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ポジッションはなんでも屋
いつだって、無駄に幅広く底の浅い知識と30年の就活の足しにならない経験は、私を支えてくれる。
定休日の仕込みにお邪魔するカフェの店主は最高学歴と無数の読書歴の持ち主なのだが、彼女に「アキさん、引き出し多い」と言われた。
そのとき話していたのは、スラムダンクからマンガ、マンガの三国志、ガンダム、競歩。彼女の夫さんがバスケ部でスラムダンクを読んだことないというところから始まった。で、彼が競歩をしていて県代表になり、県外の大会に出たというところで「石川に強い選手いましたよね、記録狙えるような人」と言ったときに、件のセリフが発せられた。
悲しいかな、ちっとも覚えておきたいことじゃなくても、40歳前くらいまではなんでもかんでも記憶してしまっていた。新聞の端っこに載っていた記事、本屋でぱら読みした内容、人と話しているなかで聞いたことなど。
たぶんマンガ、テレビドラマ、芸能人、スピリチュアル以外であれば、たいていどんな話でもできる気がする。
今日は会社でお昼ごはんを食べようと思ったら、先に座っていた人から話しかけられた。
「なんの本ですか?」
「三浦しをんです」
「『舟を編む』の人ですよね? ぼく、小説読まないんですけど」
「じゃあ、なにを読むんですか?」
「こう、ビジネス系というか、実用系というか、小説ではないです」
「えーっと、えーっと、えーっと、ピケティとか、、?」
「あーまあそんな感じで、、『ホモサピエンス全史』とか」
「銃、病原菌、なんとかみたいなやつ!」
「ああ、そうです!」
とっさに「道は開ける」とか「やり抜く力」とかが出てこなくて、考えたあげく「小説じゃないもの=ピケティ」となってしまった…。しかし偶然にも話が通じて、私の頭に残ってるものとつながり、話は成立。
そこから広辞苑の紙について話をし、なぜか海外旅行の話となり、フランスやクロアチア、さらにカンガルーやカピバラへ。次、どこかでカピバラの話になったら、今日聞いたことがきっと役に立つ。
仕事もそう。
マーケでやっていた発送、リストづくり、スケジューリング、新聞社でやっていた電話かけ、校正など、今やっているバイトでどれもこれも役立っている。スーパーのレジ係や葬儀場のお香典リスト作成も、これまで別な場所でいかせた。
この先、飲食で働くとしても経理の経験やサイト制作でイラレを使った経験、レジ係の接客が役立つだろうし、どこでなにをするにしても今までの諸々のおかげで「助かった」と思うことがあるだろう。いろんなことをしてきたから、いろんなことができるし、いろんなことにつながる。
できないことはいっぱいあるけれど、できることもいっぱいある。
ひとつのことを突き詰める人になりたい。ひとつのことを究極まで知ろうとする人にあこがれる。
でも、私はそうはなれない。
飽き性で、興味がとっ散らかってて、いろんなことを知りたい。ひとつのことを長くやり続ける根気もない。
だから、広く浅い知識を持つことになり、いろんなことができるようになった。それは専門家だったり、手に職ある人と比べると劣っていると思ってしまうけれど、逆に専門家や手に職ある人のできないことができるということだとしておこう。
メインを張る主役や社長、親方にはなれないけれど、そういう人たちが表舞台で活躍するための黒子にはなれる。というか、黒子がいないと表舞台が成功しない。黒子、アシスタントが自分には役割として合っていると思うし、できると思う。
だから専門家にならなくていいや。広く浅く知ってる、なんでも屋。それが私にふさわしい。
ちょっぴり負け惜しみしつつ。でも、胸を張って。
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