ぼんちカー
「ぼんち」とドアに印字された車を見かけたのです。
歩道を歩いていて、信号待ちで停車しているお菓子メーカー「ぼんち」の社用車を見かけたのです。
車の左サイドから見て「ぼんち」って読んだわけなんだけど、その瞬間、ゾクゾクッとしたのです。
車の側面に書かれる文字って、右側は逆になってるパターンがあるよな!?と。
走る車の前の方から読んでほしいという(オレにはまったく理解できない)理由の文化。
左サイドが「ドブロク」だとしたら右サイドは「クロブド」になるやつ。
車の左サイドから見て「ぼんち」だったわけです。
まさか!!!??
そう思うと同時にオレは走り始めていた。
向こう岸の歩道へ行って確かめなければ…!
一番近い横断歩道は、ぼんちカーの後方10メートルほど先。そこまで無我夢中で走っていた。
そして横断歩道を赤になる直前で渡り切り、ぼんちカーの右サイドを見るためにまた走る。
信号が青に変わる。
必死で走って、ゆっくりスタートし始めるぼんちカーにかろうじて追いつく…!
右サイド、車の後ろから運転席方向にオレは走った。
ドアに印字された文字を横目でしっかりとらえながら。
「ぼんち」……!!!
良かった…!
そうして走り去るぼんちカーの後ろ姿を見送る。
ブレーキランプ三回点滅は「ぼんち」のサイン。