延命
自分の人生の、その暮らしを僅かでも彩る為に 、人に会う。支度をして出かける。
歩き向かうその途中で、生命を全うするその途中で、あっけなく終わらせられた小さな虫の死骸を見つけた。
この命を輝かせる為に。
ただ一つだけを救う為に。
途中で終わらせられるいくつもの存在を犠牲にして立っている。
いったい俺は何がしたいのか。
いったい人は何がしたいのか。
笑顔が消えたその人の笑顔を取り戻すために、救えない悲しみを量産して金に姿を変えた。
たらふく食べて食い残しの残飯を、カラスがつついて食べるが、散らかる為妨害する。
この一瞬を生きる為に。
なおも延命したいが故に。
終わらせる為に生まれてきた存在を犠牲にして、笑っている。
いったいその先に何があるのか。
自ら世界から去った人よ、そっちに何があるんだい。