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「映画かよ。」の解説かよ。 シーズン3 映画祭用エピソード|チェイシングエイミー|転機フィルム
(写真は全て駒谷揚さんから提供)
駒谷揚制作・監督によるYouTube短編映画シリーズ、「映画かよ。」映画祭出品作として作られた一本。
今回、シーズン4制作のためにクラウドファンディング実施中。それに合わせてYouTubeチャンネルでは未公開の本作が特別配信される。
風華(神谷敷樹麗)と付き合い始めて浮かれている映画オタクのミノル(伊藤武雄)だが、なぜか彼女の浮気を疑っている。ミノルから相談された映画オタク仲間のアミ(森衣里)は、風華のあとを付けて様子を探ってみることに。一方で、風華はミノルとアミの仲を怪しんでいるようで、アミを呼び出すことに。風華を安心させるべく非モテガチオタのコーディネートで装ったアミが、すべてうまくいったと思いきや、別れ際に風華から意外な一言が投げ掛けられる。
根本的な駒谷監督の考え、男女間の真の友情というテーマ?がわりとむき出しになっている一本。個人的にはアミの「チェイシングエイミー」の失敗から世の男は何も学ばなかったんかい、という一言が全体のテーマになるかと思いきや…。エンディングは賛否両論ありそう。
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シーズン4に期待したいこと
「映画かよ。」は、映画オタクたちの日常を描くコメディー、時々ミステリー。映画のパロディー、オマージュを交えつつ、映画に影響され過ぎて、何でも映画に見立てて話がこじれ、映画から得た知恵を使って事件・事態を解決、あるいはもっと悪化させるという1話完結のシリーズ。「人生のヒントは、映画にある」がキャッチフレーズ。映像ディレクター/映画監督の駒谷揚さんが1人で制作、監督、脚本、撮影もこなすこのウェブドラマシリーズは、世界中の映画祭に入選し、賞も数々受賞している。
依頼されてシーズン3ではレビューを書いていた。上はその際に書いた、シリーズに関しての最初の説明文だが、シリーズ最終話まで全56話、全くブレずに続いた。駒谷監督は、これまで映像ディレクターとしての仕事とは別に、映画への志を曲げず、短長合わせて数々自主制作映画を作ってきた。
その思いはサンフランシスコの学生の時代からだ。誰かが「映画を作る」となると、参加するスタッフ、俳優もまた学生だ。昼メシにつられて(といっても大体がピザを数人で奪い合うのだ)来るわけだが、実際、現場で学んだことを実践して、技術をどんどん磨き、知らぬ人と友達となってコネを広げていく、とても有益な場所だった。
サンフランシスコ時代は、自分も役者として駒谷監督の現場に参加していたが、最初は皆、「まあ、ピザ食べちゃったしなー」なんて言いながらも、面白いこと、クリエイティブなことが大好きな連中が集まるから、頼まれてもいないのに、「ここはこうしたらいいのでは」とか提案して、自分の解釈で役を演じたりして現場を混乱に導く。「勝手に変えないでよー」「それもいいかもねー。ちょっとやってみよう」「おまえ食ったピザ返せ!」、なんて会話が繰り広げられながら、笑ったり、怒ったり、泣いたりして作品を作っていたことを思い出す。
当時、周りで何十人と映画をとっている学生がいる中で、駒谷監督の印象は、「なんか面白いことをやりそう」な人という魅力があったのは間違いない。そして、いつの間にか人を集め、映画を作っているという、なんというか、そういう人が寄ってくる才能みたいなものが突出していた。さらに、できたものを見ると、参加した人の思い、葛藤、喜びといった集まったパワーを作品から感じさせるのが、魔術のように見えた。
「映画かよ。」では、駒谷監督自身もそうだが俳優の皆さんも経験を積んだプロなので、集まったクリエイティビティの出力は大きくちがうが、根本にはこの駒谷の根本のチカラみたいなものは変わっていない気がする。
これが資金を募り制作するとなった場合、何か変わるのか。「映画かよ。」はすでに現場の外にも駒谷監督の活動を応援する人がいて、あいかわらずのチカラを発揮している。それが今度は彼らは現場ではないにしろ、作品の「参加者」になる。参加者が増えれば増えるほど、一段階上がった作品を作っていくのを期待したいところだし、今回の使命、チャレンジになるだろうと思う。
今回の元ネタ「チェイシングエイミー」の監督は、駒谷監督が尊敬してやまないケビン・スミス。クレジットカードを切りまくり、自身のお宝コミックを売りさばいた資金で作った超低予算映画「クラークス」が、サンダンス映画祭で話題になり、ミラマックスに買い上げられ、一般公開で大ヒットとなり一躍時代の寵児に。次の「モールラッツ」では惨敗したが、そこで消えず、低予算ながら高評価、興行成績も上げて、起死回生の転機となったのが「チェイシングエイミー」だ。
今回、この「映画かよ。」の転機に、映画かよ。版「チェイシングエイミー」を持ってきたのは偶然なのか意図的なのか。いい「転機」になるのを祈りたい。
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