【にじそうさく04新刊アンサー】
本項の内容はサークル棚上の#にじそうさく04の新刊「廻り廻れストケシア」を読んだ人向けのものです。ネタ晴らし的な。
文章の中で登場人物にフルネームもしくは「樋口」「本間」という呼び方をしますがご容赦ください(作中の人物はフィクションの存在であり、樋口さんやほんひまとは別人なので…)
■作品のテーマ・取り組みたかったこと
・ライバーの配信外での姿.内面描写
・読み手によって物語の内容が変わる作品
上記二つを物語の大きな指針として制作しました。内面を描きたいけどモノローグを使うと登場人物の気持ちを作者側で断定してしまうので、表情や仕草で描写するしかない…とかいうデカい矛盾を抱えた指針です。描くのアホほどしんどかった
↑モノローグ
■「樋口楓」の相手になぜ「本間ひまわり」を選んだのか
・ずっと前から、樋口楓の内面を深く掘り込む作品を描きたいという気持ちがありました。
そして彼女に対抗できるほどの人間が本間ひまわりしかいない…というのが大きな理由です(あくまで自分の知り得る範囲で)。二人ともエネルギーにあふれポジティブな面が魅力的ですが、それだけではない壮絶な人生を歩んでいる方たちだと思います。
■表紙に込めた意図
・表紙は描く前から二人が何かと戦ってるやつ!って意気込んで描いてました。戦う女の子って単純に絵的に映えますよね。ストケシアの花言葉は「追想・清楚な娘・たくましさ」です。
・表紙のインクは返り血のメタファーになっています。ただその色は自身の瞳の色であり、「自分を傷付けているのは他ならない自分自身」という意図でデザインしています。
・あと色が紫と黄緑で補色(色相環で互いを映えさせる色)にもなってるんですけど、これは全く意図せずだったので友人に指摘された際「天才が作ったみたいな表紙じゃん…」ってなってました。色の相性はいいのか…
■樋口楓の「包帯」について
・感想で最もアレなんだったの?と聞かれた部分です。
足首に巻かれた包帯は「まだ過去から立ち直れていない」ことを示すフレーバーです。ただ彼女は包帯を巻いているにも関わらず、怪我など無いように普段通り振るまっています。そこから「樋口楓は痛みを感じていても、それを外面に出すような事はしない」という意味でも描写しました。
・また作中で煙草を踏み潰すシーンがあり、これを包帯が巻かれている左足で行っています。つまり彼女が「自傷行為」を行っているという描写です。ただ踏みつけるだけなら無傷の右足でも良い訳で…。過去を後悔しながらも、それを忘れたくないので痛みを感じたがっているという傷への依存を表しています。
・表紙の樋口も腕に包帯を巻いてますね。対する本間は泣きながらもナイフを突き立ててます。樋口が自分の傷を慰めているのに対し、本間は傷をそのままに前へ進もうとしています。ここ辺りは作者の中での二人の人生観のイメージを形にしました。
■樋口楓と本間ひまわりの対比
・作中メインで登場する二人ですが、最も対比して描きたかったのは「過去への向き合い方」です。
二人は共通した傷を持っています。その中で、好きな気持ちを忘れない為に留まっている樋口と、自分の将来の為にすぐに気持ちを切り替えようとしている本間。「一途」や「永遠の愛」というのは物語では美化されがちですが、はたしてそれは実際に生きる上で美しいだけで済むのか…?という疑問の投げかけとしてこの構図を作っています。
とはいえどちらかが正しいのではなく、樋口の純粋さや本間のリアリストとしての信念もそれぞれ魅力があるものだと思っています。作中でも二人悩みまくってるしね。ブレブレな人間好き。
■結局オチってどうなるの?
この項目一番読まない方が良いです。
いただいた感想でもこの先どうなるのか気になる…というのが多かったのでお答えします(作中での意図しない描写不足も多いですし…)。
あくまで作者の脳内での話です。読んだ人の想像が正史。
ラストで本間に対して委員長から連絡が来ますが、これはいってしまえば「樋口楓と自分の関係修復への取り持ち」をしてほしい、という依頼です。作中ではまだそこまで話は来ていませんが、本間は動物的なカンでそれを既に察知しています(だから台詞が「楓さん関連の話だったら嫌だなぁ」になる)。で、本間は委員長に惚れてる訳で…。
…………。
言ってて思うけどほんとこのオチ面白くないね!!?!?
冒頭にあげたように、今回の作品は読み手に物語を委ねる、という大きな目標がありました。その狙いは大成功だったと思います。
いただいたオチ関連の感想では「本間の引っ越し先が委員長との同居で、二人が良い感じになる未来」「踏み消した煙草が二つに割れているのはkemtの分断、つまり完全な破局を表してる」「全員不幸」とかあって作者の想定よりはるかにエグいじゃねぇか…ってなってました。大好き。
こんな感想をいただけるだけで、今回の本描いて良かったって思えます。
アンサーは以上です。これ以外も書けるけど今ので十分長すぎると思う。
新刊を手に取ってくださり、またここまで記事を読んでくださってありがとうございました。
■余談■
こんな解説を今後出すかもしれない総集編につけようかな…怪文書祭りになりそう。あと感想QRコード改めて貼っておきますね。何かあればよしなに。