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やっぱり直感を信じたほうが良いと思ったときの話

寒くなってくると思い出すことがあります。

マイナス30度の極寒、北極圏で5日間サバイバルをするTV番組の企画にコーディネーターとして同行したときのことです。

北極圏ってほんとうに寒いというか、外にいると身体表面の水分全てが凍ります。どんなに着込んでいても常に身体を動かしていないと寒いです。動くことを止めるとブーツの中の足先から凍傷になるんです。

一言でいうと過酷です。

そんな環境でも周辺には原住民であるエスキモーたちが生活しています。彼らにロケへの協力を交渉するのですが、絶対にやめておいたほうがいいと言われておりました。

なぜならロケは番組の都合により1年の中でもっとも寒く厳しいと言われる2月に行うからです。

それでも頼み込み、危険があればすぐに撤退することを約束し強行しました。

携帯を出すとすぐに凍るので、写真はこれだけ...。

集落から離れた場所へ移動し、サバイバルロケが始まりました。

元アメリカ軍のスナイパーだったというサバイバルのスペシャリストも同行し、もしもの時に備えながらロケは進んでいきました。

最初にいうと、挑戦者はドクターストップでリタイア。普通に考えてこんな環境だと外で生き残れません。ロケストップの判断が下される前、カメラが回っていないところでこんなことが起こっていました

ロケ開始から3日、5m先が夜の闇に包まれ始めたころ、スタッフたちは撮影のベースとしていたテントの周りに集まっていました。そしてそれぞれがゆっくりと、トイレや運動や食事など自由に行動し始めたのです。

そこでサバイバルのスペシャリストが私に言いました。

「ああやって自由にトイレ行ってたりするだろ?こういう時に誰かいなくなって帰って来なくなるんだよ。みんな疲れているから、中には朦朧としている人がいるんだ。」

これを聞いた時、嫌な予感がしました。その感じ、私が直感として信じているものです。

一人足りない?

皆が撮影の休憩時間にホッとしている中、私はその一名を探しにいきました。すると50mほど離れたところで何か作業している人影が…。探していたADです。

話しかけてみると、返事が支離滅裂で、ろれつが回らなくなっている状態でした。背負ってテントまで連れていくと、そのADは意識を失い倒れてしまいました。どうやら低体温症とのことです。

あと少し遅かったら危ない状態だったそうですが、そのADはすぐに暖をとれたので回復しました。

やっぱり直感を信じていてよかった。

風が吹くとウインドチルという現象が起こり、実際の温度より低く感じるのです。体感マイナス40度です。死なないほうが不思議です。

でも死人がでなくてよかったなと、いまでも思い出すと背筋が寒くなります。

こんな直感判断の経験一つ一つが、私をバイブス型フィーリング野郎にしてしまいました。基本的に私が好きとか面白いとか、なんか違う、ということに根拠はありません。それっぽい根拠を述べているとしても後付けです。

お気をつけください。

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