矢作すげえ!!

夕方、僕はスーパーのレジで並んでいた。
レジ担当は20代後半くらいの小太りの女性。少しイライラした印象。

僕の前に並んでいた男性客の番になる。
ふと見ると、その男性はカゴの中でカップ焼きそばを20個くらい積み上げた状態で置いている。
20個も積み上げれば当然バランスは悪く、グラグラして今にも崩れそう。
それを見たレジ女性は突然ブチぎれた。
「どーーーーしてそんな入れ方してんのよ!!崩れるに決まってんでしょうが!!ばっかじゃないの!!?」
男性からカゴを奪い取り(その衝撃でカップ焼きそばは散乱した)、さらに男性に殴りかかろうとする。
そばにいた他のレジスタッフは危険を察知して慌てて女性をはがいじめにする。
はがいじめにしたまま、二人がかりで女性をバックヤードへ引きずっていく。
女性は終始、大声で悪態をついているが、他のスタッフは「やれやれまたかよ」といったようす。

これはよくあることなのか?
客に突然ブチギれることが?
よくあること?
どうなってんだよ、このスーパーは?
好奇心が抑えきれない僕はバックヤードへ連れ去られる女性のあとを追った。

僕がバックヤードに着くと、女性はブツクサ言いながらモップで床掃除をしていた。
罰としてしばらくここで掃除でもしておけということなんだろうか。
そんなことで済まされる問題か?なんて思っていると、女性に話しかける男が一人。

なんとそれは、おぎやはぎの矢作だ。
買い物カゴを片手に持っているので、どうやら矢作も買い物の途中で、僕と同じように好奇心でバックヤードまできてしまったんだろう。

矢作は優しい声で女性に話しかける。
「いやー、あれはマズいよ、シノブちゃんー。」

矢作が女性の名前をなぜ知っているのかは謎だが、矢作は続ける。
「シノブちゃん、さすがにマズいってー。客を殴る前に止められたからよかったようなものの、大変なことになるとこだったよー?」
シノブちゃんは答える。
「えー、でもー。」
「でももくそもないよぉー。いや、わかるよ、シノブちゃんがいつも大変なんだってことはわかるよ、でも、客を殴っちゃだめよー。ね?わかるでしょ?もうしないよね?」
「…….うん。わかった。」

さっきまでプンスカしていたシノブちゃんは矢作の言葉で大いに反省してうっすら笑みさえ浮かべていた。

矢作、すげえ!!
かっこいい!!

って思ったところで目が覚めました。
軽い感動に包まれての目覚めはとても心地よいものでした。

さて。
これが夢の話だと、あなたはどの段階で気づきましたか?


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