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器用貧乏
昨夜も子どもの学習会に参加。前回とは別会場だったので、いる子どもたちの顔ぶれも違う。
今回は中学1年生女子2人。ただし、今回はそれほど警戒心の強い子たちではない。ちょっとだけ「こうするといいですよ」というのを伝えると、素直に聞いてくれる。
ひとりの子がノートを作っていた。聞くと、学校の授業を書き取るノートとは別だという。復習をしながら、わからないところを重点的にまとめているのだとか。
「わー、真面目だねー」
「頭悪いから」
「いや、やる気が大切」
「やってたら、この間の成績、上がったんです!」
と、うれしそうに成績表を取り出す。
「成績、上がったんです」
と、見せてくれた成績表には25点、42点、39点、、など書かれている。
「順位もすごく上になったんです!」
と、指差したのは56点。
「よかったねー」
と、戸惑いながら言葉を返した。
小学校の成績は国語以外4ばかり、算数は3もあった。中学に入り、450人中20~40番くらいをうろうろ。それでも、常に70点以上はとっていた。国語や英語は90点以下をとった記憶がない。できない数学でも70点くらいが下限。
それが普通だと思っていた。
自分より下の成績がいるとわかっていたけれど、でも宿題も復習もしない私より下の成績の人は、私以上に勉強しないから成績がよくないのだと思っていた。
それなのに、実際はこんなに勉強しているのに点数がとれない人がいる。
もうひとりの子はその成績表を見て
「私よりいい点数とってる…」
と、つぶやく。
その子も真面目にもらったプリントを2周目だか3周目だかしている。「自習ノート」は何冊目なのだろう、いつもこんなふうに繰り返し問題を解いていると言う。
「ふたりともすごいね」
素直な感想だ。だって私、高校受験前の1~2か月しか勉強しなかったもん。
「だって、頭悪いから」
ひとりがそう言うと、もうひとりもうなずく。
帰宅して夕飯を食べると、なんとなくいすから立ち上がれなくなった。
それは学習会での衝撃もそうだし、前日に判明したショックな出来事を思い出したのもある。
前日、以前書いた記事に登場した漆器店から「次に立ち上げるメディアで書いてください」と依頼された仕事が、いつの間にか同じシェアハウスに住む別な人に流れていたことを知った。しかもその人は「別な大きな案件あるから、そのための練習にちょうどいい」と言う。私がどうしても書きたかったものを「練習」と。
「忘れた頃に連絡するので待っていてください」と言われ、正直に待っていた。3か月経つし、連絡しようかなと思ったけれど、お金なくていつになったら仕事来るのか知りたくて連絡したかったけれど、迷惑になるだろうと控えた。その間に、別な人のところへ流れていってしまっていた。
そして、私がやりたいと話した「なんでも屋さん」を「お手伝い屋さん」と名前を替え、「仕事ください!」と声を大にして募集している人も発見。そっか…。そしてなんと、仕事をもらっている。そっか……。
フリーランスとして仕事をとるためには、大きな声で「私、やりたいです!」と言わないと手に入らないんだなぁと悔しくて泣いた。だって、それは私にはできないことだから。
勉強もなんでも、努力しなくてもある程度できてしまう。大学に入るのに4年かかったけれど、実質勉強したのは最後の1年だけ。確かにそのとき努力したけれど、必死ではなかった。「わー勉強もおもしろいねー」くらいの感じ。
必死になる経験をしてこなかったから、必死さが欠けている。きっと必死さがあれば、大きな声をあげたり、なにがなんでも手に入れようとしたりできるのだろうに。
勉強も、部活も、就活も、必死でなにかをすればよかった。人として大切なものが、私にはたくさん欠けている。
そんなことをぼんやり考え、いすに座っていた。眠いのに寝室へ行くこともできない。ネコを抱く気にもならない。動けなかった。
ネットを見るでもなくうろうろしていると、YouTubeでフォローしている人の生配信が始まっていた。なんとなく見てみる。
わー、はまちゃんも同じ悩みというか、感覚持ってる人だー。
「なんでもできるから努力したことがない。それはいいことだとは思わない。努力して手に入れる人の方がいい」というようなことを酔っ払いながら語っている。
なんだかすごくホッとした。
1時間半の配信が終わり、やっと私は立ち上がることができた。
自分と同じような欠如を感じている人がいる。それでも楽しいことを見つけて生きている。ああ、私もまだなにかできそうだ。
彼のように、私も周囲の人に恵まれている。だったら、私にも悪い日ばかりじゃなく、いい日もやってくるだろう。そう思って、手に入らないものはあきらめて、忘れよう。
生きていてもいいような気がして、眠りについた。
学習会の終わり、
「最後に大切なことを言います。勉強ができない、成績がよくないのは、頭が悪いのとは違います。それは間違っています。できるできないではなく、やること、努力していることが大事なんです」
とふたりに伝えた。
それは、私に必要だった言葉。
「頭がいいより、勉強ができるより、成績がいいより、努力することが大切なんだよ」
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