台湾ひとり研究室:本屋編「新刊告知祭り:調べ物編」
書籍『「神農生活」のある暮らし 台湾を日常に』で出てくる品々は、ほとんどが今回の取材で知ったものばかりでした。まずは商品について神農生活のスタッフの皆さんから紹介を受け、基本的な資料をいただき、そのうえで原稿にするための材料を探していきました。
品物のなかでも、とりわけ調味料は、「古早味」と呼ばれる昔ながらのものばかり。紹介すべき品物のうち、使ったことのあるものはごく一部しかありません。材料は何で、どんなふうにしてつくられるのか、どんなふうに使われ、調理するときに気をつけることは何か、考えるまでもなく、疑問ばかりが浮かんできます。
それらを知るために、義母や台湾人の友人にリサーチをしたり、あるいはYouTubeで作り方を観たり、あるいは知らない料理はそのメニューを出すお店へ行きました。
スタッフの方の説明や動画だけではわからず、台湾家庭に嫁いだ友人にヒアリングし、さらにお店まで食べに行ったのが「蒸肉粉」です。一見、砕かれたような粒にほんのりと色づいたコメ。初見では使い方がまったく想像できず、蒸し物に使うんだと言われてもピンときませんでした。
使う料理が「粉蒸排骨」という名の肉の蒸し料理だと聞かされたものの、味のイメージがわかず、とにかく食べにいくことにしました。
会社帰りの大哥と待ち合わせ、外省人系の友人がおすすめしてくれた店で、初めていただいたお料理がこちらです。お米をまぶして衣に仕立てるって、とても新鮮でした。
そうか、これは外省人系のメニューなんだ、と合点がいったのは、店についたその時でした。というのも、わたしが嫁いだ先はいわゆる本省人の家庭です。義母は料理好きで、週末は義母の手料理をいただきに実家へ行きます。だから、家庭料理には結構詳しいつもりでいたのですが、彼女のつくる料理には、外省系、あるいは客家系の料理はほとんど出てきません。わたしにとって外食は身体への負担が大きく、あまり好んで行くほうではないので、台湾で食べたことがある、行ったことのあるお店はそう多くありません。
台湾が多民族多文化社会だと、言葉ではわかってはいても、料理もその明確な一線があるわけです。ただ、おそらく外食メインというだけでは、それはどこのものなのかはわかりにくいことなのかもしれません。ごく最近、「沙茶」と呼ばれるソースも、中国大陸から渡ってきたものだと知りました。
リサーチを重ねながら、そんなことにも気づかされたのでした。
ちなみに、冒頭の写真は取材の際に立ち寄った客家料理専門店のご飯たち。初めての味ばかりでした。いやあ、世の中、知らんことばっか、です。
勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15