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コップの水私論
昨夜、友だちがGW中、毎日午後からお店を開けると言うのが聞こえてきた。「どうしても進まない作業あるから、やりに来てもいい?」と尋ねると「いいよ」とのこと。多少酔っているが判断能力も記憶力もありそうだったので、遠慮しつつ、「いいよって言ったもんねー」と、今日14時すぎに来てみた。
お店のドアは開け放たれ、何か聞こえる。中へ入ると英会話のテープ(なわけないか、CDか?)が流れていて、リピートアフターミー的な空白に合わせて友だちがリピートしている。
「いい?」と声をかけると、驚いた顔をしたけれど「どうぞ」と答えた。最初の30分くらいはリピートアフターミーしていたが、いつの間にか静かになっている。イヤホンで取材音声の文字起こししている私への配慮か、単に飽きただけか。
しかし邪魔したことには違いなく、申し訳なかった。
何やら目の端で動くものがあり、見るとペヤング片手にこっちを見て「お腹減った」と言う。お湯を沸かしていたので、コーヒーを注文する。バーなのに。
向こうはペヤング、私は熱いコーヒーと持参した卵サンドをそれぞれお店の端と端で、会話なく食べる。「寒くない?」「寒い」とか、滞在中ほんの少しの会話はあったけれど、ほぼほぼ話さない。向こうは無言で何かをし、私はひとり言を言いながら作業していた。
18時半頃、友だちは看板を出しに行き、営業開始。さあ、帰ろう。しかしまだ終わらない。あと5〜6時間はかかりそう。
「今週また来てもいい?」と聞くと「このまま作業すればいいよ」と言うので、お言葉に甘えて続行。
22時すぎ、お客さんがあまりにも来ないから、自分が貧乏神なのではと心配になる。と、ドアが開いた。
ほっとして顔を見ると、京都へ転勤した友だちがいた。30分くらい、最後にここで会ったときの話をし、私のポンコツエピソードで笑い合う。
さ、帰ろう。いよいよ営業時間だ。
のんびり、日課の英会話の練習してたところへ現れたのに嫌な顔せず、営業時間になっても「いていいよ」と言ってくれる。3rdプレイスのはずが、もはや1stプレイスのよう。
いや、あかんあかん。たくさん時間を過ごせば過ごすほど、ここでの持ち時間がわずかとなる。
人間関係も場も「コップの水」だと思っている。それぞれに、それぞれの大きさのコップがあって、一緒にいたり、滞在していると水がたまっていく。その水があふれると、その人 / 場のいやなところが目につくようになる。
そして、いられなくなる。今のシェアハウスのように。去るべきときが訪れる。
コップの大きさも水も見えない。コップかもしれないし、バケツかもしれない。もしかしたら穴が開いていて、水が溜まってないかもしれない。
でも見えないから、不安に苛まれる。大切な人、大切な場所ほど、水が溜まらないように気をつけなくては。
とはいうものの、いつものバーは店主である大好きな友だちも、そこですごす友だちも知り合いも、一緒にいると楽しくてたくさん時間を使ってしまう。どんどん水が溜まっていくのに。
シェアハウスも、特別な人も、人生で一番信頼した人も、好きすぎて一気にコップをいっぱいにしてしまった。そんなことを繰り返しているのに、それでもなお同じ過ちを繰り返す。バカだなぁ、私。
原稿はあとひと息ででき上がる。明日も行けば、きっとはかどる。人の目があると遊ばずに仕事できるから。
コップの大きさ、水の量が見えたらいいのに。そしたらもっと後ろ髪引かれることなくあきらめられる、もしくは作業できるのに。
さて、どうしたものか。サイコロを振って決めようか。偶数なら行かない、奇数なら行く。サイコロ、持ってないけど。
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