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病院のベッドで聴く音楽
入院した先のベッドの生活が退屈なのは、幸せなことなんだろうと思う。人によっては、入院生活中ではADL(日常生活動作)のどれかが欠けてる状態だって、痛みで一睡もできない状態だってあるし、最悪意識のないケースもある。
でも、寄せては返す波のように体に鈍い痛みがあり、原因が確定せず、検査の結果を待ちながら、ぼんやり初冬の晴れた空を見上げる平日の真昼のやるせなさは、日常の「退屈」とかけ離れている。いわゆる「レベチ」だ。
売店で読もうと思う雑誌もなく、持ち込んだタブレットで配信を流すこともできず、毎朝読んでる日経電子版も開けない。
点滴や回診や検査の隙間に、自由になる時間は山ほどあるのに、退屈を紛らわす糸口を脳みそが探し出せないのだ。茫漠とした時間。
しばらく、ささくれた気持ちの中に沈み込んでいた。
でも、「どうしようかな」という気持ちが浮かんでくるのが私の良いところで、その気持ちは医師が処方した抗菌剤の点滴が炎症をそっと鎮めてくれたからむくむくと大きくなった。
小学生の頃から検索魔の私は、持ち込んだiPhoneで「入院」とフリック入力してみる。
素人は検索エンジンに入力する。
私は薬を1割負担で給付してもらえる認定証をもらえるくらい脳みそに偏りがあるので、Apple Musicのプレイリストに検索をかける。
「入院」と名前のついたプレイリストはすぐ見つかった、それも結構な数。
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いろんな事情で、いろんな人がこの名前のついたプレイリストを編集したんだろうなと思いながら、中身を検分させてもらって、素敵だなと思った黒たばすこさんのプレイリストをダウンロードした。
落ち着いた音程の女性ボーカルの、やさしい、慰撫してくれるような曲ばかり入ってる。私は疲れると日本語の歌詞の入った音楽は、いちいち意味にマインドワンダリングを起こしてしまうので、快適に聴けないから、とても良い。ゆっくりした英語は聞き取れてしまうのだけれけど、このプレイリストに入ってる英語の曲の詩は、平易で心を泡立てない。
黒たばすこさんの選曲は、私の入院のお供に最適だ。もしかしたらこの病の原因が明日はっきりしてもっと過酷な治療の選択が目の前に広がる可能性があり、その時はまた違う気持ちになってるかもしれないけど、このプレイリストが「いいなー」と思って今聴いている私に戻れるといいな。
Apple Musicプレイリストのクラウドに数多眠る「入院」のプレイリストの編曲者の方々は、ご快癒されただろうか、今でも闘病中だろうか。
ご平癒を祈念しております。
黒たばすこさんのプレイリストで知った韓国のフォークシンガー イ・ランさん
その印象的な歌詞の和訳記事のリンクを貼ります。
民主主義が簡単に脅かされることを歴史的に知っているお隣の国の若い世代の曲は、KPOPとは面構えが違います。独学で作詞作曲。ご一聴あれ。