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台湾ひとり研究室:本屋編「新刊告知祭り:お試しの日々、調味料編」

誰かのお話を伺うことも大事ですが、今回の場合、商品の外箱を眺めているだけでは、もちろん原稿など書けません。神農生活さんにお願いして、取り上げる商品はすべてお試しさせていただくことにしました。

知りたかったのは、神農生活に置かれている品物が、他社製品とどう違うのか、ということ。味比べをしたおかげで、違いがわかるものもありました。写真は「破布子」というイヌジシャの実を発酵させた調味料です。神農生活で扱うものは、きっちり香料が効いていました。そのおかげで、味がピシッと決まりました。ちなみに、右側が今回の書籍でご紹介するお品です。

破布子

さて調味料と一口にいっても、そこは台湾。出来上がる料理に違いがあるように、その過程で使われるものだって随分と違います。

まず整理しておくと、日本のレシピに出てくる定番の調味料といえばサシスセソ。砂糖、塩、酢、醤油、味噌。このほかに、ソースやドレッシング、各国の調味料やこだわりのお取り寄せなど、冷蔵庫の扉裏にはいろいろなものが取り揃えられているのではないでしょうか。

日本にいた頃、大さじ小さじに計量カップは、必須の調理器具だと思っていました。けれども。

あれ? もしかして、調味料をはなから組み合わせることが「前提」でレシピがあるのではないか——

そう気づいたんです。
神農生活からいただいた調味料は「組み合わせなくてもいい」ということに。

神農生活には、もちろんベースになる油やお醤油もありますが、それよりも(あ、これ使うと楽になるぞ)と思ったのが、XO醤のように「それだけで味が決まる」ソースです。超優秀! そして、それらの調味済みソースは、単体で使える。そうなると当然の結果として時短になります。

麺に和えるだけ、ご飯に載せるだけ、ゆで野菜に添えるだけ。なんならそのままおつまみにだってできる。味が決まっていて、なおかつそれを合わせる素材を変えれば、違う味になる。そんなふうに横展開できる組み合わせ方になっているものが多いな、と思ったのでした。

小さな気づき、かもしれません。ただ、これがのちに、自分の料理を見直すことにつながっていきます。

本日の写真は、新竹取材で見かけた梅干菜の販売コーナー。あ、すみません、神農生活さんの商品ではありません。写真では「乾」の字を使っていますが、本の中では「干」の字を用います。どちらも間違いではありません。台湾では超メジャー級の梅干菜ですが、自分で扱うのは初めて。やっぱりどうやって使うかなー、から入りました。

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田中美帆|『高雄港の娘』春秋社アジア文芸ライブラリー
勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15