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台湾ひとり研究室:本屋編「新刊告知祭り:お試しの日々、雑貨編」

神農生活のものたちを試す日々は、何も食材に限ったことではありません。雑貨も実際に使ってみながら、原稿をまとめていきました。

いろいろ使わせていただきましたが、我が家で定着してきたひとつが、この陶の器「燉盅」です。

ずうっと振り返ってみたのですが、日本にいた頃に使っていた蓋付きの器って茶碗蒸しか丼か、しか思い出せまないのです。しかも手にするのは外ごはんに限ったことで、子どもの頃から含めて、わが家には蓋付きの器があったことさえありません。保存容器ならあったけれども。あ、唯一、会社で使っていたマグカップが蓋付きでした。でもそれは、日本で買ったのではなく、確かアモイに出張で行った帰りの香港で買い求めたものです。蓋があるのが少々埃っぽいオフィスにはピッタリでした。

さて、この燉盅。よく使われるシーンは本書で紹介していますが、取材中に発見したのはこんな場面でした。

燉盅灰皿

って、これじゃ何に使っているかわかりませんよね。すみません、灰皿なんです。産地取材で伺った際、食事をしたレストランの前庭に置いてありました。中身まではさすがに写す気になれず、こういうカットになってしまったんですけれども。蓋は…どこへ行ったんでしょうか。それも想像が膨らんだ使用シーンでした。

一方、我が家にやってきた燉盅はその後どうなったかというと、残りごはんやおかずを入れる器としてその地位が定着しています。

え、それって冷蔵庫のにおいが…と気になる方もあるかもしれませんが、うちは冷蔵庫にその日淹れたコーヒーのかすを消臭用として置くこともあってか、においが気になったことはありません。それに、もともとラップという一回性の道具をできる限り使わないで済ませたい派なので、この「蓋付き」というのが、なんとも使い勝手がよいのです。

さらに、残りごはんなら、別の保存容器でもいいじゃないか、となりそうですが、まず温めの器ごと電鍋へGO!できる、そして温めたものをそのまま食卓へGO!できる、と自在なのも、この燉盅が重宝する一因だったりしています。

お茶碗もお皿も、自分で用途を限ってしまうことがママあります。このお椀はお味噌汁用、このお皿はグラタン用など、用途がひとつしかない器ばかりだと、手持ちの器は増やさざるを得ません。でも、ひとつの器を幾重にも使うことができれば、器は少しで十分なのかもしれません。せっかく我が家に来てくれた器なので、ほかにも使い途を広げたいなあと思っています。

皆さんなら、どんなふうにお使いになりますか。ぜひとも体験談を伺ってみたいひと品です。

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田中美帆|『高雄港の娘』春秋社アジア文芸ライブラリー
勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15