審判のジャッジを考える
今回は最近の審判のジャッジについてお話ししようと思います。
バスケファンの方とお話ししてて皆さん特に審判のジャッジの変化は気にされてるみたいですね。自分が選手をやってても最近のジャッジには文句を言いたくなってしまう時もあります。
そんな文句を言いたくなってしまう自分への戒めの意味を込めて、今回の記事を書きました。
●選手からみたジャッジの変更
以前に自分のTwitterでこんなことをつぶやきました。
選手から言うと、本当に厄介なのがこの『clean the game』の方でして。この理念は、ラフプレーをすんなよってことなんですが。
もちろんラフプレーを迎合しろとは思ってません。ただ選手は勝つために、ルールの隙間を狙って(もちろん相手には怪我をさせない範囲で)、相手が嫌だなと思わせる努力をしてきました。
そこには選手の努力と研究の成果があるわけですよ。しかも体で表現しないといけないので、体に覚えさせる必要があり、要は時間がかかるんです。
現役Bリーガーはおそらく10年以上バスケをやってきた人たちなので、この努力と研究の成果が体に染み付いちゃった人たちなんですね。
じゃあ今回のルール変更ってのは、そんな染み付いた体の癖みたいなのを変えてくださいって言われてる感覚に近いんですよね。
皆さん右利きの方は箸を右手で持つと思いますが、明日から左しか使っちゃダメですって言われてすぐできますか?なかなか難しいですよね?今選手に要求されてる『clean the game』って、それくらいの変更が求められてるんです。
●逆に審判側の気持ちってなんだろう
ここからは自分の推測となってしまいますが、練習とかで審判をした経験と、審判も人間であるというところから考えてみます。
・審判もバスケ経験者
審判はバスケ経験者が多いはずなので、選手と同じように今までのルールが体に染み付いてる人が多いことが推測できます。バスケは瞬間的なスポーツなので、審判するにあたって事前の予測とか大事なんですよね。
この事前の予測ができるようになるには、経験値が必要なんです。『この動きの次はゴール下にパスがいくから、そのパスを受けた選手がフェイクした時に、ファールが起こる可能性があるな』みたいな感じです。
こういった経験値がルール変更によって無効化されちゃうと思うんですよね。つまり、経験値を積み直さないといけない。ただ、日本ではルール変更されたばかりで経験値を積むのにも時間がかかる。
つまり、審判もルール変更に対応するのにまだまだ時間がかかると言うことです。
・審判だって人間
審判も人間なので、ルール変更を言われた時に、変更点に意識がいきがちになってしまうのは、人間として至極当然な話。自分の体に染み込ませるうちは変更点を強く意識して笛を吹くはずです。
強く意識してると起こるのは、吹くか吹かないか迷った時は吹いてしまうという現象。この現象が起きた時に試合中だと、『え、それがファール??』って選手がリアクションしてます。(最近これがよく増えた気がするなあ。)
審判の意識が強いと、普段吹かれないようなファールまで吹かれるという話です。
●じゃあ観てる側はどうすればいい
ここまで読んでいただくとわかると思うのですが、ジャッジの基準が浸透するには選手も審判も時間がかかります。
おそらく審判も選手も日々努力をしてるはず。少なくとも選手をやっている自分はそうです。今までの体の癖をどうやったら直せるか、日々考えています。
なので、自分から観てるファンの方にお願いです。
『少しだけ我慢して見守ってください。』
もちろん一緒に戦っていただいてるのは十分理解してますし、熱量がある以上、文句を言いたくなる気持ちもわかります。
ただバスケも変わってる時期なんです。
この変われるスポーツというのがバスケのいいところだなと自分は思っていて、その時代に合わせて最適な状況を作り出そうという文化があるからこそ、ずっとバスケが愛されてきたんだと思っています。
なので、この文化を自分は無くしたくない。変化して成長するスポーツとして残っててほしいんです。
これらを踏まえて、観てる方にはちょっとだけ我慢して見守ってもらいたい。
選手や審判も努力している。バスケを作るようなトップの偉い人も努力している。ただ変化するためには時間がかかる。それだけなんです。
余談ですが、自分自身はこんな努力をしていこうかなと思ってます。
以上、選手の独り言でした。