に展示されていました。その場所から「言論の自由への道」の常設展示が始まったわけです。その意味するところはなんとも深い。

会見では、台湾の国際人権委員会主席委員で、自身も言論の自由を求めて闘ったひとりである陳菊さんが挨拶で「台湾の現在の言論の自由は、天から降ってきたものではない」と述べていたのが印象に残りました。

獲得するまでの厳しい道のりがあった台湾の厳しさ、言論の自由の重みは、そうではない日本生まれの私にはまだ十分に想像できてないかもしれません。ただ台湾の民主主義社会が築かれているのは、こうした歴史的背景があるのだ、ということを改めて踏まえたうえで、台湾で取材していきたいなと思いました。

観光はまだ開放されていませんが、ぜひともたくさんの方に見ていただきたい展示です。会場には、道のりの厳しさをまざまざと物語る大きな模型もあり、圧巻です。

現場からは以上です。

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田中美帆|『高雄港の娘』春秋社アジア文芸ライブラリー
勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15