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松楠居での制作 2023/12/15

昨日2023/12/06(水)から、福岡市中央区大名にある、松楠居の2階で制作をしていた。
都会の中にあるとても静かな空間。
風通しがよく、床暖房があるとても居心地がいい。ずっと長い間、愛情を持って大切にされてきた家はこんなにいい表情になるのか。

ここで展示した大きな壁画は、元々、松楠居の通りから、ひとつ向こうにある松村ビルの5階にあった壁で、ある夜、寝転んで白い壁をじっとみていると、絵のイメージが浮き出てきてしまい、あと数日しかここに居れないけれど、描いてってことだと思った。
最後のオープンスタジオの4日前に、手元に残っていた絵の具で地平線の上にいる人を描き、
体力が尽きた。
オープンスタジオの時はまだまだ表面は粗くて、絵の具も垂れてしまったままのなぐり描きのような絵で人にみせてもいいか少し悩んだ。

今回、その壁面をオーナーの松村さやかさんが松楠居に移設して下さり、ここでお披露目をすることになり、
2023年12月15日金曜日から、新作数点と一緒に展示した。
とても急な展覧会でも、お客さんが通りすがりに寄ってくださったり、中でゆったり作品をみてくれた。

松村ビルのプロジェクトが終わってから、退去日当日まで、アトリエとして使わせてもらいながら、通りの向こうにみえる建て壊し中の松村ビルが、少しずつ小さくなっていく。
松楠居の2階から工事の様子が見えて切なかった。

2023年1月に開催された福岡市美術館での展覧会の新作や、2024年の花言葉カレンダー、2022年と2023年のクリスマスマーケット(クリスマスアドベントに改名)のメインビジュアルをここで制作した。
たくさんの絵を描いた場所になった。

私が、松村ビルと出会った最初の頃は、時々展覧会を観にきたり、フラッと人に会いにきたり、打ち合わせをしたり、1階にあったイタリアワインのkasaに飲みにきたりしていて、自分が松村ビルの最後の入居者になるとは思いもしなかった。

人が退去していき、建物の中から物音が聞こえなくなる様子はなんともいえず寂しくて、人の気配や物音がなくなるとこんなにも静かになるんだなと思った。
最後の最後まで、猫ちゃん達がいたので夜も全然怖くなかった。
毎日会っていても全く懐かないかわいいあの子たちはどこへ行ったのかな。

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