キャプテンに必要なものはなにか。<歩幅調整力>
キャプテンに必要なものは何なのだろうか?
このコロナ自粛期間に入り、自分と向き合う時間が増え、1番初めに考えたことだった。
中学、高校とキャプテンという立場を経験してきた。
その経験の中でキャプテンとして何かを良いものをチームにもたらすことが出来たかというと胸を張ってそうは言えない。
まとめられたという実感もまるでない。
ただチームを良くしたいという思いだけは誰よりも強かった。
しかし、その思いばかりが先走り、思いに振り回され、文字通り、思い通りにはならなかった。
ぬるいチームが嫌いで、ふざける選手には腹が立つし、やる気がない選手には帰って欲しい。
「もっとやれよ。」
いつしかこの投げやりな言葉は自分の口癖になっていた。
自分が怒鳴り、喝を入れればチームが良くなると思っていた。
自分が先頭を突っ走れば、チームはついてくると思っていた。
ずっとこの考えでやってきた。
でもこのやり方で結果は出なかった。
そしてやっと、このやり方はただの自己満足であったと気付いた。
本当に必要なものは何か。
とにかく考えた。
そこで一つの答えが出た。
「歩幅調整力」
組織としての理想は何なのか。
全員が組織の目的、目標に向かい、同じ熱量を持ち、同じスピード感で進むことなのではないかと考えた。それらのみんなの歩幅、スピードを上げる、合わせていく事がキャプテンの役割なのではないか、歩幅調整力が必要なのではないかという仮説を立てた。
所属するチーム、個人の目的、目標、それぞれの性格など十人十色であり、最初から全員が目的、目標に素直に進めると思わない。同じモチベーションを持てているとも思わない。同じスピードで進めているとも思わない。
しかし、その差が組織をスピードアップさせるエネルギーになりうると考えている。
例を挙げて話そう。
万年Cチームに所属している選手が、努力を重ねに重ね、Aチームの試合に出た時、何も思わない選手はいないのではないだろうか。
多くの選手は「活躍して欲しい」、「俺も頑張ろう」、「あいつに負けてられない」と刺激を受けるだろう。
それこそが組織のスピードアップに繋がるエネルギーなのだ。
そのエネルギーを生むきっかけづくりをしたいのだ。
きっかけを生むために必要な要素は?
一つは、キャプテンである以上チームの基準にならなければならないという事。
これくらいやらないと目的、目標は達成できないぞという姿を見せ続けなければならない。
そして、もう一つが他者の理解。
これが一番大事だと考えている。
人というのは、他者との共存で成り立っている。誰かが作った食料を口にし、誰かが作った家に住んで、誰かが作り上げてきた世界で生きている。
だからこそ、組織でもそこを高め続けなければならない。
誰かが作り上げてきた組織で、誰かが作ったグラウンドで、仲間という存在があって、様々な他者のおかげで今サッカー部という組織は成り立っている。
選手の特徴を知り、対話、コミニュケーションは直接的にも間接的にも取らなければならない。
「やれよ」と怒鳴るだけではない。
選手に「あのプレー武器だよね」、「あの行動チームに良い影響与えてるよ」と良さを直接伝える。それだけでもその選手のやるべき事が見えてくるのではないだろうか。
エネルギーを「生み出しあう関係」にならなければならない。
自分の言葉が、自分の行動が、自分の結果が、他者にとって大きな原動力になると信じて、互いにそれらを生み出しあうのだ。
それを手助けする。
それがキャプテン。
誰かの上に立つ。そんな事は必要ない。
常に同じ立ち位置からきっかけを与え続ける。
最初は先頭に立つ。
でも、ゴールする頃には全員横並びでゴールテープを切りたい。