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台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾ルポライター、田中美帆です。」

こんにちは。田中美帆と申します。2014年から台湾でライター業を開始しました。この2022年4月から、台湾ルポライターと名乗ることにしました。まずは初めましての方に、ざっと略歴から。

◆プロフィール

・1973年生まれ。子どもの頃から本&漫画好き。
・大学の専攻だった日本語日本文学科で近現代小説にどっぷり浸かる。
・1997〜2013年、語学系の出版社で雑誌・書籍の編集に携わる。
・この頃の取材先は日本国内各地はもとより、海外にも。
・2013年に退職して語学留学で台湾へ。直後からライター業開始。
・1年で帰国する予定が、うっかり台湾人と結婚→定住。
・定住に伴い、ライター、編集、翻訳、字幕校正へと業務が展開。
・2016年、上阪徹のブックライター塾3期修了。
・2021年、台湾師範大学台湾史研究所修士号取得。
・修論は「移動と境界——台北高校生・入管官僚 竹内昭太郎の記憶を辿る」。

読み手から作り手になり、日本を出たことが転機となって書き手になった、というのが大まかな流れです。その中で、台湾のことをあまりにも知らない自分に愕然として、台湾で人に取材するだけでなく、裏づけとなる資料にもあたって書けるようになりたいと思い、大学院に進学しました。働きながら4年半かけて修了。学び大き時間でした。

こうして、仕事をしながら、自分のやりたいことが何なのか少しずつ明確になっていきました。その奇跡も含めて仕事の柱をご紹介します。

◆台湾ルポライターとして

これまで、台湾に暮らす人の声を届けるべく、基本的に足を運んで、資料にあたり、お話を伺った上で原稿を書いてきました。2017年からYahoo!ニュース個人オーサーとして、これまで40本の記事を発表しています。また『&Premium』では2020年から「台湾ブックナビ」という書籍の紹介コラムを担当しています。

私がライター業を始めた頃は、台湾の観光ガイドブックの全盛期、といってもいいような時期でした。ガイド記事にも何度か挑戦してみたものの、外食や雑貨にほとんど興味のないわたしには、合わない仕事だと分かりました。それ以来、「何のためにどんなことを書くのか」は私の中での命題になりました。

迷いの中にいて書いた修論をきっかけに、日本統治時代から台日の戦後に触れ、もっと詳しく知りたい、ひも解いてみたいと思うようになりました。「なぜ私の戸籍の夫の欄に『中国』と記されることになったのか」「2012年までの私は、なぜ台湾のことを何も知らなかったのか」を問いとして、しばらく台湾と日本の戦後を中心に追ってみたいと考えています。

台湾旅行解禁の前に知っておいてほしい 現地交通事情の深刻さ(2021年11月公開)
SNSでバズった「冥婚」 台湾の伝統的風習のホントのところ(2020年8月公開)
8月15日、終戦記念日に考えてほしい「台湾統治」のこと(2019年8月公開)

(Yahoo!ニュース個人掲載の記事)

これら過去に書いた記事も、現地報告という意味ではルポにあたります。引き続き、台湾在住という地の利を活かしながら、台湾の人たちの声を直接聞き、今に至るまでの足跡をたどりながら、台湾社会について発信していきたいと考えています。

◆映像翻訳者として

子どもの頃、NHKでやっていた『人形劇三国志』と横山光輝『三国志』が私の中華圏へのあこがれの原点です。渡台前に中国語学習の一環としてドラマを観たのをきっかけに、中国ドラマ、台湾ドラマ作品を多数、観てきました。『三国志 The Three Kingdoms』や『琅琊榜』は何度観たかしれません。とりわけ中国の歴史物と台湾の人情物が好きです。この好きが高じたのか、映像翻訳もお声がかかるようになりました。

昨年、初めて映像作品『女世子』でメインで翻訳を担当しました。最近では、こうしたロマンス史劇の作品が増えているようです。中国ドラマとしては24話とやや短め。コンパクトで、設定も展開もなかなか魅せる作品でした。アマプラでの配信も始まったようですので、よろしければご覧ください。

翻訳ではなく校正というお仕事でしたが、この映像のメイン字幕の校正を担当させていただきました。台湾独立運動と台湾語教育に全勢力を傾けておられた、王育徳さんのドキュメンタリー映像です。

台湾の映像作品は近年、台湾語が増えてきています。わが家は夫と義実家は台湾語世帯ですので、聞きかじり程度ですが、北京語と台湾語を区別し、簡単な台湾語なら聞き取れるまでになりました。今後は台湾語の習得にも力を入れ、ある程度、対応できるようにしたいと考えています。

◆今後、挑戦したい仕事

インプットは日本語と中国語、アプトプットは日本語で、ピボットを繰り返しながら、いろんなお仕事をしてきました。なかでも、日本語で書くことにこだわるのには、理由があります。

台湾に暮らし始めてからというもの、学校教育で近現代史を学んでいないことの罪を嫌というほど思い知らされました。最近では友好の側面に陽のあたる台湾ですが、昔、日本人が台湾でしでかした暴力や暗黒をなかったことにはできない、というのがわたしの抱える問題意識です。

さらに修論1本を書き上げるまでに4年半を費やしました。つまり、それほど物知らずの状態で台湾に来た、ということです。大学院で多方面の授業を受け、研究書や論文を読み、史資料にあたるなかで、少しずつ情景がクリアになってきました。とはいえ、まだまだ知らないことばかり。書きながら、常に迷い、悩み続けています。

修論を書き終えた今、台湾の戦後史に興味が湧いたので、そこから台日関係史を見ていきつつ、「なぜ私の戸籍の夫の欄に『中国』と記されることになったのか」「2012年までの私は、なぜ台湾のことを知らなかったのか」のなぞを解いてみたいと考えています。

また台湾のドキュメンタリー映画は、私にとって社会科の教科書みたいな存在です。民主主義、LGBTQ、先住民、社会運動、日本統治時代……作品を通じて、台湾の社会にある、いろんな姿を学んでいます。いつか、台湾のドキュメンタリー作品に日本語字幕をつけることにも挑戦したいです。

二足のわらじ、かもしれません。でも、今はテキストも映像もある時代。中国語や台湾語を解さない方に、台湾のことをより知っていただけるよう、力を尽くしたいと考えています。

Twitterでは記事の公開情報と取材メモを、インスタでは義母のごはん中心にごはんや市場、台所の話を紹介しています。noteでは、長めの取材メモや書籍のレビュー、あとは義母ごはんのレシピなどをご紹介していく予定です。よろしければ、フォローしてください。なお、お仕事のご依頼は以下のアドレスにご連絡願います。

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hirajo1448[at]gmail.com

長々としたポートフォリオでしたが、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。今日も、よい1日を。

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田中美帆|『高雄港の娘』春秋社アジア文芸ライブラリー
勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15