189分の6

人について理解できないことが多々あるのだが、そのうちのひとつが「みんな一緒を好む」こと。
みんなが行くから、私も行く。みんなと遊ぶから、楽しい。みんながいる場所に、私もいたい。みんなで、したい。みんなで、楽しみたい。みんなが、楽しい。

小学校の通知表にしょっちゅう「協調性が足りない」と書かれていた。
みんなと同じことをするのも、みんなと一緒にいるのも、好きじゃない。
集団行動は嫌いだ。

たとえば遠足のとき。
グループ（班）決めからして好きじゃない。なんで特定の誰かとずっと行動をともにしないといけないの？
歩きながら歩調が合う人と話したい。道端の花を見てるうちに置いてきぼりになったら、迷子にならないよう自分でみんなを探す。私を待っていなくていい。というか、待っていられると好きなだけ見ていられないから待たないで欲しい。
ごはんは気に入った場所で食べたい。グループのみんなが「あっちがいい」と言うからと、あっちで食べるのは嫌。みんなはあっちで食べれば、私はひとりでこっちで食べる。
あっちをぷらぷら、こっちをぷらぷら。
風の吹くまま、気の向くまま。

みんなが集まっている、みんなが一緒に遊びに行く。置いていかれるの寂しい、不安。待って、私も行く。
行きたいなら行けばいい。別に自分ひとりで。少なくとも目的地がわかっているなら、一緒に行く必要はない。現地で合流すればいいんじゃ？

みんなと一緒だから楽しいわけじゃない。楽しいことをしているから楽しいのだ。そこに一緒にいて楽しいメンツがいれば、プラスアルファで楽しさが増すかもしれない。
でもそれはあくまで上乗せ分。

みんなで行く。行き先、おもしろそう。ひとりだったら行かないかもしれない場所。せっかくだから一緒に行くか。
とりあえず目的地に着いた。あ、そっち行くの？　私はこっち行きたいから、じゃあまた後で。

みんなとごはんを食べに行ったら、お店が混んでて席が足りない。じゃあ、私は相席であっちで食べるわ。したらそっちのテーブルにみんな一緒に座れるでしょ。あ、私はひとりで食べてもおいしいから、気にせず。

基本、一対大勢という形が苦手なのだ。
一対一の会話はできる。（そもそもおざなりの会話が苦手）
でも、大勢で盛り上がっていたり、大勢がいくつかのグループに分かれて話してたりする場で、自分がどのように振る舞ったらいいのかがわからない。
曖昧な笑顔で端っこに加わり、話の概要もつかめていないのに周りに合わせて笑ってみせる。興味もない話に、さも興味ありますみたいな顔で相槌を打つ。当たり障りのないコメントを言ってみる。ちょっと笑えるようなことを言ってみたつもりが、反応ないので自分で笑って隣の人の顔を見る。その人が全体には聞こえなくても、自分には聞こえる返答をくれたら、もうこの人を逃さないぞとなにかあるたび顔を見て、連帯感を持たせようとする。

なんでそんなことしなきゃならないの？

中学1年のとき、その中学に進んだ同じ小学校の子は少なくて、私はクラスでひとりだった。他の子たちは、それぞれ同じ小学校の子とグループを作り、一緒に教室を移動したり、給食を食べたりしていた。
私はひとりで自分の机に座って食べた。席替えしたら、移った席でひとりで。
おそらくそれを「かわいそう」と思ったのだろう、ある4人組が声をかけてきた。「一緒に食べよう、こっちおいでよ」。
一度は断ったのだが、机を用意して待っているので仕方なく加わった。
気をつかって話しかけてきたり、わからない話で盛り上がったり。盛り上がると、いちいち私に説明をする。
翌日も、彼女たちは「一緒にたべよう」と声をかけてきたが、「ひとりで食べたいから」と断った。彼女たちもそれ以上誘うことなく、4人で食べ始めた。

中学2年のとき、その4人組のうちのひとりと同じクラスになった。他にも何人かいたけれど、彼女は私にくっついてきた。
ごはんも、クラスの移動も、委員会も、クラブも、トイレも。
「どこ行くの？」「トイレ」「私も行く」
「トイレ行こう」「行きたくない」「私、行きたい」「行けば」

トイレに一番近い教室だった。ドア to ドアで30歩。
なのに、ひとりで行かない。行けない。
私はひとりで行きたい。自分の行きたいタイミングで行く。

一対一でも、興味のある人、もしくはひとりで行動できる人じゃないと一緒にいるのはキツイ。興味のない人に聞きたいことなどないし、だからといって当たり障りのない会話は不得意だし。
同じようにひとりで行動できる人であれば、一緒にいてもそれぞれでしたいことができる。そして、そういう人には大抵興味があるから話もできる。

これまでに note に書いた記事数、188。そのうち5記事で、ひとりで行動することについて書いた。
書いても書いても、みんな一緒をなぜ好むのか、未だに謎だ。だから書いているうちに、自分についてばかりになってしまう。
謎の解明には至ってない。
たぶん、理解したいと思っていないから。興味がないのだ。

あ、6記事目にして、ひとつわかった。