「歌詞」で表現力を学ぶ
表現力や語彙力を高めるために、最近「歌詞」を読んでいる。
今まで音楽を聞くことはあっても、歌詞を読むことは少なかった。リズムに合わせて歌詞は覚えるけれど、文字にしてまじまじと読むことはなかったのだ。
「歌詞なんて読んでいいことあるの?」と思うかもしれないが、個人的には表現力を勉強するにあたってかなり重宝している。
音楽は歌詞やメロディが合わさって、アップテンポな曲調になったりバラードな曲調に変化する。そのため、必ず曲には何かしらのテーマがあって、そのテーマに合う表現や語彙がたっぷりと詰まっているのだ。
*
たとえば私は、刑事ものや人間の心理をテーマにした短編小説をよく書いている。人間らしさや、怖さや強さなどを書くことを追求したく、よりリアルさが伝わるような表現を勉強したい。
そんなとき、人間くささを感じられる歌詞(曲)を読むことが多い。
そのひとつとして気に入っているのが、椎名林檎さんの『歌舞伎町の女王』。
ご存知の方も多いと思うが、新宿の歓楽街をテーマにしている名曲で、人間くささとか、夜の世界とか、大人の世界がぎゅっと詰め込まれているように思う。
たとえば、以下の歌詞。
蝉の声を聞く度に 目に浮かぶ九十九里浜
皺々の祖母の手を離れ 独りで訪れた歓楽街
ママは此処の女王様 生き写しの様なあたし
誰しもが手を伸べて 子供ながらに魅せられた歓楽街
「夏」を表現するときには「蝉の声」
「おばあちゃん」を表現するときには「皺々」
「似ている」を表現するときは「生き写し」
単純に季節や人を表す単語を書くだけではなく、イメージできる要素を散りばめることで、ぐっとリアルさが増すと思う。
とくに「生き写し」という表現はぞくぞくとしたし、私もこんな表現がしたい。
こうやって歌詞を読みながら、書き写しながら日々生活をすると、かなり表現力や語彙力が鍛えられる。また、曲に合わせながらだとよりイメージして頭に定着しやすくなる。
類義語や対義語を調べたくなるし、単語そのものに興味が持てる。勉強って楽しいな〜と感じるのだ。
こんな感じで歌詞を読むことにハマっている。
もっともっと勉強したい、表現力と語彙力を身につけたい。
いくつになっても勉強は楽しい。