反骨心
前回の生い立ちの続きです。
中学1年
期待と不安。
頭の中がいっぱいになりながら、京都へと向かった。
京都サンガF.C.U-15入団式、初めてチームメイトが揃った。
第一印象は「でけぇ」だった。
当時自分の身長は151cmだったが、ほとんどが160cm、170cm以上の選手ばかりだった。
小学校時代のポジションはセンターフォワードだった。しかし、サンガの前線には、でかい速い強い選手が集まっていた。
一言で表すならまさに強烈。
自分が生きていく為にポジションをボランチにコンバートさせた。
初めての練習試合。
もちろんベンチスタート。
分かっていたとはいえ、とにかく悔しかった。
この時あの言葉がよぎった。
「3年間試合に出れなくても腐らず頑張れ。」
ふざけんな。そんな風になってたまるか。
反骨心剥き出しのまま後半からピッチに立ったのを今でも覚えている。
次の試合からスタメンになった。
とにかくみんなうまかった。前線の選手にロングボールを蹴れば、パワーとスピードで点を量産してくれた。守備の選手も確実にゴールを守ってくれた。
1年生の関西のリーグも優勝した。
よし。このチームなら日本一を取れるぞ。そう感じ始めた。
中学2年
学年が一つ上の3年生の試合に呼ばれるようになった。
5月の全国大会直前の試合、いつも通りベンチに座っていると、「田中、動け」と声をかけられた。
同じポジションの先輩が怪我をしたのだ。
まさか自分が呼ばれるとも思っていなかったが、とにかく準備をした。その日の試合はあまり覚えていない。
そして全国大会の日が訪れた。
先輩の怪我の影響もあり、なんとスタメンだった。
とにかく嬉しかった。
やってやろうという気持ちだった。
しかしそんな気持ちをことごとく踏みにじられた。
何もできなかった。ただ目でボールを追うのに必死だった。
自分が不甲斐ない。苦しい。辛い。逃げ出したい。
結果3位にはなったが、自分は一切活躍せず、準決勝で怪我をし、負傷交代で大会は幕を閉じた。
それから練習に行くのが怖かった。憂鬱だった。
正直今までとのレベルの差に圧倒され、トラウマになりかけていた。
それでも監督は自分を使い続けてくれた。
正直何故かわからなかった。
自分より上手い選手はいっぱいいた。
こんな思いのままプレーしてていいのか?
このままで夢は掴めるのか?
みんなの期待を裏切るな。しっかりしろ。
自分に苛立った。自分自身との戦いだ。
反骨心を見せろ。そう言い聞かせた。
そして、自分の中で一皮剥けた感覚を掴んだ。
この経験はさらに自分を大きく成長させてくれた。
中学3年
最高学年になった。
掴んだ自信は大きくなっていた。
自分が日本一に導いてやる。そんな気持ちだった。
そして5月の全国大会が訪れた。
グループリーグ危なげなく勝ち進み、準決勝へと駒を進め、その試合にも勝ち、決勝へと勝ち進んだ。
人生2度目の全国大会決勝。
小学生の頃の悔しさ、去年の苦い思い出、それらが相まって、人一倍思い入れは強かった。
燃えないわけがない。
キックオフの笛が鳴り、試合がスタート。
一進一退の攻防が続いたが、後半15分、先制。
あの感覚は今でも忘れない。全身に鳥肌が立った。
「日本一」
頭にそればかりよぎる。
これを耐え切れば掴み取れるんだ。
その事しか考えられなかった。
試合終了1分前。
ラストワンプレーほどで試合が終わる。
「勝てる。」
そう思った時点で負けだった。
一瞬の隙を突かれ、無情にも自陣ゴールに相手のシュートが突き刺さった。
そして試合再開のキックオフをしたと同時に、後半終了の笛が鳴った。
一気に遠のいた日本一。
しかし諦めてはいない。必ず勝つんだ。
延長後半ラスト1分追加点を決められ、1-2。
また準優勝で幕を閉じる事となった。
目の前まで来て、掴みかけていた日本一。
また儚く散った。
日本一とはなんと遠く、険しいものなのか。
人生で一番悔しい経験だった。
結局中学でも日本一を取ることが出来なかった。
しかし、またこの経験が反骨心を生み自分の原動力になっていった。
高校は次のnoteに書きます。